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人生で1番痛くて、快感で、感動した1日

10ヶ月間、いや、本当はそれよりも長く、待ち望んでいたその日は静かに訪れた。
2022年4月27日 午後1時45分
暖かな春の陽気に包まれて、我が子は自宅で、水中で静かに産まれ、優しく産声を上げた。

アメリカ在住8年目。
結婚3年目を迎えた2021年、夫婦共にそろそろ子供が欲しいと思っていた。
生理痛が年々ひどくなっていく私、何か病気でも抱えているのかと心配になったこともあった。
けれど、2021年8月24日、天使が私のお腹の中に来てくれた事を知った。
それからひどいつわりに苦しみ、精神的にも肉体的にも本当に辛かった。
あんなに望んでいた妊娠なのに、こんなに辛いなんて・・・。
けれどつわりがおさまってからは、マタニティーフォトを撮ったり、美味しい物を食べたり、仕事も忙しかったけれど、穏やかな妊娠生活を送ることができた。

38週目からは「いつでも出ておいでー」という思いのもと、陣痛来い来い体操や安産体操に励んだ。
最後の1ヶ月は出産予定日ギリギリまで予定を詰め込んで、動きまくった。

そして予定日の4月28日の1日前、4月27日。
その時は静かに訪れた。
なんとなく眠れなかった27日の深夜。ベッドに寝転がるものもなかなか寝付けない。ふと時計を見た時早朝3時頃だった。それから眠ったのか眠っていないのかわからない。なんとなくお腹が痛いと感じてトイレに行くと、おしるしらしきものが。時間は朝の6時。
そしてじわじわとくる生理痛のような痛み。
最初は前駆陣痛かな?くらいに思っていた。
でも一応姉と助産師さんに連絡する。
助産師さんは「朝ご飯を食べて、赤ちゃんの動きを確認してね。もし痛みの感覚が短くなってきたらまた連絡して。」と。
自宅出産をするので何も準備はいらない。病院に向かう必要もない。あちらから来てくれる。これは自宅出産をする最大のメリットだと思う。
だって、髪の毛ボサボサ、どすっぴんでパジャマ姿。
ここからこの痛みの中着替えてある程度身なりを整えて車に乗って出かけないといけないなんて・・・考えただけでも大変すぎる。みんなどうやってるの?
日本にいる姉からは電話がかかってきた。日本は深夜の時間だったと思うが起きていてくれた姉に感謝。
姉には1歳半になる娘がいるので1番身近で最近出産を体験した人だ。
陣痛の痛みがくるたび電話越しで一緒に「うーーーー」と息を吐くために指示をくれる。これが本当に助かった。
何度もイメトレはしていたけど、やっぱり実際に痛みがくると力んでしまってうまく呼吸ができない。
この姉からの電話がなかったら最初の段階をうまく、安心して乗り越えられなかったかもしれない。
そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎて、午前9時頃、陣痛の痛みがあっという間に1分間隔になった。
初産だったので助産師さんには陣痛感覚が3分になったら向かうから連絡してと言われていたのが、あっという間にそんな段階が過ぎてしまった。
旦那に助産師さんに急いで電話してもらい駆けつけてもらうことに。30分後くらいには来れるそう。
朝ご飯を作ってもらったけれど3口ほどしか食べられなかった。
私が痛みと闘っている間、旦那は大忙し。
リビングにビニールシートを敷いて水中出産用のプールを組み立てたり、飲み物や軽食を用意したり。
そこで午前10時過ぎ、助産師さんと勉強中の学生助産師さんが2人で到着。
そこで内診をしてもらうと子宮口は3センチ開いてるとのこと。
助産師さん:「まだ時間がかかるだろうから私たちは一旦外出してランチを買ってくるね」
私:「えーーーー!来たばっかりなのに行っちゃうの?しかもまだ時間かかるってどれくらい?!この痛みから早く解放されたい(泣)」
助産師さん :「わかるわ。すぐ帰ってくるから、頑張って。でももしいきみたくなったりし出したら連絡してね。」
非情にも助産師さん達、ランチしに行ってしまう。
それから陣痛に耐えること40分程、
なんか、いきみたい。なんだこの何かが出そうな感覚...
旦那に、すぐに助産師さんに帰ってきてもらうように連絡してもらう。
ランチを終えた助産師さん、すぐに帰ってきてくれて子宮口の大きさを確認。

なんと先程はまだ3センチだったのに全開になっているとの事。
え、早っ。先輩ママや姉の話ではそれから10時間かかったり歩きに行かされたりしたとか聞いてたけど...

