Tadahiro Goto

MD, MPH, PhD. TXP Medical CSO. 僕らはまだ臨床研究論文…

Tadahiro Goto

MD, MPH, PhD. TXP Medical CSO. 僕らはまだ臨床研究論文の本当の読み方を知らない(羊土社): http://amzn.to/3phTPui 臨床研究論文作成マニュアル:http://gotoresearch.jp/wp/

マガジン

  • 臨床研究マガジン

    臨床研究を行なっていて思ったこと、気づいたことなどを書いていきます。

  • GOTO雑記

    色々思ったことや好きなことを書くための雑記帳

  • TXP Research勉強会

    TXP Research定例では抄読会と勉強会を行なっています。そこでの発表をもとに思ったことや感じたこと、公開可能範囲での議論など。

最近の記事

論文作成時のコピペ注意点

論文作成時に最初から最後まで一切コピペをしないという人は、昨今あまりいないような気がしますが、コピペ丸分かりのドラフトを出されると結構萎えます。正直、GPTを使って書いてもらったものを、最後にまとめてそのままコピペした方が綺麗で読みやすかったりします。 こういう原稿が続けて2本来たので思わず書いています。 まず、自分の文章であっても過去に発表された論文の文章を丸々用いるのは自己剽窃といって、問題になります。この自己剽窃の問題は調べるほど難しいなと思うのですが、過去に論文で

    • 2024年臨床医学誌インパクトファクター備忘録

      投稿する、共著で入る、名前を見る、投稿相談を受ける雑誌が中心。コロナバブルとオンライン加算が一段落して元の数字に戻った感がありますね。 Major JournalsLancet > NEJM > BMJ > JAMAは意外 Lancet  98.4 NEJM  96.2 BMJ  93.6 JAMA  63.1 Nat Med  58.7 JAMA Intern Med  22.5 Ann Intern Med 19.6 GeneralJAMA Netw Openが強い

      • 横浜市立大学ヘルスデータサイエンスでの研究指導

        2022年から現在まで、横浜市立大学ヘルスデータサイエンス(HDS)専攻清水研究室の客員講師として研究指導を行っています。 横浜HDSで修士(博士前期)を卒業するとMaster of Health Data Science (MHDS)と呼ばれる資格が授与されます。学位的な立ち位置はMaster of Public Health(MPH)やMaster of Science(MSc)等と同様で、ヘルスデータサイエンスに特化しているという主張になるかと思います。そして現在は博

        • 『極論で語る予防医療』(献本)

          著者の濱谷先生とは本書が出たくらいにザギンでシースーを食べたのでCOIが多分あります(僕が払いましたけども)。 この極論シリーズ、もう15冊もあるんですね。その道で有名な先生方が執筆されているシリーズという認識なので、濱谷先生が領域のエースであるということでしょう。 いつも通り前書きと後書きから読むのですが、後書きがないので、前書きのみ。 これは中々の名文です。確かに思いを馳せたことはないですね。 私たちが予防医療を疫学的なコンテクストで学ぶことは、現状まずありません。

        論文作成時のコピペ注意点

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        記事

          『RStudioではじめる医療統計(第2版)』(献本)

          僕が留学した10年ほど前にはSTATAかRかPythonか、という感じでしたが、今はもうRとPythonでいいでしょう。STATAが流行した際にはSPSSなんて…という人も多かった気がしますが、今はSTATAがその位置にあります。当時SPSSやSASは古いと言ってSTATA使っていた人は気をつけてください笑(弘法筆を選ばずですし、結果が出ればなんでもいいとは思うのですが) Rのセミナーや教科書は本当にたくさんありますし、GPTに聞けばコードも教えてくれるので、いわゆるアンチ

          『RStudioではじめる医療統計(第2版)』(献本)

          医者と不動産・税金・相続の話

          最近はグラントと遺書を書いていました。 病んでるとかそういう話ではなくて、友人の弁護士と飲んで色々話をしていた際に、『40を過ぎたら毎年遺書を書くといい』と勧められた次第です。 遺書を書いてみると、自分のライフプランや両親のこと、子どものこと、資産のことなどを見直す良い機会になったと思います。 それもあって、先日のTXP勉強会と横浜HDSのオンライン勉強会(飲み会)では医者のライフプランや不動産・税金・相続の話を簡単にしました。普段は学術的な話をしているのですが、研修医

          医者と不動産・税金・相続の話

          研究と著作権:SNSやブログ、学会で困らないために

          元々は大学院の授業レポートでまとめた内容ですが、折角なので弁護士に相談して公開できる内容にしました。ただ、常に明瞭に線引きがあるわけではありません。個々の規約や倫理的側面、「常識的なこと」に十分に配慮ください。著作権の領域は実際の当てはめも非常に難しいため、法律家でも判断が分かれることはよくあるとのことでした。 ※内容に誤りがある場合、https://twitter.com/GtoDrまで連絡をいただけたら嬉しいです。また口語ベースであるため厳密な表現に関しては専門家と相談

          研究と著作権:SNSやブログ、学会で困らないために

          『医学研究のための因果推論レクチャー』を読んで(献本)

          献本いただきました。臨床疫学の専門家の先生方が書かれている因果推論の入門書です。著者を見ただけで、「あ、これは買おう」と思う人もそれなりにいると思います。 因果推論は流派や考え方などもあってディープな分野なので、僕の本ではさらっと流すにとどめていましたが(因果警察怖いし)、最近はEpiTapなどの因果推論セミナーがあり、医療者にも浸透してきたと思います。その部分に正面から切り込んでいった本です。 因果推論の本自体はたくさんあるのですが、臨床研究者向けの総説に近い本です。た

