見出し画像

人材マネジメント #9

経営資源は、人、物、金、情報で構成されると言われます。その中でも特に重要なのは「人」です。企業の成長はそこで働く「人」の成長なくしてはあり得ないと言っても過言ではありません。

少し古いですが、2015年の星野リゾートの星野社長の基調講演の内容を振り返りながら、人材マネジメントについて考えみたいと思います。

星野リゾートはホテル・旅館業を営んでいる会社です。

ホテル・旅館業は「サービスの提供」と「消費」が同時進行する典型的な同時性サービス業です。

そのため、星野リゾートでは、サービスの提供主体である従業員を大切にするというコンセプトをより明確にしています。

星野リゾートの人材育成方針は次の2つです。

①持ってる能力を最大限発揮してもらう環境を整備する。
②長く働いてもらう環境を整備する。

他の業界に比べて優秀な人材が集まりにくいということも課題としてあるようですが、能力をさらに伸ばしてもらうという育成方針よりも、今の能力を最大限発揮してもらうことに重点を置いてるところが印象的です。

そして従業員に途中で辞められることは大きな損失だと考えているところもまさに「人」が商品であるサービス業の特徴をよく理解していると感じました。

そしてこの基本方針を実現するためのポイントとして、以下の5点を掲げています。

①ビジョン・価値観の共有
②コンセプトへの共感。ここでのコンセプトとは、誰にどのようなサービスを提供するかということです。
③情報とプロセスの公開
④仕事の醍醐味・満喫
⑤自分でコントロールするキャリア

全体的な話として、「目先の売上よりも従業員のモチベーションを重視している」ということがありました。例えば、旅館では社員旅行などの団体客はお金を落としてくれる、そういう意味ではいいお客さんではありますが、宴会の酔っ払いの対応は従業員にとっては本当にやりたくない仕事とのことです。したがって、そういうお客さんは基本的に取らないと決めているということでした。

長期的な視点に立てば、従業員の職場環境の方がより重要ということです。

また、ポイント⑤に関連してですが、従業員が何を求めているかと考えた時に、従業員は「自由」を求めていると考えたということでした。

つまり、会社の中には自由度が少なく、それを窮屈に感じて辞めて行く人がいる。それは会社にとっては大きな損失なので、会社も一定程度自らの自由に制限を設けて、その分従業員の自由度を高めようという発想です。

例えば、以下の制度を導入しています。

ライフステージに合わせた勤務体系
①在宅勤務制度
②育児支援制度
③介護支援制度

キャリアアップへの選択
①麓村塾(講師を招いた勉強会。英会話など。)
②学習休職制度
③管理者立候補制度

「人」が商品といってもいいサービス業ならではですが、「人」の働きが会社の業績を左右するということを考えれば、他の業界でも参考になると思います。

サービス業のマーケティングを考える上で、重要な「サービストライアングル」について、ご参考までに示します。

画像1

エクスターナル・マーケティング

企業と顧客間の通常のマーケティングです。

インターナル・マーケティング

企業と従業員間のマーケティングです。いわゆる従業員満足(Employee Satisfaction)を高める取り組みです。サービスの担い手となるCP(コンタクト・パーソネル)のモチベーションとモラールを高めます。

インタラクティブ・マーケティング

従業員と顧客間のマーケティングです。上記のESを顧客満足に繋げる取り組みです。

「サービストライアングル」は、サービス業のマーケティングを考えるコンセプトですが、他の業種でも参考になる考え方だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?