やったー!もうすぐ終わるのかも⁈
子宮口が全開になったので、プールに入れることに。
もう急いで脱いで着替えて待ちに待った着水タイム。

入った途端にびっくり😳 陣痛のさっきまでの痛みが消える。
水に浸かると筋肉が緩んで痛みが緩和されるのだそう。
私の場合は的確な助産師さんの指示と、体が合っていたのか、本当に水中出産にしてよかったと思った瞬間。
あとはいきみたい衝動に合わせていきむのみ。
助産師補佐の方が長い布で作ったロープのようなものを持たせてくれて、それをいきむ時に引っ張り合うのだが、これもすごーく助かった。
このいきむという感覚が本当に経験しないとわからないもので。
もう本当に大きな大きなものを出す。体から出す!
よく鼻からスイカとか言うが、でもそんな感じの辛さは私にはなくて・・・
「お産は怖い物じゃない。お産の快感をぜひみんなに味わってほしい!」と言われているYOUTUBER助産師さんの話を聞いていたので、快感!味わいたーい!!!😍
と思っていたが、私はそれを味わえたとても幸運な妊婦だった。
その時になるとびっくりするほど全身から力がみなぎる。
もうこれ以上にないってほど、「ぅるぁぁぁああああああ!!!!!」て力が出る。
何回かいきんでいたら破水。
パァン!と。
助産師さんはとっても冷静に
「破水したね。いい感じよ。」と。
そこからはあっという間だった。

最後は旦那も一緒に水中に入ってくれて、後ろから支えていてくれた。
これもすごく楽になって助かった。
旦那も赤ちゃんがお腹を頑張って蹴っているのが見えたそう。
それを見て感動していた。
私もまだまだ余裕があって、出てきた赤ちゃんの頭を触らせてもらったりもした。

もう1人来る予定だった助産師さんは下手したら産まれる瞬間に間に合わなかったかもしれないほど、その助産師さんが来てから15分から20分ほどで、とっても穏やかに産まれてきてくれた。
時間は1:45PM  2900g の可愛い可愛い女の子。
旦那氏は最後まで、赤ちゃんの頭が見えてきて、助産師さんが取り出してくれるのも全部見たそうで、本当に感動していた。
臍の緒が赤ちゃんに絡まっていたそうだが、助産師さんが見事な手捌きでクルクルっと取られたんだとか(私は見えてない)

産まれてすぐにプールに入ったまま赤ちゃんを抱かせてもらった。
自宅で穏やかに産まれた赤ちゃんはすぐには泣かない。
産まれてすぐオギャー!と泣くのは、病院の金属音や機械音、明るいライトにびっくりしてしまうからなんだそう。
なんせ赤ちゃんは真っ暗で暖かいお母さんのお腹から出てきたばかり。
そりゃびっくりもするだろう。
だけど自宅だとそのようなものが少ないから、すぐには泣かずに、しばらくしてからゆっくりとホギャホギャ静かに泣き出す。
後産が終わるまではプールにつかったまま、しばし産まれたての赤ちゃんとの時間に浸る。
胎盤もなんの痛みもなくスルッと出てきてくれた。
そのあとは、プールから出て、すぐ横に用意してもらった寝床でまた赤ちゃんをカンガルーケアしながら休む。
そこで初乳を飲ませる。
何も見えていなくても赤ちゃんはおっぱいを探して吸い付くんだからすごいものだ。
お乳が出ているのかどうかなんて自分でもわからなかったがとりあえず
初めての授乳に感動した。
そこで初めて母になったのだと実感。

そして私の初めての自宅での出産体験が終わった。
本当に安産で、元気に産まれてきてくれたことに感謝。
私の赤ちゃん、素晴らしい出産経験をさせてくれてありがとう。
そしてこれから終わりの見えない育児が始まる。
苦しくなった時、この出産体験を思い出したい。
どんなにこの子が産まれてきたとき、感動して幸せだったのかを思い出そう。

今は病院出産が当たり前の世の中だけど、昔は自宅で出産するのが当たり前だった。
病院出産を否定するつもりはないけれど、私は自宅出産できて本当によかったしこれから出産を控えている人達にも勧めたい。
そして、もし出産する機会があったらまた自宅出産したい。
次は娘にも見守られながら、家族で命の誕生の瞬間を味わいたいと思う。






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