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魔法の人

昨夜、もう 疲れきっているというのに、不眠の波が来てしまった。

苦しくて苦しくて、居間の方に行ったり、布団に戻ったり、行ったり来たりしていた。

そのうち 疲れ果て、布団に沈み込み、「苦しい…!苦しいよー!」と、うわ言を言っているうちに、すっかり 妄想に取り込まれてしまった。

妄想の中で、私は 背景を描いていた。

しかしその背景の中に、目玉のような丸ばかり、どうしてもたくさん 描いてしまうのだ。

1枚、原稿用紙をダメにするたびに、うっすらと正気に戻り、「何やってんだ…!!もうやめなくちゃ…!!」そう言って、原稿用紙をぐちゃぐちゃに丸める。

しかし私は次々と、また原稿用紙を取り出し、背景を描き、目玉のような丸をびっしりと描き込んでしまうのだ。

恐ろしかった。
冷や汗が止まらなかった。

描く手は止まらない。

堪らなくなって起き上がり、お父さんを起こした。

「お父さん助けて…!!止まらないんだ…!!」

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