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自分で薬を買う時に注意したいこと

「ちょっとした病気であればわざわざ病院に行かずともできれば薬局で買える薬で治したい」

病院に行くのってちょっとハードルが高いですよね。学校や会社を休まないといけなかったりしますし。

子育てをしていようものなら、受診のための時間を確保するのなんて大変です。

そんな時は私がやっているオンライン診療を利用して下さい、と言いたいところですが、

オンライン診療さえ利用するのがハードルが高いという場合もあると思います。

そこで今回は、自分でお薬を購入して病気に対処する時の注意点についてお伝えしたいと思います。


まず薬局でどんな薬が買えるのかと言いますと、

実は病院で扱うような医療用医薬品も結構買うことができるようになってきます。

代表的なもので言えば、解熱鎮痛薬であったり、胃薬であったり、睡眠薬であったり、アレルギー止めの薬であったりします。

こんな風に病院の薬が薬局の薬へと切り替わった(スイッチされた)ような薬のことを「スイッチOTC薬」とも呼ばれています。

OTCというのは「Over The Counter」の略で、カウンター越しに医師の処方箋なしで変える市販薬ですよってことです。

ただし、これらのスイッチOTC薬のほとんどは、「病院で出される薬よりもぐっと成分が少なめに抑えられている」ということに注意する必要があります。

なぜならば安全性を担保するためですね。仮に患者さんが使用上の注意をたいして読まずに誤って飲んだとしても大きな副作用を生じない工夫としてそうなっているわけです。


さて、それを踏まえた上で皆さんが薬局で薬を買う場合、大きく分けて3つの種類があるのではないかと思います。

①スイッチOTC薬(効果・効能がはっきり書いている)

②サプリメント(効果・効能は書いていない)

③漢方薬(効果・効能はぼんやり書いている)

まず①〜③のすべてに通じる注意点ですが、「決して病気そのものを治しているわけではない」ということを理解しておきましょう。

例えばあなたが風邪を引いたとします。それで風邪を治そうと思って、今ある症状を抑える効能が書いてあるスイッチOTC薬、例えば咳止めや鼻水止めを買うとします。

それで症状を抑えて、そのまま仕事に出ようというのはやってはダメなやり方です。

なぜならば薬を飲むことで得られている効果は咳や鼻水を抑えているだけで、なぜ風邪が起こったかという根本原因には全く対処していないからです。

このように根本原因に対処せずにとりあえずの症状を抑える方法のことを「対症療法」と言います。


1.スイッチOTC薬を買う場合の注意点

自分で薬を買って対処するやり方はあくまでも表面的な状態を抑えているだけなので、根本的に対処するためには別の方法が必要になるということを忘れてはなりません。

風邪の場合であれば、どうしても辛い症状を薬で抑えながら、仕事であれば休み、子育てであれば誰かに手伝ってもらい、自分は身体を温めながらゆっくりと眠ること、これが正しい対処の仕方になります。

もっと言えば、薬を使うことで得られるメリットはたかが知れているので、飲まないで治すに超したことはないです。薬局で買える薬の成分はぐっと抑えられていることを思い出して下さい。

