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先生の役割

夏休みの学童クラブの1日は長い。
私の勤務しているクラブは、午前8時から午後1時までの勤務か、午後1時から6時までの二部に分かれている。
人員の調整がつかず通しになる場合は、午前10時から12時で一度帰り、再び午後2時から5時まで勤務か、午前10時から午後4時までの通しで勤務、これはごく稀だ。

子どもたちは登園や降園時刻が多少前後したり、夏休みで6年生や中学生の兄弟姉妹が迎えに来るなどすることもあるが、ほとんどの子が8時から5時6時まで学童で過ごす。
連日熱中症アラートが発令されているので外遊びはできない。
タブレットもスイッチもないから、アナログなゲームや工作、お絵描き、読書(漫画も含む)などをして遊ぶ。

最近流行っているのが、輪編みのマフラー作りと毛糸のポンポン作りだ。
この暑いのに…
器用な子は自分で作るが、糸をきつく結んだり解けないような始末は私たちがしている。
それをしない子は、ウノ、リカちゃんハウス、人生ゲーム、空き箱を使った工作などしている。

中には、なにひとつ向かない子もいる。
不器用で飽きっぽく気が散りやすい。

昼食後は約2時間ビデオ観賞の時間を設けている。
学年と性別に分け、話し合いでタイトルを決める。
トムとジェリーはどの学年性別にもダントツ人気だ。
集中して最後まで観ることができるのは半分くらいで、じきに立ち上がってウロウロして本棚に上がったり、誰かにちょっかいを出してケンカを勃発させたりする子が出てくる。
机の下に潜って眠ってしまう子もいる。
各々が好きなことをし始めるので、最初の30分は見たくなくても見るという取り決めになっている。
離脱組は静かに本を読むか、塗り絵をすることになっている。
この時間は工作や音や声を発するゲームはできない。

せっかく毎日長い時間学童にいるのだから、なにかまとまったことをみんなでやって楽しもうと、いろいろな企画を考えて実行している先生もいらっしゃる。
例えば、予めなぞなぞ問題をいくつか用意させて、全員を集めて一人ずつ出題させる。
答えがわかった人は手を挙げて選ばれれば答える、というゲーム。
問題を出すのが好きな子、答えるのが好きな子、そのどちらも好きな子がいて、三分のニくらいはゲームを楽しんでいる。
三分の一の中の、最も無関心な子は廊下に出てしまう。
無関心の残りの子は、私の近くに寄ってきて、つまんない、早く終わりにして、好きなことをして遊びたい、と呟く。

思い起こせば、私も学校でこんな子どもだった。
だからこの子たちの気持ちはよくわかる。
それで言ってくるのかもしれない。
先生にそんなことは言わない。
暴れたり妨害するわけではないから、放っておかれる。

私は子どもの頃、担任の先生が私の話を聞いてくれると思ったことがなかった。
なにか、頭の上を通り過ぎていく言葉をかけてはくれるけれど、核心に迫ってはこない。
今ならわかる。
先生は全体を見て行わせなければならないのだ。
そういう役割なのである。

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