限られた時間の中で
「なかなか、痺れるんもんだなぁ…!」
今日まる一日、熱と戦ったお父さんが、体を起こしてそう言った。
「眠ってばっかりだと、背中が凝るべ」
お父さんの肩から背中まで揉んだ。
その時ふと、あとどれくらい、お父さんに「いいこと」ができるかなぁと、思ってしまった。
お父さんも、毎日毎日、私が眠ってしまっても、両足を揉んでくれている。
まるで、今のうちにしか出来ないから、目一杯やってあげようという感じだ。
お父さんは 憔悴しきっていて、自力で、夜の薬を飲めるかどうか分からない。
薬を飲ませるまでは、頑張って起きてようと思っている。
しかしいかんせん、今日は私はとてもとても起きていられず、眠りかけては、ど根性で自分に喝を入れ、なんとかこうとかお父さんから目を離さないように起きていた。
就寝前の薬の時間になり、睡眠薬の入った就寝前の薬を飲んだ。
今夜あたり、体力の落ちた お父さんは、なんだか また熱をぶり返し そうである。
お父さんの夜の薬に、解熱剤をホチキスで止めた。
だけど私が起きていないと、お父さんはこのまま朝まで眠ってしまいそうな感じだ。
明日の美容院はキャンセルだ。
いつまで、あとどのくらい、お父さんに「いいこと」ができるか。
いつもそれを考える。
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