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ARE YOU READY? 共に歩こう! J2リーグ第39節 ジェフユナイテッド千葉 VS ツエーゲン金沢 【レビュー】2019.11.03

前節・長崎に4得点で快勝したが、前半と後半の終わりに気の緩みが出て失点。柳下監督(以下ヤナ将)が試合後インタビューで「集中が切れているようなプレーが見られたので、そこは非常に残念」と釘を刺した。90分集中出来ていればやられる事は無いはず。そう信じて迎えた千葉戦。八合目までやってきた金沢は九合目にたどりつけるのか、否か。

※途中ポエムっぽくなってるところがありますが気にしないでください。米倉くんが好きになっただけです(笑)

スタメン・・・あれ?

千葉1

金沢の前節からの変更は石尾→廣井。僕が練習を見に行った水曜日は別メニューだった石尾くん。木曜もそうだったようでしたが、新聞のスタメン予想を見たら石尾くんになってたのでいけるのか?と思っていたら廣井くんでした。

僕的にはここ3試合、廣井くんはスタメンから外れており甲府戦のイメージからしてあまりいいとは思わなかったのですが石尾くんの状態があまりよくないなら仕方ない。ベンチには入ってましたね。その他のベンチメンバーは後藤・梅鉢・窪田・大石・山根・小松。

千葉は鳥海くんが出場停止で船山くんがIN。千葉のスタメン発表が少し遅れ気味だったのと発表された画像がこれだったので

千葉2

惑わされましたね(笑)Ronoさん失礼しました(-_-;)

試合前からの探り合いというのはやはり必要ですね。というか、FW・MF・DF登録で並べただけか。結局、図のように船山・クレーベの2トップで熊谷・工藤がIH、右SHアラン、左SH為田という形ではありました。ベンチメンバーは鈴木・ゲリア・安田・矢田・増嶋・堀米・佐藤寿。

スマホでご覧の方に分かりやすくすると金沢のスタメンはこちら

千葉3

千葉のスタメンはこちらになります

千葉4

試合開始から金沢の攻撃は限定された

キックオフからチャンスを作れていたのは金沢の方でした。積極的に沼田くんから垣田くんに楔のパスが入ります。

千葉7

千葉8

千葉のCBは身長が高い為、低めのクロスを主に狙っていました。クロスが逸れると金子くんが二次攻撃を試みる場面もあったと思います。

千葉は前線のクレーベ・船山が最終ラインまでプレスを掛けにいく事はあまりありませんでした。金沢はポゼッションにこだわるチームではありませんし、最終ラインからじっくりボールを回すという事に長けていないという事もあるかも知れませんが、狙いは別にありました。それは徹底したパスの出所封じでした。

千葉9

千葉10

千葉11

これを徹底していました。藤村・大橋はボールを受けても後ろに戻す事が多くなっていました。沼田くんにはスピードの速いアランさんが対応し、なかなかクロスを打たせません。

千葉12

ここで見て頂きたいのは米倉・新井の関係性と工藤・熊谷・船山の関係性です。

米倉くんは試合後コメントで「(新井)一耀との連係はだいぶ良くなってきている。一耀もすごく良くなっている。その成果が試合で出てくると、やりがいもあるし、楽しい。」と言っていますが、その通りでしっかり左サイドのマークを受け渡し対応出来ていました。流れの中から沼田くんがクロスを打てないなと感じた方も多かったと思います。

沼田くんがダメなら藤村くんや大橋くんと思いますが

千葉13

この三人の関係性は素晴らしかったです。この時のように千葉SB米倉くんが金沢SB沼田くんに、千葉CB新井くんが金沢SH加藤くんに着くと、先ほどまで金沢IH藤村くんを見ていた千葉IH工藤くんが金沢FW垣田くんに、そして千葉FW船山くんが藤村くんを見る、といった形で金沢のコンダクターに仕事をさせません。

千葉IH熊谷くんは主に金沢IH大橋くんを見ていました。その3人が入れ替わりながら藤村・大橋を監視していました。

ですから、開始20分くらいまでは金沢はボールを持てていたのですが、この章の最初に示したように沼田くんがすぐにボールを垣田くんに出して加藤くんと左サイドを崩しにかかるといった藤村・大橋抜きの攻めが多くなりました。それでも果敢に藤村・大橋は攻撃に参加しますが、あまり効果的なパスを供給する事は出来ませんでした。

その千葉が先制するまでの20分で金沢が点を獲れなかった事が大きいと思います。

5:20くらいのシーンは大橋くんが網の目をかいくぐり金沢右サイドからクロスを垣田くんに送りますがヘディングは枠の外へ。(その際も千葉FW船山くんが大橋くんへチェックしに行っていました。)

