見出し画像

"天気を失った年"

「We Lost The Summer」という曲がある。某ウイルスの影響により、日常からかけ離れた生活を送ることになった10代の若者たちの気持ちを代弁している曲だ。先日公開されたMVを見た途端あまりにも色々な感情が溢れて止まらなかったので、とりあえず今頭の中にある分だけでも文章として残しておこうと思う。

画像1

画像2

画像3

画像4

MVの冒頭では、鏡の前で楽しく写真を撮るメンバーの姿がある。しかし携帯の画面に緊急アラートが表示されてから事態は一変し、次の場面に切り替わるともう5人はオンラインでしか会話することができなくなっている。

画像5

画像6

マスクをつけ、互いに距離を取って歩くメンバーたち。

このMVを観た私は、あっけなく終わっていった2020年のことを強く思い返した。というか、あまりにもメッセージ性が強いのでそうせざるを得なかったのだと思う。

私はこの春、高校を卒業し、大学生になった。楽しみにしていた大学生活は、入学式が中止になり、授業はすべてオンラインという、なんともぬるっとした感じで始まった。この「ぬるっとした感じ」というのは春先に私がよく使っていたもので、自分が高校生なのか、大学生なのかはっきりわからないという気持ちを表してくれる言葉だ。慣れないパソコンでの授業と課題に追われる毎日を過ごし、やっとの思いで夏休みを迎えた。夏までろくにバイトもしていなかったので前期の間は家にいる時間が多かったのだが、この時すでに2020年は半分も残っていなかった。夏休みの終わりごろ、大学のホームページに「後期の授業は対面になるものもある」との掲載があった。やっと学校に通える・・・!新しく友達ができる・・・!とワクワクしていたのも束の間、対面授業一覧を見てみると、私の履修している授業は1つしかなかった。結局現在の私は週に1度、それも、たった1つの授業のために片道1時間半もかけて大学に行っている。無論、大学でできた友達は数人しかおらず、会って実際に会話をした人数なんて片手で数えられてしまうほどしかいない。このように後期もこれといって変わり映えのしない毎日を過ごしているのだが、暦を見るともう11月半ば。本当に嫌になる。

私がそんな1年を過ごしている間、世の中はどうだっただろうか。ウイルスに関する新造語や言い回しが生まれ、それに便乗した新しいキャンペーン、楽曲などもたくさんできた。きっと今のこの暗い世の中を少しでも明るくしようと、というか経済を回そうと作られたものが多かったと思うのだが、そういったあざとさが、私にとってはかえってストレスだった。毎日テレビやラジオから流れてくる出口の見えないやり取りや新感染者数の報道などと同じくらい、耳にしたくないものばかりだった。理由は、どれも前向きで私の気持ちなど無視していると感じたからだ。そう感じてしまった根本の原因は彼らではなく私の荒んでいた心にあるのだろうが、それでも、こんな状況で前向きになろうとか言われても無理があった。周りの学生や社会人はみんな学校も仕事も始まってるのに、私だけは相変わらずオンラインばかりで、いつまでたっても大学生になれずにいる。自分だけ違う世界に生きているような、世の中の流れに置いて行かれているような気がしていた。サークルに入るタイミングも友達を作る機会も失った。前向きな楽曲とか売り文句を作っていた大人たちは、そういった生活を余儀なくされている若者たちがいることを知ったうえで発言、発信していたのだろうか。

そんな中、TXTの新たなアルバムが発表された。ひとつ目に公開されたコンセプトフォトには、zoomの画面に映し出されるメンバーの姿があった。そして先ほど紹介した「We Lost The Summer」。好きなアイドルだからひいき目で見ているとかではなく本心で、ウイルス関連で生まれた何かに嫌悪感を抱かなかったのは初めてだった。

MVを観た日、私は泣きそうだった。TXTはその楽曲と映像を通して、まさに今年失ったものが多かった私の気持ちを理解し、代弁してくれたのだ。私がずっと求めていたものは共感だったのだということにも気づいた。私の気持ちも理解しようとせず無理やり前向きな方向にもっていこうとする楽曲やイベントなどが多い中で、TXTだけは唯一、多くの10代が抱えているネガティブな気持ちに焦点を当ててそれをうまく表現してくれた。その「あえて」が私にとっては本当に大きな救いだった。きっとTXTも同じ時代を生きる若者として、そして、デビューしてまだ2年目のアイドルとして失ったものが多い1年だったと思う。そんな気持ちを素直に伝えてくれたことが嬉しかったし、何よりも、楽曲、MV、パフォーマンス、全ての表現が今の私の気持ちとぴったりリンクしていた。

彼らの伝えてくれるメッセージには感嘆させられることが多い。時には今回のMVほど上手に受け取ることができないときもあるが、人生はタイミングだ。きっと私が見逃してきた言葉たちは私にとってそれが必要になった時に出会えるのだろう。これはすべての人や物事に言えることで、何においてもその人その人のタイミングがある。私がK-popにハマったのもBTSやTXTの存在に気付いたのも世間一般的に見ればすごく遅かったと思うが、それが私の彼らに出会うタイミングだったのだ。なんだか話が脱線してしまいそうなのでこのあたりでやめておこうと思う。TXTの楽曲が多くの人に愛され、生かされますように。そして、2021年はもっと幸せに過ごせる人が増えますように。

MVのリンク貼っておくのでよかったら見てください(/・ω・)/♡

https://youtu.be/kwy0nR1_SBQ