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食器のはなし

当たり前といえば当たり前なんですが、インドで使われる食器はインドの食文化に最も適したものでした。
銀色のお盆を中心にしたステンレス製の食器ですね。
日本のように陶器や磁器やガラスといった色々な素材ではなく、オールステンレス製が一般的みたい。
それにプラスする感じで別素材の食器もあったりしますが、あくまでも主役はステンレス。
それはたぶん今後も変わらないでしょう。

なぜなら、これほどインド料理に合う食器素材はないから。
まず、手で食べる文化に適しています。
熱々を取り分けたとしても各自に配っている間に冷めて、更に手で混ぜやすくなります。
香辛料をビシビシ使っていても、食器に色も匂いもつかずすぐ落ちる。
大理石など石を使用した建物が多いインド、たとえ床に落としてもコンクリートの洗い場にぶつけても、壊れることはありません。

また意外と品数が多く、食器の数が増えるインド料理ですが、同じ大きさ同志で収納しやすいところも利点だと思う。
なんといっても頑丈なので、ヘタに重ねても問題ないですしね。

ところが。
居候中のArjun家では気付かなかった大問題が、サービスアパートで発生してしまいました。
それは、食器を洗う時の騒音問題。
これはたぶん1度でも聞いたことがある人しか、わからないと思います。
なんせワタシ、その音で毎朝目が覚めるくらいでしたから。

ワタシが長く借りていた2件目のサービスアパートは、ぴったり一般住宅に隣接していました。
しかもワタシの部屋の斜め下に、メイドさん用の洗い場があったのです。
基本的に洗い物はメイドさんの仕事。
メイドさんの時間は各家庭によって異なるみたいですが、そこのメイドさんは早朝からの契約のようでした。
なので来た早々、ガッシャガッシャと前日分の食器洗浄から仕事が始まる訳です。

ここではガッシャガッシャなどと抑えたオノマトペを使っていますが、実際はそんなかわいいもんじゃない。
大量のステンレス食器を力まかせにかき回している音は、やはり想像してもらうしかないのですが、まぁなかなか凄まじいです、ホントに。
別にこのメイドさんが乱暴という事じゃなくて、スピーディーに食器洗いを終わらせようとしたら、こういう音になるのでしょう。

またインド人は音に寛容な人種だと、3か月間でしっかり学んだワタシ。
彼らにとってあれぐらいなら、うるさいうちに入らないのだと思う。
これもひとつのインドらしさなのだと、耐えるしかありませんでした。

でもワタシ、そういう経験も踏まえて、インド旅行には耳栓を強くおすすめします。



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