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【朗読】自分を助けてくれるのは、やっぱり自分

今日は読書の日。
今日から11月9日まで、読書週間というそうです。
普段読書をする方も、そうでない方も、本の世界にひたるには良い季節ですね。

学生時代は通学時間やHR前の朝学時間によく本を読んでいました。
ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』を3周くらいしてました。読み終わっても新しい本をカバンに入れるの忘れちゃうんですよね。
映画版ラングドン教授役のトム・ハンクスがイメージにピッタリすぎて感動しました。
ミッキーマウスの腕時計が似合うおじ様俳優って、なかなかいないですものね。
『オリジン』も映画化しないかなぁ。


さて。

モーリス・ルヴェルの『フェリシテ』を朗読しました。


カフェで「次、何を読もうかな」と青空文庫さんのサイトを見ていたら偶然発見した作品。それまで、モーリス・ルヴェルという名前も知りませんでした。

初めて読んだ時に、あまりにも希望がなさすぎて「これは、わたしが彼女を成仏させなければならない」と謎の使命感が湧いてきて、すぐに収録しました。



あらすじ

あまり状況が詳しく書かれてはいないのですが、おそらく彼女は売春婦ではないかと思います。

ただ何事も起こらず平和な彼女の日常は、まるで生きているのに死んでいるかのようです。
そこに、ムッシュー・カシュウとの出会いがあり、毎週土曜から少しずつ日々に彩りがもたらされるようになります。

彼女は自分の立場を心のどこかで後ろめたいと感じていて、彼女とは真逆の立場(役所勤め)にいるムッシューと話せるということに自尊心を感じていました。

しかし、彼と親しくなって2年後。彼は結婚することとなり、彼女の元を去ります。

再び1人になったフェリシテ。
急に孤独を感じはじめ、窓から飛び降りてしまうのでした。


なぜ飛び降りたのか


シンプルに考察するなら、この展開(幸せな日々から虚しい日常に落とされるフリーフォールのような落差)で一気に孤独が胸を占拠して、勢いで飛び降りたと考えます。

ただ私は「彼女を成仏させたい」という思いで朗読したので、そのエンディングにあえて反対したいのです。

ふるえるガスの灯にちらちらしている街は、何だか自分から逃げてゆくように見えた

青空文庫『フェリシテ』より引用


彼女はそれを追いかけたのではないでしょうか。
自分をただ通過していく存在だった人というものが、ムッシューとの出会いで自分を求めてくれるものへ変わり、そのムッシューに捨てられて、再び人というものが自分から離れてしまった。
その孤独を感じたとき(街そのものが自分から離れていってしまうように見えた)現状を変えなければと思ったのではないでしょうか。

その時、目の前にちょうど開いた窓があって、彼女の住む家が6階にあったことが、どうにもならない不運でした。


まとめ


モーリス・ルヴェルの他作品も、これをきっかけにチラチラ読んでみました。が、どれもなかなかにダークでした。江戸川乱歩を思い出させる雰囲気でした。

最近怖い話をよく朗読しているので、また挑戦してみようかなと思います。

それにしても『フェリシテ』朗読している人少ない。調べてもあまり出てきませんでした。
朗読作品にも『星の王子さま』とか『銀河鉄道の夜』みたいな沢山読まれているレッドオーシャン的作品があるのですが、それでいうと『フェリシテ』はブルーオーシャンです。真っ青です。

文学は教科書に載らないやつに面白いのが沢山ある、ということを伝えたいなと思っていた学生時代を思い出しました。

これからは、ちょくちょくこういうブルーオーシャン作品を掘り出して皆さんに楽しんでもらうのも良いかなと思いました。



いつもお読みいただきありがとうございます。



互ひとみ

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