甲府サムネ

信じるんです。それしかない。R01.10.06 J2リーグ第35節 ヴァンフォーレ甲府 VS ツエーゲン金沢 レビュー

金沢2-3甲府

金沢:得点 前半32分 クルーニー(PK) 前半38分 垣田

金沢:交代 後半34分 金子→大石 クルーニー→小松 後半41分 大橋→島津

甲府:得点 前半28分 佐藤和  後半4分・後半30分 ウタカ

甲府:交代 後半21分 小椋→山本 後半26分 田中→金園 後半41分 佐藤和→武岡

試合後の柳下将軍コメント

(ツエーゲン金沢公式HPより抜粋)

「勝ち点3取れるチャンスもあったし、勝つことによって上位に離されないで目標の「一桁順位」を狙える位置にいれたと思う。一人一人が自分の持っているものを100%出し切ればどことやっても勝てると思う。」

選手の力を評価しつつも、残念な胸の内を表しているようです。

「ミス一つにしても、もっともっと厳しさを持って欲しいし、相手のボールを奪い合うところでももっと激しさや厳しさを出してプレーをして欲しいと思います。本人はやってるつもりでも、評価したり見るのは周りの人たちです。それは我々スタッフであったりお客さんであったり。そういうところを自分で気づいて毎試合100%を出し切れるようにしたいと思っています。残り7試合あるので、その7試合一つ一つのゲームを一人一人が100%を出し切るようにしていこうと考えています。」

今回の試合だけでなく、プレーの質で負けている局面が多く見られます。それを自分で気づいて・・・というのは少し難しい気もしますが。プレーオフもかなり厳しくなってきた、一桁順位もこのままでは危うい現状。その中でテーマを持たぬ闘いをさせないように悲壮感漂う決意をチーム全体に課したのではないでしょうか。

記者:100%出し切るというのは攻守を含む全てのことですか。
「両方です。例えば、攻撃面ですごくプレッシャーを受けているとする。その中でのミスは仕方ないこともある。でも、フリーなのにコントロールミスやパスミスをして、それで落胆している。もっともっと周りも厳しく言わないといけないし、ミスした本人も気づかないといけない。それはずっと言っていることだけど、それでも変わっていないのは自分自身に対して甘い。一番初めに言ったように、本当にもったいないゲームだった。勝ち点3を取れる可能性は十分にあったのに、試合の入りは良くなかったし後半も入り方が良くなかった。そういうところを我々が変えていけるようにしないといけないです。」

ミスに関してはある程度仕方ないとシーズンを通してコメントしているわが将軍。それとは違う所に言及しているようです。それは僕が察するに試合に対する姿勢と強い気持ち。

記者:得点したシーンでは自分たちの良い部分は出せたか。
「個人のプレーではなく、2人3人が絡んだ場面で崩しているシーンはいくつかあったので、そういうのはやり続ければいい。甲府さんよりも良いプレーをしているなと感じる場面もありました。でも、上に行くためにはもっともっと厳しくやってほしい。みんな甘い。選手一人一人に対する評価も甘いし、誰かが辛口で評価しないと成長しない。」

ここで表現されている「みんな」とは誰の事なのでしょう。誤解を恐れずに言えば、選手・スタッフ・そしてツエーゲンに関わる全ての人達我々一人一人なのではないのでしょうか

我らがツエーゲン金沢というクラブを強くする為にという気持ちから始めた私の戦術分析。まだまだアナリストと呼べるには程遠いですが、悪口ではなく良い所は良い、悪い所は悪いとしっかりと言ってクラブと同じく成長したい。そう思える仲間をたくさん作りたいから新しく「RED TAG」という応援集団も立ち上げました。

柳下将軍のツエーゲンへの気持ち、皆さんはどう受け止めたでしょうか。ツエーゲンを応援する人間にとって他人事ではないメッセージをしっかりと受け止めつつ今回のレビューを行いたいと思います。

スタメン

甲府戦フォメ2

金沢は沼田くんがメンバー外。撮影会にいたとの事でもしかしたら怪我?詳しい事知ってる人いたら教えて下さい。と、言う事で左SBは加藤くん。その加藤くんがいた左SHに金子くん。その金子くんがいた右SHに清原くんが入った。サブメンバーは後藤・石尾・杉浦・大石・島津・梅鉢・小松

甲府の前節からの変更は1点。湯澤→田中。湯澤くんもサブメンバーにも名を連ねず。サブメンバーは岡西・山本・武岡・森・小林・金園・宮崎

前半

まず気になるのが、開始時のフワッとした守備。ウタカ→小椋→佐藤和とボールが渡って曽根田くんへクロス、白井神が試合開始22秒でナイスセーブを見せた。

この試合開始時、小椋くんに対するプレッシャーを誰もかけていなかった所から生まれたピンチ。逆サイドの金子くんがフリーの小椋くんに気づいていた様子だったが、ピンチになってからようやく喰らいついていった。いきなり崩され点が入れられてもおかしくなかった。

前半・後半の入り方というのはとても大事。それも何度も将軍様に指摘されている所である。確かに甲府の左サイドのコンビプレーは脅威です。しかしそれは僕にでもわかる十分に警戒すべき点です。

このプレーの前のスローインの時点でDAZNの映像では小椋くんがフリーになっている感じでした。まず試合開始にチームとしてフワッと入ってしまう癖が出てしまいました。

甲府の1点目に関しては甲府のコンビネーションがさすがだったというべきでしょうか。藤村くんのスライディングが引っかかってしまったようで不運な面もありましたが

甲府9

加藤くんの前にスッと入っていく佐藤和くんもさすがでした。

甲府10

さすがといっても甲府は再三、左サイドで再現性の高い仕掛けを行っていました。それも人やバリエーションの違うやり方で。金沢の攻撃にそこまで再三チャレンジする再現性の高い攻撃をするというのはあまり見た記憶がありません。

