怪しきクリニック
鬱の症状が酷くなっていき、どうしたものかと思っていた時、友達から
「このクリニックはどうかな」
と勧められた。
精神科には行きたくなかった。
地元の友達で、精神科に通い、薬がないと心配で落ち着かなくなる子がいた。
夜も寝付けなくなることがあると、睡眠薬も飲んでいた。
薬漬けだった。
友達を想うと同時に、こんな風にはなりたくないと思っていた。
しかし、自分の鬱の症状も日に日に酷くなる為、仕方なく行ってみることにした。
「クリニックは相性もあるから、行ってみて合わなそうならやめたらいいよ」
と友達は言った。
クリニックで待っていたのは、くそ怪しい先生だった。
あたしの腕に掌を当てながら
「温かくなってきたでしょう?これが気功です」
何も感じなかった。
あ、コレ、怪しいヤツだーと思い、とりあえず早くここを出ようと、適当に話を合わせて去ろうとした。
「…あー…なんとなく…?」
これから少しずつ治して行きましょうと言われ、やっと解放されるかと思ったら、先生は1枚のCDを見せてきた。
「このCDを聴くことで、今の気功と同じ効力が得られます」
…は?
何を言い出すんだ。
いくら精神的におかしくなっていても、そんな言葉に騙される人がいるんだろうか。
CDはいらないですとはっきり断り、クリニックを後にした。
薬漬けにはなりたくない。
こんな怪しいところにも二度と来るもんか。
鬱なんて自力で治してやる。
そうやって、鬱を受け入れ、自力で何とかしようともがき苦しむ日々が始まった。
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