見出し画像

新卒の社会人が最初に学ぶべきは「ダメ出し」の正しい受け止め方だと思う

4月。入社式の中止やいきなりの自宅待機などで、新卒の方々はいまとても大変そうだ。自分が同じ立場だったら「会社にはどんな人がいるんだろう」「研修&配属はどうなる?」「毎日早起きとか無理」などなど、不安過ぎて発狂すると思う。

なので、社会人になりたての頃に知っていればよかった、と思ういくつかのことを、数回に分けて伝えてみようと思う。「働き始める前に生まれてしまった時間潰しのために、目を通してやるかー」的なメンタリティで読んでいただければ幸いである。

その1.学校と会社では学習サイクルが根本的に違う

私は大学卒業後に入社した会社を1年半で辞め、いまは転職して2社目。そんため複数の会社の人材育成の方法を知ることができた。その経験から気づかされたのが「学校と会社では学習サイクルが根本的に違う」「その違いに慣れるには、意識・行動の変化が必要」ということだ。

学校での学習サイクルは、まずはじめに例題と解法が示され、それに従って問いを解く(数学の教科書など、まさにそのスタイル)。あるいは料理のレシピみたいにそれぞれの工程が手順を踏んで説明されていて、タスクの全体像を掴むことができる。

しかし社会人には例題も解法もほとんど用意されていない。マニュアルが完備されていることなどないし、OJTと称していきなり現場に放り出される。なぜやるのか、どうやるのかわからない仕事に取り掛からなければいけないことも少なくない。1社目、大学を卒業したばかりの私はとても戸惑った。

それでも見よう見まねで、ドキドキしながらやってみる。「なんとかなった……」と思っていると、「このやり方はおかしい」「ここを直して」「なんでできないんだろうね」などなど、たくさんのダメ出しが飛んでくる。

怒られる経験が少なかった私は、がっかりした。「失敗する前に教えてくれればいいのに」「言われてないことをできるわけがないでしょ」などとぷんぷん怒った後、「でも結局は、自分の能力が足りないんだろうな」と落ち込んでいた。

それが大きな理由ではないけれど、1年半後、会社を辞めた。後輩のために(というか半分当てつけかも)仕事の手順を示したマニュアルを作って、置いていった。

でも、2社目もやっぱり同じで、「それ事前に教えてよ」「言われてないことをできるわけがないでしょ」状態だった。そこで初めて、どうやら自分の考え方のほうを変えていかないといけないのだということに気づいたのだ。

「ダメ出し」を正しく受け止めるために

教える側の立場になってよくよく考えてみれば「まずやらせてみて、おかしなところを指摘する」ほうが、1から10まで教えてやらせるよりも、はるかに効率が良い。

そして実は学習する側も、その方が成長のスピードが速いこともある。座学で勉強したり自分の頭で考えて手が止まるより、とりあえず仕上げてフィードバックをもらって改善したほうが、早く、良いものができあがることもあるだろう。

ところが学校ではずっと「やり方を事前に学び、なるべく間違えないように」勉強していたので、考え方を意識的に変えていかなければ、「ダメ出し」をもらいながら素早く成長していく社会人に変貌するのは難しい。

だから多くの新卒・社会人がまず身に付けるべきは、ダメ出しやフィードバックに対する“恐れ”を取り除くことではないか。例題や解法が示されていないまま問題を解いているのだから、ダメ出しは当たり前。それは学びの過程であって、自らの能力や人格を否定するものではないことを、自分に言い聞かせる必要がある(どう捉えてもそんな言い方をしてくる上司/会社なら、さっさと辞めたほうが良い)。

「受け身」が下手過ぎると、私みたいに悲しくなって学習スピードが落ちてしまったり、もっとひどいと、せっかく能力があっても潰れてしまう。「学校と会社では学習サイクルが根本的に違う」。このことを意識するだけで、だいぶスムーズに会社での学び方に慣れていけるはずだ。

逆に新卒のメンターなどを担当する方は、部分的にマニュアルを作る、大ざっぱでも仕事の全体像を示してあげるといった準備をすると良さそうだ。少しの配慮があるだけで、学校でしっかり学んできた新人が、スムーズに会社の学び方に馴染んで、のびのびとパフォーマンスを発揮することにつながると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?