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色と歩く

  小学校からの帰り道、私は過ぎ去って行くモノクロの地面と、1個ずつ視界を出入りする水色のベルクロスニーカーを眺めながら歩いていた。いつも変わらない通学路の色。いつからかそれが当たり前になっていた。

  その日もいつもと同じ色を見て歩くはずだった。しかし、そのとき突然頭になにか当たった。雨である。その日は1日晴れ予報だったため、私は傘を持っていなかった。突然の雨に驚いた私は、ばっと空を見上げた。その瞬間、私の視界にはたくさんの色が入ってきた。少し重たい空の色、冷たい雨の色、形様々な家の色、等間隔で並ぶ木の色、走っていく車の色、色とりどりのランドセルの色、様々な色だけでなく柄もある傘の色、青・黄・赤の信号機の色。私は通学路にたくさんの色があることを知った。

  少し目線を変えただけで視界に入る色は変わる。これを読んでいるあなたは、いつも何色と歩いているのだろうか。

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