10:38くらいからのシーンでは大橋・藤村がセンターサークル付近でボールを貰いにきますがマークされていてパスを出せない状態。それを見て動いた金子くんに義道くんがパスを出します。

千葉14

千葉15

このヘディングも得点には至りませんでした。この他にも13:00くらいに左サイドを崩しにかかる場面も惜しかったですが藤村くんにはしっかり工藤くんがついていましたし、18:00前後は垣田→加藤で加藤くんが左サイドをドリブルで上がり杉浦くんへグラウンダークロス。これもタイミングが合っていませんでした。

金沢のコンダクター2人を使わない攻撃を果敢に仕掛けた金沢でしたが、少しのタイミングやズレでゴールは奪えませんでした。

千葉の前半の攻撃パターン

千葉16

廣井くんが吹っ飛ばされているシーンが何回か見られましたが(-_-;)ここに関してはクレーベ・アランを自由にさせていませんでした。千葉の最終ラインは3枚で、右に縦パスを通す場合は下のような感じです。

千葉17

金沢左サイド対策として金沢左SB沼田くんを千葉右SHアランさんと千葉右SB米倉くんにある程度任せてあるし、金沢IH大橋・藤村は千葉IH工藤・熊谷FW船山で抑える、そしてあとは金沢右サイドの攻略です。

金沢の攻撃の芽を摘む千葉の攻撃

千葉18

これは千葉が先制点を挙げる前の大まかな位置を図にしたものです。下平・為田の左サイドに熊谷・船山が加勢、のちに工藤くんも加わってきました。左サイドにボールが行くとアランさんはゴール前に、米倉くんはロングフィードが出てくる事を想定し動く事も、あらかじめ設定されていたようです。

千葉は前半は左サイド(金沢右サイド)から多くの攻撃を行ってきました。先ほどから繰り返しているように、沼田・大橋・藤村・そして金沢の右を押し込んで前に出させない。連動し守備と攻撃を行う事で金沢の攻撃手段を減らしてきました。DAZNのハーフタイムの平均ポジションを見ると分かるのですが、金沢右サイドは押し込まれてしてあまり前には出ていなかったように感じます。

千葉のデザイン(解説:一平さんの口癖)された先制点

それとは少し違うのですが、千葉の1点目の攻撃の場面も緻密に計算されたもののように思います。

千葉19

これは千葉先制点の直前のスローインの場面です。薄い円でマークについている相手を示しています。大橋くんはいつも味方のカバー役なので一人余らせています。金沢としてはOKな状態です。

しかし、クレーベさんはさすがでした。自分についていたマーク(義道くん)を船山くんへ移し、廣井くんを空けさせ、自分は大橋くんを引き連れてボールを貰いに行きました。すると下の図の青い円の場所に空間が出来ます。

千葉20

スローインが下平くんからクレーベさんへ、そして下平くんに戻されます。クレーベさんの役目はここでおしまいです。クレーベさんがボールを貰いに行った事でほとんどの金沢ディフェンスの目がそちらに向いています。

千葉21

下平くんが熊谷くんにパスして、金子・小島を置き去りにして青の空間に侵入、船山くんへパスを出します。船山くんは自分の身体でガッチリボールをガードしながらキープ。問題はここからです。

千葉22

この下平くんから船山くんへボールが入ってボールをキープする一連の動きの中で沼田くんは身体はアランさんを警戒して前を向いていましたが目線はずっとボールを見ていました。

ずっと気になってはいたのですが、沼田くんは鋭い左足のクロスを上げる時はちらっと標準を合わせる為にゴール前を見るのですが、守る時に関してはマークしている相手を見る事はあまりありません。ボールウォッチャーというやつです。

もちろん守る人間としてはボールを見ない訳にはいかないのですが、ボールを見過ぎてもいけない訳です。さらにあろうことかアランさんから遠ざかりボールに近づきます。

千葉23

たらればになってしまうかも知れませんが、他にも「青の空間に入り込ませなければ」とか「スローインさせるところまで行かせなければ」とかあるかも知れませんが、沼田くんがボールウォッチャーになってしまう事は事実で、多分他に良いSBが現れればスタメンではいられないくらいの致命的なものだと思います。早くその事に気がついて修正される事を望みます。

どこまでが千葉のデザインされたモノかは分かりませんが、マンツーマンの特徴を上手く使い、空間を作り出し、それを利用したというのは狙いだと思います。

金沢の意地、セットプレー

28:10ごろの沼田くんが左サイド深くに侵入した事で得たコーナーキック。これを見事ゴールに結びつけ同点としました。たぶん義道くんを狙ったボールを蹴った藤村くんでしたが、手前にいた工藤くんの頭に当たって加藤くんの頭に当たって入りました。

