「体にいい食品」の効果はたまたま!? 根拠のない宣伝に気をつけよう

例えば、「ビタミンDが風邪予防に有効だ」という話があります。

ビタミンDは骨の健康だけでなく、免疫の助けにもなる可能性が指摘されているのです。こうした理論上の話から、「ビタミンD添加の牛乳は風邪予防に有効」という話になり、さらには「ビタミンD添加の牛乳を毎日飲むようになってから風邪をひかなくなった」という話をする人も必ず現れるはずです。

しかし実際には、これもただ机上の空論の可能性、偶然の可能性があります。そこで、それを確かめるために臨床試験が行われています。

試験では、毎日1000単位のビタミンDサプリメントを飲んだ人と、見た目が全く同じ偽物のサプリメントを飲んだ人で風邪の発症率を比較しています。この研究はランダム化比較試験と呼ばれ、因果関係を示すのに適した研究手法です。

約2200名が参加したこの研究で、ビタミンDと偽物のサプリを飲んだ人たちで比較をしたところ、風邪の発症率に違いは見られませんでした。

これは、ビタミンDの注射薬を用いた別の研究でも同様の結果となっており、今のところビタミンDの風邪予防に対する効果を示すことができていません。食品となればなおさらで、ビタミンD入り牛乳も、そのような効果を示した研究はありません。

このように、食品と健康の因果関係を示すのは難しいことであり、多くのことがまだわかっていないままです。

だからといって、「それを食べるな」ということではありません。ただ、「〇〇が健康によい」に傾倒しすぎて食事のバランスを崩してしまうと、必ずしもその食品の過剰な摂取が健康につながるわけでもないため、結果的に「健康に悪い」に変わってしまっている可能性があり、注意が必要だということです。

「信じるものは救われる」かもしれませんが、信じすぎず、バランスよく、がよいのだと思います。

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