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【詩】フルムーン2月

雪が真横に走り
地吹雪は足元を奪おうと繰り返す舞
目の前は色の存在が無く
本当の闇が夜の中で埋め尽くされていて
風たちの怒号が心臓に噛みつく
いつのまにか 足元に闇の雪が固まって
身体にまとわりつく夜の闇は
すべての温度を奪い
時計の針は無くなり
心には重力がかかり
脳には氷河期が訪れる
どちらに進んでいいのかわからず
それでも 足には自動ゼンマイ
止まったら夜の闇に取り込まれる

小さな森にうずくまり
辺りが静かになると
重たそうな 雪雲のすきまから
フルムーンが覗き込んでいる
氷のような明かりで照らす

微笑んでいる ように見える

その先にある美しさは
死のうえになりたつ
無機物の輝きたち
肉声は許さず
生命を持たぬものの音だけが存在し
それがまた氷の明かりとよく似合う
できるだけ無機物に近づいて
微笑む先をじっと見つめている


「スノームーン」

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