こういうところで得点出来る所が我が軍の強みです。やはりコーナーキックを得られるように敵陣深くに侵入する事は重要です。

藤村・大橋・沼田がダメなら

同点になってからは攻守が目まぐるしく入れ替わります。ビルドアップとしては千葉も金沢も狙いは前述とあまり変わりませんでしたが、白井神のキックも雨のせいかいつもより正確性を欠き、本人も首をかしげているように見えました。そこでもう一人の影のコンダクター山本義道くんが本領を発揮していました。右に左に楔のパスを打ち込んでボールの前進に貢献。彼のパスがなければ前半は互角に戦えなかったかも知れません。

前半37:50。試合の勝敗を分ける男のクロス

千葉24

それはフワッとした上げ損ないのようなクロスだった。
米倉くんがサイド深くまで入り込んでから放ったボールは白井くんが余裕を持ってキャッチした。
米倉くんは狙ったつもりだった船山くんを見て苦笑いした。

前半終了、逃したチャンスと敗北の布石

千葉はやはり左サイドからの展開を好み、対する金沢も杉浦くんも加わり左サイドに楔を入れてボールを前進させようとしますがゴール前にまで迫れずに1-1で前半を終えます

決定機は最初の20分に多かった金沢。しかし、千葉に完全にやられた失点のシーン以外はそこまで危ないシーンもありませんでした。千葉の狙いであった金沢PA脇のゾーンに入り込ませる事もありましたが危険な場面はありませんでした。そこへのロングフィードもしっかり対処できていたのですが・・・

後半開始、千葉は前半と違う顔を見せる

後半も入りは慎重に行った両チーム。やはり千葉は連動しながらパスの出所を監視して、金沢の前進を阻みつつ、右サイドからの攻撃へとシフトチェンジを図ります。

千葉25

千葉の最終ラインは左から下平・エベルト・新井の並びになり、右サイドの組み立ては写真のようにWのような陣形をとりながらビルドアップを進めます。また、驚いた事に新井・米倉からのサイドチェンジもかなり正確に行う事が可能な為、あまり金沢右サイドからの攻撃もスムーズに行えません。

クレーベを見習え

52:29には米倉くんからクレーベさんへ素早いクロス、豪快なダイビングヘッドは枠を外れましたが、米倉くんのボールのスピードが速かったのとクレーベさんが廣井くんの視野の外から急に現れる動きが素晴らしかったです。逆に廣井くんも沼田くんと同様にボールを見過ぎる所があります。急にクレーベさんが目の前に来てびっくりしたはずです。

クレーベさんは状況に応じて義道くんのほうに行って自分の方にピン止めさせておくか、廣井くんのほうに移動して競り合うかを判断していました。義道くんと競る時はボールを失う事が多かったですから当たり前と言えば当たり前なのですが。垣田くんにマネしてほしい所がクレーベさんにはたくさんありました。

後半15分が経過し、金沢は思うようにボールを前進させられない時間帯が続き、永遠くんが投入されます。

バランスが少し崩れる千葉、しかし

陰のコンダクター義道くんが金子くんの裏抜けする動きを狙ったり楔のパスを入れる事で、千葉FW船山くんは金沢最終ラインへのプレスの意識を強くし、永遠くんが入った事で千葉IH工藤くんはそちらに意識が向くように。そうなると若干距離が空き、藤村くんがパスを受けられるようになりました。

永遠くんが入ってから久しぶりにボールをゴール前まで運ぶ事が出来ましたが、危険を察知したクレーベさんが自陣ゴール前まで戻って藤村くんに渡りそうになったボールを身体を張って止めていました。この試合始めての光景でした。

千葉26

いよいよ金沢が反撃に出ると思ったその時でした。ヤナ将の元に大石くんが呼ばれ、送り出されるまさにその時、千葉のギアがもう一つ上がりました。

前半37:50の失敗が追加点に

ここで千葉はかなり配置を入れ替えます。エベルトさんと新井くんの2CBの中に千葉GK佐藤優くんが入るような形で金沢FWのプレスを誘い前後の距離間を空けさせる事に成功。千葉右サイドのSB米倉くんがいた位置に千葉IH熊谷くんが入り右サイドを押し上げるように。図にすると下のように右肩上がりで左肩下がりのアシンメトリー状態。そしてボールを速く縦に移動させます。

千葉27

米倉くんは加藤くんを背負いながらシザースステップで振り切り、前半37:50と同じシチュエーションを作りだします。

米倉:「前半、クロスが合わないシーンがあって、タカくん(船山 貴之)がファーに逃げるシーンが多かったので、またファーに逃げたのが見えたので速いボールを通そうと思った。」

千葉28

再現された場面は、同じ結末にはなりませんでした。冷静な判断が生んだ逆転劇。しっかりとしたお膳立てのある連動したチームは残留争いをしているとは思えないほどオーガナイズされていました。