ただしこれを知らずに「薬で治す」という発想で薬での対処を続けていると、

最初はよくても何度も風邪を繰り返していく度にこじらせていってしまうので注意して下さい。

痛み止めについても同様です。痛みが出た時に行うべき根本的な対処は「痛みが治まるまで患部をなるべく動かさないこと」です。

その基本が疎かにされたまま、痛み止めでいつも通りに活動されてしまうと余計に痛みがこじれてしまうことにもなりかねません。

そういう意味で〇〇止めとか、〇〇を改善する薬といった類の①のタイプは、ある意味で自分で治す力を邪魔している側面もあることに気づくかもしれません。

使ってはいけないというわけではないですが、あくまでも「その場しのぎ」の薬だということを忘れないでほしいと思います。


2.サプリメントを買う場合の注意点

②のサプリメントについてですが、これは明確な効能・効果が謳われているわけではありませんが、

例えば風邪の予防にビタミンCがよいなど聞いたことがあるかもしれません。

サプリメントは上手に使うことによって一定の治療効果をもたらすこともできますので、

利用する側の患者が知識を持って使う分には有用な薬になりうる可能性があります。

最大のメリットは安全性が高いということです。

①のように有効成分が含まれているというのではなく、もともと人体を構成する成分であったり、人体のシステムに組み込まれる栄養素であったりするものがほとんどです。

ただし注意点としては大きく2つ。「大量に飲むと添加物がたくさん入ってしまう」「安全であるが故に漫然と飲み続けてしまいやすい」という点です。

サプリメントは錠剤やカプセルなど薬の形として安定的に販売する形にするために必ず賦形剤や保存料などの添加物が入っています。

その添加物がサプリメント中に占める割合は一般的にドラッグストアなどで売っているものだと5割から7割程度、かなり気遣って添加物を除いたものであっても3割程度だと言われています。

少量・短期間摂取する分には安全性が極めて高いですが、大量かつ長期間摂取するとこの添加物の問題が避けては通れなくなります。

そして厄介なことに添加物についてはなかなか見過ごされやすいということです。

例えばあなたがサプリメントの飲み過ぎで添加物によるアレルギー反応で体調不良をきたしているのだとしても、

病院の医師はまずそれを見抜くことはできません。たとえサプリメントを大量に飲んでいることを申告したとしても難しいでしょう。

なぜならば病院の中でサプリメントの害について評価し、検証する仕組みは備わっていないからです。

だからこそサプリメントを飲んだことによって体調がよくなるかどうかの評価は、そうした添加物の問題も踏まえた上で自分で判断すべきですし、

サプリメントの服用自体もできる限り短期間で終わらせるようにわきまえるべきです。サプリメントも「対症療法」だということを忘れないでほしいと思います。


3.漢方薬を買う場合の注意点

最後に③の漢方薬についてです。

市販で売っている漢方薬にも効能のようなものは書かれていますが、なんだか書き方がぼんやりとしていることに気がつくと思います。

例えば風邪に対して使う「葛根湯(かっこんとう)」という漢方薬であれば、「かぜの初期症状に」という書き方ですとか、「鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛」などたくさんの症状が書かれていたりします。

これだともしかしたらたくさんの効能を持っている万能薬というイメージを持つかもしれません。

たしかにタイミングを合わせて使うとこれらの症状をすべて改善させることができるのですが、タイミングが外れるとどれにも効かないという事態にも陥るので、実は漢方薬は扱うのがなかなか難しい薬です。

ただし市販薬として非常にメリットが高いのは、漢方薬は「その症状がある人にしか効かず、その症状がない人には何も起こらない」という特徴を持っていることです。

つまり間違って飲んだとしても、大きな副作用を生じるわけではありませんし、サプリメントと同様に添加物の問題はあるにしても、漫然と大量に飲む可能性は低い薬ですからその問題は無視できるレベルではないかと思います。

漢方薬の副作用が起こるとすればアレルギーとしての反応がほとんどですので、これは漢方薬に限らずほぼ全ての薬について稀に起こりうること、と考えてほしいと思います。

ちなみに私は漢方薬について比較的詳しい薬ですが、自分が風邪引いた時に自分で上手に漢方薬を選ぶことができるかと言われると、結構タイミングを外してしまったりします。

自分で熱っぽい状態とかに判断すると冷静な判断が下せないのでしょうね。

それくらい選ぶのにプロの技術が必要な薬なので、便利だけど難易度が高い薬です。

ましては市販であれば病院に比べて成分がぐっと抑えられていることも踏まえれば、

漢方薬でよい結果を出そうと思ったら、市販で頑張るよりもおとなしく病院やオンラインの医者に相談した方がよいかもしれません。

以上、自分で薬を買う場合の注意点について紹介しました。

是非とも間違った健康管理へとつながらないように適切に利用してもらいたいと思います。

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