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エッセイ

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人生の話、フリーランスの話、広告コピーの話まで。TAGOの日々のできごとや考えを綴った文章。
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2019年12月の記事一覧

「書く」が、過去の自分を古くする。

なんでだろう、と考えていた。 体感的にはあっという間の一年だったはずなのに、 なぜか今年の春がはるか遠い過去のことのように感じる。 この二律背反の原因を突き詰めると、 それは間違いなく、今年3月からはじめたnoteが関係している。 約10ヶ月間でnoteに投稿したのは、 短編小説90本、エッセイ47本。 当初の自分では想像もできなかった量を書いた。 自信の無さを量で埋めた。 思えば、小説やエッセイという形で 心の中にある漠然とした何かを言語化することは、 「自分とは何

一行の手紙

サンタクロース、実は親だった。ガーン。 それは、誰もが子供の頃に経験する、大人への通過儀礼だ。 先日、「サンタさんって、お父さんとお母さんなんでしょ?」と8歳の息子から言われて「うっ」となったことを記事にしたのだけど、 その中で、息子は、“神秘と現実のはざま”にいて、今年はサンタクロースへの手紙すら用意していないと書いた。 息子の衝撃的な発言から約一週間後。 急展開があったので、子育ての記録的な感じで記しておこうと思う。 クリスマスイブイブの23日のことだった。

丑三つ時の声

この記事を、深夜2時7分に書き始めた。 それはきっと、たまたまだ。 上京したとき、ぼくはまだ二十代前半だった。当時、勤めていたブラックな会社から転勤辞令が出たことがきっかけで、故郷の大阪を離れることになった。 東京での物件探しは友人につきあってもらった。ぼくは上ばかり見て歩いていた。田舎者まるだしで。 物件探しの前に友人は東京を案内してくれた。案内されたはじめての渋谷で、視界に飛び込んできたのは、謎の記号だった。 ぼくは、○|○|を見てオイオイと読み、109を見てヒャ

noteの掲げるミッションがすごく素敵だなあと思って、それについて書きたくなった。

「誰もが創作をはじめ、続けられるようにする」 ぼくは、このnoteのミッションが好きだ。 ミッション = その企業が存在する理由、その企業が社会の中で果たすべき役割を伝える言葉。 自分も、コピーライターとして、企業の理念(ミッション・バリュー・ビジョン等)を作らせていただくことがあって、これまでいろいろな理念を目にしてきたのだけど、これは本当に言葉が研ぎ澄まされていると思った。 一見、普通の短い言葉に見えるのだけど。 このミッションはピースオブケイク内部でのワークシ

「サンタさんって、お父さんとお母さんなんでしょ?」と言われて、「うっ・・・」となった話。

先日、タイトルそのままの言葉を、8歳の息子から言われた。 不意打ちだった。 どこの家庭にでもよくある一風景だが、まさかこんなに早くそれを言われるとは思っていなかった。返す言葉は一切用意していなかった。 こんな時、世の優秀なお父さんお母さん連中は何と言って乗り切るのだろうか。できることなら教えてほしい。 「うっ」となって、自分が咄嗟に出すことができた最大限の言葉がこれだった。 「サンタさんは信じる子だけに来るんだよ」 ひどい。もっと気のきいた言葉はなかったのか。どん