シーズン終盤のクラブの力

逆転された直後、金沢は金子くんに替わって大石くんが投入されます。千葉の攻撃が右サイド中心になり、金沢の右サイドが空いているような形になったのでそこを使いたい意図があったのでしょう。しかし焦りからか、分かりやすい金沢のプレーは千葉の予測可能範囲内だったようで、右サイド深くに侵入したい金沢のパスを千葉は何度もカット。

この日のサイコパスもかなりマークされていたせいか右サイドへの侵入に加勢しますが調子が出ずにクロスを阻まれます。これはその直前の場面。

3角形を作りながらパスコースを生んでいます。ここはいいのですが、小島くんは2人の動きのみを追っていって

千葉29

千葉30

タッチライン際に移動してしまいました。藤村くんが前に移動しクロスを阻まれるのですが、その時のゴール前は垣田くん1枚だけでした。大石くんのパスの選択肢を与える為にそこにいたのですが、そこでボールをもらっても相手の脅威にはなりません。大石くんが前へ前へと意識が向いていたせいもあってフォローにまわったと思いますが。

82:00のシーンもです。

千葉31

10秒後にはゴール前に飛び出すサイコパス。しかし、小島くんの姿は確認できません。

千葉32

ここに居れば垣田くんは大石くんとパス交換する事無くゴール前に向かえたかも知れません。と、小島くんばかり責めるような感じになってしまいましたがそれは違います。千葉は対金沢に向けてこの一週間、残留争いしているチームとは思えないほどの対策を組織立てて行ってきたと感じました。対する金沢はどうでしょう。

千葉のようにお互いをカバーしたり周りに合わせて動く対策を講じてきたかと言われると疑問が残ります。こうして振り返って見ていると金沢のほうが綻びが多く見えてくるのです。自ずと負けてしまうのは仕方ない結果だったのかもしれません。

なんなのそれ?

84:50のシーン。蓮くんが入ってすぐ金沢ボールのコーナーキックが2回ありました。その2度目の時、垣田くんが皆を呼んでサインの確認をしている瞬間にショートコーナーが蹴られてしまいました。

コーナー

準備が全く出来ていない選手が固まっています。こういうの見ると正直、勝つ気あるのかなと思ってしまいますね・・・

最後はクロスの応酬も・・・

アランさんに替わったゲリアさんと船山くんに替わった堀米くんが場所を入れ替わり金沢の左サイドを脅かします。ここは加藤くんOUT小松くんINした場所で点を獲りに行かざるを得ませんから手薄になっています。金沢としてはシステムなど関係なく相手のいないスペース・相手の嫌がるスペースを使うつもりだったのでしょうか。前節の長崎を見ているようにバランスが崩れている感じがしました。逆にバランスの崩れた金沢左サイドを永遠・小松・大橋で替わる変わるカバーしていました。

それでも大石くんとここに来て沼田くんも相手をかいくぐりゴール前にクロスを上げますがゴールまでは遠かった。


勝ち点を獲れなかった八号目

スコア

スタッツ

90分通しては悪くない。いくつかのチャンスを決め切れていれば、もっと自分たちのリズムでプレーできただろうし、マイボールにしたあとのボールからビッグチャンスを狙うパスの精度をもっと上げれば、チャンスは広がったとも思う。精度を上げれば、もっと良いプレーが生まれる。

言い方は違いますが、ヤナ将がいつも口にするような言葉が並ぶ試合後のコメント。僕の印象としては甲府戦後のコメントに似ていると思いました。あの時も1点差。自分達には力があるがそれを出せていない。

お時間がありましたら甲府戦のレビューをご覧ください。

金沢への対策を怠らなかった相手にどれだけ悔しい思いをしたでしょうか。鹿児島・水戸・徳島。あと少しで勝利出来た試合をいくつ落としたでしょうか。甲府・横浜FC、そして今回。それでもクラブは今までで一番多い勝ち点を獲り、まだ山を登ろうとしています。

八合目の道半ばで山を下りるわけにはいきません。這いつくばってでも未来に繋がる結果を得なければいけません。その為に次節岡山戦に向けてすべき事を充分にやって欲しいです。

千葉33

(順位表はJ’S GOALより)残り3試合、プレーオフの可能性が無いわけではありませんが限りなく低いものとなりました。3連勝してプラス9ポイントでも勝ち点65。一桁順位に到達するか微妙です。年々J2は混沌としてきています。とにかく3試合全力で戦うこと。そして我々は全力で応援する。その姿勢は変わりません。共に歩もう。共に山を登ろう。誰が欠けてもいけない。みんなの総力がピッチで結果になる。そう信じて残り3試合を見届けましょう。挑戦を未来へ繋げる為に。



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