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計19記事。総文字数は11万字を超えてしまいました。【Web30年史】プロローグ

FOURDIGIT(フォーデジット)の代表をしています、田口です。会社にとっての節目でもあり、社会にとっても大きな転換期である今だからこそ、30年のWebの歴史をデジタルデザインの視点から紐解いていこうと考えました。

なぜ僕がその歴史をふりかえることになったか……の前に、そもそもFOURDIGITってどんな会社?田口ってどんな人?という方もいると思うので、会社と僕の紹介からしていきます。

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20周年を迎えるFOURDIGITの現在

FOURDIGITはデジタルデザインの会社です。界隈では4D(フォーディー)とか、フォーデジとか言われてます。2001年に創業しWebデザインから始まり、今はデザインコンサルティング、リサーチ、UXデザイン、サービスデザイン、Webサイトデザイン、改善運用などと幅広めに手掛けているので、広めの意味で「デジタルデザイン」をやっている会社と言っています。

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東京を中心に、大阪、タイ、ベトナムにもスタジオがあり、アンケート・ヒアリングツールを展開するCREATIVE SURVEYというサービス会社や、エンジニア・クリエイターの派遣をおこなうContents Oneというグループ会社があります。

全部で、6社、4ヵ国、260名のスタッフ、27.5億の売上(2020年6月期)、アジア全般で活躍できるデジタルデザイン会社を目指して邁進しております。


ミュージシャンからデジタルデザインの道へ

僕自身はFOURDIGITの、2年目からジョインしています。その頃はまだ創業代表の蛭田(現在は共同代表)の「家」&作業場でした。漫画の『ザ・ファブル』に出てくる個人会社、オクトパスみたいな感じかなぁ。メンバー数人って感じです。僕もアルバイトで入ったから時給900円だった(笑)。

その前の話をすると、もともと学生の頃から音楽をやっていました。宇多田ヒカルがヒットした後ぐらいに、布袋寅泰プロデュースで東芝EMI系のレーベルからメジャーデビューをしました。

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とはいえ、ご想像の通りなかなか厳しい世界でして。結果的に、インディーズ活動になったり、アルバイトで生活をしてました。パソコンで音楽も作り始めていたし、Webサイトでも作らないと宣伝活動ができないので、自分でサイト作ったりして、たまにフリーランスとしてWeb制作の仕事がもらえていました。

その頃の大きな仕事がサッカー日本代表による日韓ワールドカップ・オフィシャルサイト。2002年トルシエジャパン、初めてのベスト16。決勝戦はご褒美で現地に連れて行ってもらったので下の写真のどっかにいるはず。

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Wikipediaより

そして、日韓ワールドカップが終わりサイトのお仕事も終了とのことで、別の仕事を探すことに。たまたまFind Jobで見つけたのがFOURDIGITです。

FOURDIGITに入ってからはやることがどんどん増えていきました。

組織が大きくなってきてチームマネジメントもやり、Flash時代はFlashをやりまくり、案件をリードしたり、事業を細分化して子会社構成にしたり、リサーチを勉強しまくり、サービスを作り、UIデザインをやり、営業もして、HCD(人間中心設計)の資格もとったり、事業展開もやって、子会社をたくさん作りすぎちゃったので統廃合して……。子会社の代表はいくつもやったんですが、統廃合をきっかけにそれまでの代表だった蛭田といっしょにFOURDIGITの共同代表になり、現在3年が過ぎたところです。

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左:蛭田 右:田口

現在はいわゆる経営・マネジメントを中心にやって、たまに案件に入るというスタイルです。
いちアルバイトから代表になるというノリなので、自由な会社というか、フラットというか、おおらかというか、その辺は創業者の蛭田のスタンスもあり、気持ちよくやっております。

2021年、過渡期をむかえるデザイン会社

FOURDIGITと僕の歩みを伝えてきましたが、デジタルデザインの業界全体に視野を広げると、今、過渡期にあると思っています。

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John Maeda の Design in Tech Report 2018

一時期、コンサルティング会社や事業会社によるデザイン会社の買収が活発になりました。特に北米では今でも積極的に行われています。これには理由があって、差別化の源泉がデザインにある、とか、デザインシンキングでビジネスをドライブさせる、とか、そういったビジネスにおけるデザインの重要性が広く認識されていったことがきっかけになっています。

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経済産業省・特許庁による「デザイン経営」宣言

海外だけでなく日本でもその波は活発になり、コンサル会社がデザインチームを作ることもあれば、デザイン会社を買収する人たちも多くなりました。経産省も「デザイン経営」といった言葉でデザインの重要性を浸透する活動をしています。そして概ね、デザインという役割の重要性と、実行するべき理由が浸透したように思えます。

とはいえ、まだまだデザインという言葉のニュアンスに伴う認識のズレや、予算をかけるべき価値・プロセスの対価、みたいなところでは、誤解も含めていろいろな判断をされることが多いです。デジタルデザインの業界は、特に昨今のフロントエンドの激動やツールのマジックに事業会社が翻弄され、本当に提供したいものにたどり着けないジレンマの中にいるように感じます。

デジタルデザイン史をWeb黎明期から紐解く

そんな状況の中、FOURDIGITは今年20周年をむかえます。世の中が大きく変わろうとしています。

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これからFOURDIGITが進むべき道筋はなんだろう……。と考えたときに、今まで起こってきたことをしっかり見つめ直すべきだと思ったんです。長い変遷の中で、デザインに求められてきたもの、デザインが価値を提供してきたこと。それを僕たちが改めて見つめ直すためにも、Webの黎明期からふりかえることにしました。

Webサイトの誕生から、OSの進化、ブラウザの進化、通信速度の進化、解像度の進化、iMac、iPod、Flash時代、リーマンショック、RIA、SNS、iPhone・スマホ、クラウド、UX、フロントエンドの隆盛、iPad、CSS / JSフレームワーク、アプリ、デジタルマーケティング、デザインシンキング、デザイン会社の買収、GAFA/BATH、AR/VR/MR、ウェアラブル、スマートスピーカー、コロナショック……。

30年におよぶWebの世界で起きたことを紐解くことにより、デジタルデザインの未来が見えてくると僕は信じています。そしてこのヒストリーコラムが、僕たちFOURDIGITだけでなく、デジタルデザインにまつわるあらゆる会社・人々に気づきを与えるものになると嬉しいです。

ということで、まずは1991年。「WWW(World Wide Web)」が生まれ、企業のファーストウェブが生まれるところから始めたいと思います。

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