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老舗の古着屋が姿を消す理由。1979年に開業した表参道サンタモニカが6/25に閉店

表参道で1979年に開業以来、40年以上もの間営業した古着屋「サンタモニカ」が6月25日に閉店するそうです。

近年、私たちの街角から愛されてきた古着屋がいきなり姿を消しています。(原宿シカゴも2020年3月に閉店)今まで様々な世代に支持され、流行を先取りしたスタイルを提供してきた古着屋の閉店は、ファッション業界にとって大きな損失です。では、なぜこのような事態が起こっているのでしょうか。その背後には、いくつかの要因が絡み合っていると考えます。

オンラインショップの定着

まず考えられるのは電子商取引の台頭です。近年、オンラインショッピングの利便性と普及に伴い、消費者の購買行動は大きく変化しました。特に古着のような個々の商品が一点ものである場合、商品の詳細な情報を照会でき、また、自宅から出ることなく多種多様な商品から選ぶことができるオンラインの方が、消費者にとって魅力的となります。この結果、足を使って店舗に出向く消費者が減少し、売上げが厳しくなる店舗が出てきてしまった可能性があります。

コロナの影響

さらに、新型コロナウイルスの影響も否応なく古着屋に打撃を与えました。パンデミックが拡大し、社会全体が「新しい生活様式」を求められる中、特に密閉空間でのショッピングが避けられるようになりました。その結果、人々の店舗訪問が減少し、さらには一時的な休業を余儀なくされた古着屋も少なくありません。これは、当然ながら収益に大きなマイナス影響を及ぼしました。

価格とブランドの均衡

消費者の嗜好の変化も大きな要因の一つです。現代の若い世代は、独自のファッションを追求する一方で、その購買行動はエシカルかつサステナブルな視点から行われています。そのため、商品の品質や価格、ブランドのイメージなどを高く評価する消費者が増え、これに対応できない古着屋は生き残ることが難しくなります。また、新しいものを買い続ける消費行動から、必要なものを必要な時だけ借りるというリサイクルやシェアリングの文化に移行している若者も増えています。

サブスクの台頭

リースやサブスクリプションの台頭。ファッション業界でも、airClosetのような定額制サービスが増えてきています。衣服も所有するのではなく、「借りる」、「シェアする」、「サブスクリプトする」という新しいビジネスモデルが生まれてきています。これは、持続可能性や経済性を重視する消費者、特に若者にとって魅力的な選択肢となり、古着屋のような従来のビジネスモデルに対する挑戦となっています。

以上のような要素が相まって、老舗の古着屋が閉店を余儀なくされています。しかし、これは必ずしも全ての古着屋に当てはまるわけではありません。それぞれの店舗にはそれぞれの魅力と強みがあり、そこを生かして新たなビジネスモデルを探求することで生き残る道もあります。例えば、オンラインとオフラインの融合したサービス、個性的なセレクトや高品質なリフォーム商品の提供、地域コミュニティとの連携など、新たな価値を創造するチャンスはまだまだ存在します。

私たち消費者としても、地元の古着屋を応援し、サステナブルなファッションを享受することで、古着業界の活性化に寄与することができます。古着屋の新しい挑戦に注目しながら、その価値を再認識していきたいところです。

Taeko Mitamura

アパレル、小売、ECのプランナーとして活動中。名古屋出身。東京理科大学在学中に始めた仕事がきっかけでEC業界へ。2005年にMakeShopのスタートアップメンバーとして参画、マーケティング・営業・広報責任者を経て、2014年7月に独立、アパレル企画&制作会社「UNCLACK株式会社」を設立。 海外工場からODMで3万商品を揃え、在庫システムを開発。ファッションEC「COORDINATESHOP」スタート。2016年青山にアパレルショールームオープン。スタートから3年で売上額1億円を突破。2021年ネットショップアカデミーを開講し、Shopify構築などのクライアントワークを実施。2023年3月より無人古着「SELFURUGI」にジョイン。

<ご連絡先はこちら>
https://linktr.ee/taelab
Email : info@taekomitamura.com

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