Tadahiro Goto

MD, MPH, PhD. TXP Medical CSO. 僕らはまだ臨床研究論文…

Tadahiro Goto

MD, MPH, PhD. TXP Medical CSO. 僕らはまだ臨床研究論文の本当の読み方を知らない(羊土社): http://amzn.to/3phTPui 臨床研究論文作成マニュアル:http://gotoresearch.jp/wp/

マガジン

  • GOTO雑記

    色々思ったことや好きなことを書くための雑記帳

  • TXP Research勉強会

    TXP Research定例では抄読会と勉強会を行なっています。そこでの発表をもとに思ったことや感じたこと、公開可能範囲での議論など。

  • 臨床研究マガジン

    臨床研究を行なっていて思ったこと、気づいたことなどを書いていきます。

  • Research × Master of Fine Arts

    Master of Fine Artsで何を学んで、どんなことを思ったかの備忘録です。時々有償になります。

最近の記事

『医学研究のための因果推論レクチャー』を読んで(献本)

献本いただきました。臨床疫学の専門家の先生方が書かれている因果推論の入門書です。著者を見ただけで、「あ、これは買おう」と思う人もそれなりにいると思います。 因果推論は流派や考え方などもあってディープな分野なので、僕の本ではさらっと流すにとどめていましたが(因果警察怖いし)、最近はEpiTapなどの因果推論セミナーがあり、医療者にも浸透してきたと思います。その部分に正面から切り込んでいった本です。 因果推論の本自体はたくさんあるのですが、臨床研究者向けの総説に近い本です。た

    • JAMAの個別化治療の論文について: Individualized Treatment Effects of Oxygen Targets ~

      最近出たJAMAのこの論文に関して質問されることが多かったのですが、そんな折、ちょうどTXP勉強会で研修医のS先生が発表してくれました。しっかり読んでくれていたので理解しやすかったです。内野先生のblogの内容を受け売っていた部分もあった気がしますが。 というわけでTXP勉強会での議論を少しまとめました。全部は無理ですが、これまでに聞かれた質問も含めて、盛り上がった議論の部分に関してです。最近のnoteは精神論的なことしか書いていなかったのですが、たまにはこういう記事もとい

      • オンラインミーティングでの顔出し

        コロナ禍で散々言われてきた事な気がしますが、大手医療データ系の企業や伊藤忠からTXP社に来た方はいつもちゃんと顔出ししています。仕事できそうなやつは大体顔出し(古い)。ビジネス視点では当然ですが、社内ミーティングでも常に顔を出してます。 PCに向かっているのが当たり前な職種だったり、他の作業してたりとか、ちょっと気を抜いてるところを見られたくないとか、服装が面倒とか色々あると思うのですが、相手の顔が見えてるのと見えてないのでは当然見えてる方が印象はいいです。 話す側からす

        • 『レジデントのためのビジネススキル・マナー』を読んで(購入・感想)

          最近のレジデントがどういう風に社会や業界を捉えているかはあまり分からないのですが、僕がレジデントの時はビジネススキル・マナーから程遠い人間であったので、思わず購入してしまいました。 最近は積読になる事が多いので、届いたその日に少なくとも目を通すように意識しています。本書は第一章から四章までの構成で、若干文字が小さく多いですが、余白が大きく読みやすい本でした。 第一章:社会人としての基本スキル・マナーそもそもこういう本が必要な人間は本書を買わない気もしますが笑、「確かに大事

        『医学研究のための因果推論レクチャー』を読んで(献本)

        マガジン

        • GOTO雑記
          9本
        • TXP Research勉強会
          18本
        • 臨床研究マガジン
          17本
        • Research × Master of Fine Arts
          3本

        記事

          臨床予測モデル検証の要点2:どのように外的検証研究を行うか?

          Part 1の概要と解説記事はこちらからどうぞ。 今回はそのPart2に関してまとめました(CC BY 4.0) Riley RD, Archer L, Snell KIE, Ensor J, Dhiman P, Martin GP, Bonnett LJ, Collins GS. Evaluation of clinical prediction models (part 2): how to undertake an external validation study.

          臨床予測モデル検証の要点2:どのように外的検証研究を行うか?

          学会の服装とかスーツスタイルとか

          中年&体型の崩れもあって雑な服装が増えましたが、昔はファッション好きでした。服に興味を持ったきっかけは、中学生の頃好きだった子に「セーターインは流石にダサいから出しなよ〜」と言われた事。 特に高校生〜大学生の時はモテたい一心で頑張っていましたが、いかんせん重度のOTAKUだったので、最初は髪を赤に染めようとか前開けてジャケット着ようとか(数学の荻野)、指を出すタイプの革手袋買おうとか(我は放つ光の白刃)、明後日の方向を向いた服装をしようとしていました。友人やショップ・美容室

          学会の服装とかスーツスタイルとか

          学生・研修医の学会発表

          学生の時、学会シーズンになると行われる「予演会」が嫌いでした。定例カンファの後に追加で行われるから帰るのが遅くなるし、内容は専門的すぎて面白いのか分からないので。今では凄く大事だなと実感しています。 今回の集中治療学会では3名の学生・研修医が発表しましたが、一名は優秀演題セッションに採択されて良かったです。一名は事前のスライド供覧を忘れてたので注意しました。 僕は他の施設の若手のプレゼンを見るのも好きで、学生・研修医の良いプレゼンをみかけると指導医(大抵セカンドとラスト)