強いて言うならこの試合では甲府WBの裏を取るという事だったでしょうか。しかしそれはこの試合での「テーマ」であるようなものでボールをそこまで持っていってからの具体的な崩しが狙いを持って出来ていた訳ではありませんでした。

そこには質が伴っていなければと思いますし、相手チームを分析するにあたって「質」で上を行かれているというような表現を今までしてきたと思います。そのためには、試合・練習での「量」を増やしていかねばなりません。しかし、その「量」を行う為の姿勢と強い気持ちが足りないのではないかと柳下将軍のコメントを見ていると感じるようになりました。

金沢の2得点の時間帯は甲府の伊藤将軍が「失点の場面は悔やまれる10~15分間の時間帯だった」と言っているだけあるほど攻守の切り替えが上手くいってなかったように思います。

PKになった小柳くんのハンドはアンラッキーな部分もあったかもしれませんが、35分くらいからのシーンは金沢は高い位置でボールを奪取して、甲府の攻守の切り替えが遅れてブロックを形成する前に押し込んで行けていましたし、甲府の前線とボランチとの距離が開いたのでそれが37:19の《大橋くんのスルーパス→クルさんのシュート→リマさんの弾いたボールをキヨくんが走り込んでパス→垣田くんのシュート》に繋がったと思います。

後半

後半4分にウタカさんのゴールで2-2の同点。田中くんの左足で浮かせたウタカさんへのボールと飛び出すタイミングが良かったが1失点目も2失点目も裏を取られている。

確かにウタカさんはスペシャルなFWである。後半の最初は金沢がボールを回せていたので油断もあったのかも知れないが、あの守り方でボールと相手を同一視野に入れてないのはちょっと油断し過ぎではないだろうか。どちらかが目の前から消えればどちらかを見失うのは当然である。

そして、74:30のシーン。ゆるい。ウタカさんに対して緩すぎるディフェンス。直前で金子くんが小柳くんにボールを奪われた時の反応がまず緩かった。流れで清原くんがウタカさんにつく形になったが後ろの小島・廣井は見守る状態になってしまった。

ウタカさんが並のFWならそれでもいいかもしれない。しかし守備にはビヒランシア(守備の警戒)というものがあってマークしていない相手がどのように動くか、どこのスペースを使ってくるのか警戒しなければいけない、警戒する事で予測が可能となり次の動きに繋がるのだが、そういう事をまったく考えていないかのようにシュートを打たせてしまった。

甲府11

これだけスペースがあれば足を振りぬく事は出来る。そう考えなければならなかった。

さて、このウタカさんの逆転ゴールの75分までの間に甲府は2人選手を交代し3-4-2-1から4-4-2に移行していた。金園くんが入った事でよりウタカさんへのプレッシャーが分散された事は容易に想像できる。トップに金園くんを残しウタカさんは降りてきてボールをもらって持ち上がる体力が残っていた。さらには小柳くんも上がったりして勝負を仕掛けてきている事が分かる。

この時間まで来て何故金沢ベンチは動かなかったのか。イケイケで攻めてきている甲府に《考えさせる・迷わせる》という選択肢を与えなかったのは何故か。逆転されてから5分後に交代カードを2枚切るという遅さ。そこに再逆転出来る狙いはあったのか。

更には、大橋くんに替えて島津くんを入れ4-4-2の中盤ダイヤモンド型のような布陣になる金沢。そういう戦略を仕掛けるのに残り5分少々ではあまりに時間が無さすぎるのではないだろうか。

試合終了

長谷川くんを退場に追いやった無策の前回対戦を経て今回は失策に終わった金沢。今回、清原くんはものすごく周りが見えていたし全選手の中でも一番動いていたのではないだろうか。素晴らしい活躍だった。

しかし、金子くんと清原くんが利き足を逆に配置しハーフスペースを使えた事はいいが、加藤くんの攻撃力は全く生かす事が出来ず、クロスの成功はほとんどなかった。クルさんが垣田くんへゴール前に送ったクロスを除けばたった1回しか成功していない。甲府左サイドの裏のスペースが空くと分かっているのにクロスの質があまりに低いとゴールも遠のいてしまう。その加藤くんの起用も毛利くんが湘南へ移籍してしまってからのSB不足問題を長い間引っ張ってしまったからのものではないのだろうか。初めてのSBとしてはしっかりやれていたと将軍は評していたが、対策をもっと前からとっていれば結果は違っていたかもしれない。

残り7試合に誓う

チャンスが無いわけでは無かった金沢。しかし将軍の言うように見ていても負けてはいけない試合だと金沢の選手のプレーから感じる事が出来なかった。それは試合に対する姿勢と強い気持ち。それは選手にもベンチにも言えると思います。そして私達にも。はっきり言って僕はプレーオフ出場はおろか一桁順位すら叶わなくなったのではないかと試合直後に思ってしまいました。しかし、試合後の垣田くんのコメントを聞いて思いを新たにしました。さっきまでの自分が恥ずかしくなりました。

「残り7戦全て勝つつもりでやる」

選手がそう思って闘うのなら、それを全力で後押しするのが我々の出来る事。見てるだけかもしれない、声を出すだけかもしれない、でもその思い一つ一つが選手やスタッフに届き力になると信じています。そう思わなければ僕も色んな事を出来やしない。だから皆さんも残り7試合、選手を信じて共に闘いましょう。結果はどうなるか分かりません。でも、信じて応援する姿勢は無駄にはならないはず。未来のツエーゲンの歴史にきっとつながるはずです。ガンガンいこうぜ!ツエーゲン!

ツエーゲン金沢応援集団「RED TAG」運営費用としてありがたく使わせていただきます