          『医学研究のための因果推論レクチャー』を読んで(献本)

          JAMAの個別化治療の論文について: Individualized Treatment Effects of Oxygen Targets ~

          最近出たJAMAのこの論文に関して質問されることが多かったのですが、そんな折、ちょうどTXP勉強会で研修医のS先生が発表してくれました。しっかり読んでくれていたので理解しやすかったです。内野先生のblogの内容を受け売っていた部分もあった気がしますが。 というわけでTXP勉強会での議論を少しまとめました。全部は無理ですが、これまでに聞かれた質問も含めて、盛り上がった議論の部分に関してです。最近のnoteは精神論的なことしか書いていなかったのですが、たまにはこういう記事もとい

          JAMAの個別化治療の論文について: Individualized Treatment Effects of Oxygen Targets ~

          オンラインミーティングでの顔出し

          コロナ禍で散々言われてきた事な気がしますが、大手医療データ系の企業や伊藤忠からTXP社に来た方はいつもちゃんと顔出ししています。仕事できそうなやつは大体顔出し(古い)。ビジネス視点では当然ですが、社内ミーティングでも常に顔を出してます。 PCに向かっているのが当たり前な職種だったり、他の作業してたりとか、ちょっと気を抜いてるところを見られたくないとか、服装が面倒とか色々あると思うのですが、相手の顔が見えてるのと見えてないのでは当然見えてる方が印象はいいです。 話す側からす

          オンラインミーティングでの顔出し

          『レジデントのためのビジネススキル・マナー』を読んで(購入・感想)

          最近のレジデントがどういう風に社会や業界を捉えているかはあまり分からないのですが、僕がレジデントの時はビジネススキル・マナーから程遠い人間であったので、思わず購入してしまいました。 最近は積読になる事が多いので、届いたその日に少なくとも目を通すように意識しています。本書は第一章から四章までの構成で、若干文字が小さく多いですが、余白が大きく読みやすい本でした。 第一章:社会人としての基本スキル・マナーそもそもこういう本が必要な人間は本書を買わない気もしますが笑、「確かに大事

          『レジデントのためのビジネススキル・マナー』を読んで(購入・感想)

          臨床予測モデル検証の要点2:どのように外的検証研究を行うか?

          Part 1の概要と解説記事はこちらからどうぞ。 今回はそのPart2に関してまとめました(CC BY 4.0) Riley RD, Archer L, Snell KIE, Ensor J, Dhiman P, Martin GP, Bonnett LJ, Collins GS. Evaluation of clinical prediction models (part 2): how to undertake an external validation study.

          臨床予測モデル検証の要点2:どのように外的検証研究を行うか?

          学会の服装とかスーツスタイルとか

          中年&体型の崩れもあって雑な服装が増えましたが、昔はファッション好きでした。服に興味を持ったきっかけは、中学生の頃好きだった子に「セーターインは流石にダサいから出しなよ〜」と言われた事。 特に高校生〜大学生の時はモテたい一心で頑張っていましたが、いかんせん重度のOTAKUだったので、最初は髪を赤に染めようとか前開けてジャケット着ようとか(数学の荻野)、指を出すタイプの革手袋買おうとか(我は放つ光の白刃)、明後日の方向を向いた服装をしようとしていました。友人やショップ・美容室

          学会の服装とかスーツスタイルとか

          学生・研修医の学会発表

          学生の時、学会シーズンになると行われる「予演会」が嫌いでした。定例カンファの後に追加で行われるから帰るのが遅くなるし、内容は専門的すぎて面白いのか分からないので。今では凄く大事だなと実感しています。 今回の集中治療学会では3名の学生・研修医が発表しましたが、一名は優秀演題セッションに採択されて良かったです。一名は事前のスライド供覧を忘れてたので注意しました。 僕は他の施設の若手のプレゼンを見るのも好きで、学生・研修医の良いプレゼンをみかけると指導医(大抵セカンドとラスト)

          学生・研修医の学会発表

          医学誌の編集側の仕事や査読

          先日のTXP勉強会では、医学誌の編集委員(エディター)を行っている先生から、実際の編集部の仕事に関してお話しいいただきました。中々雑誌の裏側?を知ることはできないので、非常に興味深い内容でした。 エディターは論文が投稿されたら、内容を確認し、査読に回すかどうかを決め、最終的に採択するかどうかを決定します。医学誌によっては、最初は投稿規定に沿っているかどうかを専門の部署がチェックしますが、そうではないところもあります。そうなると最初の査読でそれらの点を指摘しなければいけません

          医学誌の編集側の仕事や査読

          臨床予測モデル検証の要点

          2024年1月にBMJのResearch Methods & Reportingで予測モデルの評価と外的検証に関するreviewが3本出たので、復習も兼ねて自分なりに整理しました。本記事ではpart 1のみ扱っています。 この論文に書いてある通りに行うべき・論ずるべきか?と言われると思うところはあるのですが、予測モデルの研究を行った経験のある人や、抄読会などで何度か予測モデルの研究を扱った人は必読の内容だと思います(特にpart1)。これらの事を知った上で、どうするか考える

          臨床予測モデル検証の要点