          学生・研修医の学会発表

          医学誌の編集側の仕事や査読

          先日のTXP勉強会では、医学誌の編集委員(エディター)を行っている先生から、実際の編集部の仕事に関してお話しいいただきました。中々雑誌の裏側?を知ることはできないので、非常に興味深い内容でした。 エディターは論文が投稿されたら、内容を確認し、査読に回すかどうかを決め、最終的に採択するかどうかを決定します。医学誌によっては、最初は投稿規定に沿っているかどうかを専門の部署がチェックしますが、そうではないところもあります。そうなると最初の査読でそれらの点を指摘しなければいけません

          医学誌の編集側の仕事や査読

          臨床予測モデル検証の要点

          2024年1月にBMJのResearch Methods & Reportingで予測モデルの評価と外的検証に関するreviewが3本出たので、復習も兼ねて自分なりに整理しました。本記事ではpart 1のみ扱っています。 この論文に書いてある通りに行うべき・論ずるべきか?と言われると思うところはあるのですが、予測モデルの研究を行った経験のある人や、抄読会などで何度か予測モデルの研究を扱った人は必読の内容だと思います(特にpart1)。これらの事を知った上で、どうするか考える

          臨床予測モデル検証の要点

          BMJの院内心停止の論文を臨床医とちょっと読む

          先日、救急専門医を持っている4名(一人は蘇生のエキスパート)でピッツバーグの大久保先生が書いたBMJの院内心停止に関する論文を読みました。院内心停止はどの科でも起こりうる事象ですが、蘇生時間が30分〜40分を超えると予後は厳しいということが改めて可視化された論文です。 大久保先生は僕が研修医時代からお世話になっている先生で、EM Allianceなどのイベント通じて色々と教えていただきました。本論文はCC-BY 4.0ですが、事前に著者にも話を通しています。 ピッツバーグ

          BMJの院内心停止の論文を臨床医とちょっと読む

          『私の研究は(なんとなく)重要です』

          今でもよく覚えているのですが、慶応大学の理工学部一年目だった時のこと。 選択科目で旋盤を使って金属を加工するという実習課題がありました。旋盤が何なのかよくわからないまま言われた通りに作業をし、「金属が簡単に加工できる、すごい!!」と思いながら、課題を行ったあと誰よりも早く一番にレポートをその場で書いて提出しました。 レポートなので考察・結論的な部分があったのですが、 「旋盤の技術はすごいなと思いました。この技術を活かして世界に日本の製品を普及できると良いと思います。(記憶

          『私の研究は(なんとなく)重要です』

          論文の見た目とか体裁をどこまで気にするか

          昨日のTXP勉強会ではAJRCCM(集中治療のトップジャーナル、通称ブルージャーナル)のin pressの論文を紹介してもらいました。発表者の先生は論文の見た目に拘る派で、どうやって綺麗な図表を描くか、なども見て自分の研究に生かしているとのこと。すごい。 僕もどちらかというとそのタイプで、図表が汚い・雑な論文が回ってくると「どうせ中身も適当だろうな」と思ってしまうのですが、今回紹介してもらった論文は、割と図が雑…という。日本で一番ICU系の論文を書いているであろう某先生もこ

          論文の見た目とか体裁をどこまで気にするか

          【出版後記・雑記】僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。

          出版からもうすぐ3年になろうとしている本書ですが、5刷の連絡を頂きました。地道に売れ続けているのは嬉しいもので、折角なので本書を出したことを振り返ろうと思います。手に取って頂いた方には本当に感謝しています。 1. 目指したもの本書を書いた時は不安も大きかったのですが、案ずるより産むが易し。良いこと悪いこと含め、色々な方からコメントを頂けるのも醍醐味です。 単著は本書しかないので思い入れが深いのですが、最初の一冊は出し惜しみせず全力を注げと誰かが言っていたように、この本には

          【出版後記・雑記】僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。

          『正攻法ではないけれど必ず書き上げられる はじめてのケースレポート論文』を読んで(購入)

          SNSで話題になっていたので購入しました。 献本ではないですが、佐藤先生とは一緒に活動している案件もあるため、以下その辺は差し引いて読んでください。Non-financial COIというやつです。 1. ターゲットが明確本書の注意点に『既にアカデミックな業績のある方は読むのを禁止したいくらい』と書いてあるのですが、僕は人に教えることが多く、初学者向けの本がどういう風に書かれているか興味津々なので思わず購入してしまいました(ごめんなさい佐藤先生)。良いところは取り入れたいの

          『正攻法ではないけれど必ず書き上げられる はじめてのケースレポート論文』を読んで(購入)

          勤務時間外のミーティング

          医師と一緒に仕事や研究をしていると、よく平日夜や週末にミーティングが行われます。僕もそれが当たり前だと思っていましたし、実際に今も夜に固定時間のミーティングがあります。そもそも数人レベルでも時間を合わせるのが難しいのに、何十人もが日中に固定時間の会議枠を取るというのはまず無理なので。 医師から『スケジューラー作ったんでお願いしますー』ってメールやSlackで連絡が来ると、平気で夕方19時〜、夜22時〜、土曜午前11時とかの枠があります。 これまではそういうものだと思ってい

          勤務時間外のミーティング

          多変量回帰における多重検定とsimultaneous confidence bands 

          今週のTXP勉強会は多重検定の話。 仮説がいくつもある状況、例えばアウトカムがいくつもあるとか、そういう場合において多重検定の補正をしないといけないんじゃないの?的な話はよくあると思います。 1. αエラーとβエラーこのnoteをわざわざ読みにくる人にとっては今更でしょうが、いわゆるtype I/II (α/β)errorの話。差の検定を例としてあげると、 ・Type I error (α error):本当は差がないデータの平均同士で「差がある」と誤って判定すること、

          多変量回帰における多重検定とsimultaneous confidence bands