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『泥だらけの純情』1963年日活

たまたま夫がお風呂に入るためチャンネルを合わせたまま去ったので、BSで映画を観ていた。

ほんとうは観たい映画をお気に入りに入れているのに、それらはぜんぜん観られなくて、夫が番組の切り替えどきやコマーシャル回避のために、たまたま合わせたチャンネルで流れている番組を横目で見ていることが多い。

夫は家にいる時はずっとテレビを点けている。
こういう人はそう珍しくもないようで、私の父もそうだったし、知人や友人の中にもいる。 
そのわりにちゃんと見てなくて、横目で見ている私の方が

これ、前に見たよ。 

というと、そうか⁇

って、あなたの眼は何を見ていますか?

逆に私は自発的にテレビを点けることはなくて、予告や番宣を見かけて視ようと思えど、予約するほどでもなく忘れてしまう。

コマーシャルで立ち上がるとそのまま次のことに意識が向いてしまい、テレビのことを忘れたりどうでも良くなってしまう。

NHKの、深夜枠が好きな時期もあったが、そのうち人気が出てゴールデンに降りてきて視られなくなったり、番組のファンとかいうタレントの解説が入ったりして、どんどんメジャーになってつまらなくなる。
私も視聴率上げた一人なんだけど、さ。
ありがちな話です。

そのせいで、たくさんの面白い番組を見逃していると思うと残念だ。
テレビの話をしている輪に入れないのでその間退屈である。

横目で見ているせいか、斜めに見ているようにおもう。
いや、絶対そうだ。

✳︎

映画のあらすじをざっくり書くと、外交官の娘とチンピラヤクザの恋の顛末である。

映画の内容にはそれほど関心がないので、夫がチャンネルを変えるといえば異存はなかった。
興味を惹かれたのは背景である。
街並みや駅構内、人々の服装や化粧、使われている言葉、食べているもの、などなど。

それから、結末を知りたかった。
しかし次の番組の予告が入り、それが始まるのが5分後なので、二人は死ぬのだろうと予想がついた。

お風呂から上がって、内心はチャンネルを変えたい夫が、熱心に見ている私に気を遣ったようで、機械的に缶チューハイとつまみを交互に口に放り込み、もぐもぐしながら見ている。

と、急にフいた。

映画の中の浜田光夫扮する次郎の台詞に吹き出したのだ。

そこ、笑うところじゃないから!

とは言え、外交官の家の暮らしぶりや話す言葉や内容、対する盛り場の路地裏の安アパートで暮らすインバイオンナの暮らしぶりや話す言葉や内容が、どこまでが本当にありえたことで、どこから脚色、演出なのか今となっては判断はできかねる。

古い古い渋谷駅、有楽町西銀座デパートは見覚えがあった。
恋は成就せず、2人は雪山で心中する。
小池朝雄さんの役柄が光っていた。


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