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反応いとおかし。

2015年くらいだったかな。筋トレを始めた。
きっかけはバスケットボールサークルに入ったためだった。
昔からバスケに憧れがあったのだ。



私が小学6年生の時にテレビアニメでスラムダンクが始まった。
ちょうどドラゴンボールを卒業しようかという年頃でスラムダンクが登場したのでみんな夢中になった。
その勢いで私はNBAも観るようになった。
生家のテレビはBS放送に加入していたので気軽に試合が観れるのだった。
その頃のNBAというのは、シカゴブルズが3連覇したのち神様マイケルジョーダンがNBAを引退、メジャーリーグに転向した頃だった。
つまり黄金時代を少し過ぎた頃。

小学校を卒業して中学に上がると、仲間たちの多くはバスケ部に加入した。
今までバスケなんてイメージが全くなかった同級生たちも束になってバスケ部に加入した。
しかし、我々が進んだ中学バスケ部は巷でも有名な鬼教師が顧問を務める部であった。
ほとんどの俄部員は二年生になる前に退部した。
当然スラムダンク主人公の桜木花道はバスケを続け、マイケルジョーダンはシカゴブルズに電撃復帰してまた3連覇。しかもサンアントニオスパーズからデニスロドマンが加入していた。(桜木花道はそのロドマンがモデル。ユニフォームはシカゴブルズがモデルなので、まさにスラムダンクに近づいた感じw)

私はと言うと、小学生の頃からわりと真剣に野球をやっており、そこそこ悪くない成績だった。
中学でも真剣に野球を志す者が集まるチームへ進むことが決まっており、いくら興味を持ったとしてもバスケ部への加入は叶わなかった。

そんな憧れから私は30代も中盤に差し掛かった頃、バスケサークルに入るのだった。



衰えを初めて実感した。
野球をやめてからスポーツなんて全くやってなかったわけだから当然なのだが、衰えを知れるのはやった者だけ。
ある程度の予想はあったがショックだった。
しかもサークルに参加している周りのほとんどの人たちが経験者。
若いひともたくさん混ざっていた。

自分で言うのもあれだが運動神経は悪い方ではなく(水泳以外)、何をやっても平均よりは上だった。
初めて運動において劣等感を覚えた。
ただ、憧れだったバスケットボール、バスケットシューズ、体育館でドリブルだむだむ、バッシュの擦れるキュッという音、下手なりにたまに聞けるシュートが決まった時のパサッというネットの音、楽しくてたまらなかった。
一応名目は素人目線のサークルだったので、基礎から教えてくれるのもありがたかった。
ルールがわかり、NBAを見直すとすごいプレイの応酬であることも知れた。

週に一度のサークルだった。
参加費は¥1,000。
初日参加して両足首を負傷した。
歩くのすらままならないほどだった。
怪我をしたわけではなく、疲労と負担から来る痛みだった。
病院にも行ったが結局時間をかけて治すより他に方法はなかった。

次の週はとても参加できず、それがとても悔しかった。
気持ちは今すぐにでもバスケがしたかった。
動けない状態でも何かできることはないだろうか、部屋の白い天井に向けてバスケットボールを投げながら考えた時に、ひとつ案が浮かんだ。
それが筋トレだった。



小学一年の時、担任の先生が『ちからだめし』と名付けた筋トレを生徒たちに課題付けていた。
1日10回ずつ、腕立て伏せ、腹筋、かえる倒立など、完了すれば配られたプリントのオタマジャクシに色を付けて先生が週に一度確認するというものだった。

今と違い真面目一辺倒だった私は一日も欠かさずそれを実行していた。
私が二年生になるのと同じタイミングで我が家は引っ越し・転校となったので、『ちからだめし』はそれきりとなった。
ただなんとなく自主的に腕立て伏せ、腹筋は続けており、特に三年生になって地域の野球チームに入ってからは、そこに素振りも加わり、相変わらず毎日続けていた。
当然僕の身体は周りの生徒たちに比べてかなり筋肉質な身体となっていた。



それを30過ぎて復活させた。
現代は筋トレブームであることに加え、有益な方法を簡単にネットで調べることができるので、効率よく進めることができた。
YouTubeで調べて、家でもできるダンベル、ベンチを購入し、週に3日勤しんだ(毎日やるのは筋肉に良くないらしい)。

ちょうどそのタイミングでクリーニングで歯医者に行った時、どれだけ煙草が歯に悪いかを聞かされ、持って行っていた開けたての煙草を吸わずに捨てた。
バスケのプレイにどれくらい反映されるかが楽しみだというのもあった。

こうこ…ハタチの頃から吸い始めた煙草は思った以上にピタリとやめられた。

ここからが本題w
煙草をやめた身体は思った以上に動けるようになった。
息が切れにくくなった(ような気がした)。
効率的な筋トレは、みるみる身体を大きくした。
当然プロテインも勉強して飲んだので、それも手伝ったのだと思う。
とても面白かった。
身体が反応しているのがとても楽しかった。
やった分だけ力になった。それは自信にもなった。
そこで気付いた。

ずーっと音楽を続けて来たのはこれに似ているのではないか、と感じた。
つまり『反応』が楽しいのだ。
ステージで演奏することでお客さんが反応してくれるのが面白かったのだとわかったのだ。

余談
それはやはり夜もそうであり、相手の反応があればこそで、自分が良ければというものでは…この話はまたいずれ。🤫

自己陶酔が気持ちいいひともいるだろうし、「音楽やってなきゃ死ぬから」という理由でステージに上がり続けるひともいるようだ。
私はお客さんの反応が見たくてやって来たのだと。

その頃、私はずいぶんと長く音楽から離れていた。

数年後私はバスケから足を洗い、地元の仲間たちと草野球を始めた。
バスケやってたおかげでよーいどんで始めた仲間たちの中では一番機敏に動くことができた。

それも1〜2年でやめた。
音楽活動を再開したからだった。
野球でも手首を傷めたりとギターを弾くのに問題が生じそうだったからだった。
そして何より、順調に音楽活動が忙しくなりつつあった。

音楽活動でも紆余曲折あったが、今のスタイルになり、やっと望んだようにお客さんが反応してくれるようになって来た。
それが本来の目標だった。

いずれ筋トレはしなくなった。
大事なイベント前にケガをするのを恐れたというのもあるが、それ以上にライブで『反応』が楽しめるから必要なくなったのかも知れない。

今も筋トレを再開したいとは思っているが、なかなか時間がなかったり、やる気が出なかったりで実行できないでいる。

元来痩せぎすの私は、筋トレをした時だけ身体が大きかった。
体重も増えた。
筋トレやめるとすぐ体重は落ちてしまう。
今は腕や肩を自分で触った時にその細さに情けなさを覚える。
また近々始めようと思っている。
まずは心が「やるぞ」という方向に『反応』してくれるのを今は待っている。

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