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医学誌の編集側の仕事や査読

先日のTXP勉強会では、医学誌の編集委員(エディター)を行っている先生から、実際の編集部の仕事に関してお話しいいただきました。中々雑誌の裏側?を知ることはできないので、非常に興味深い内容でした。

エディターは論文が投稿されたら、内容を確認し、査読に回すかどうかを決め、最終的に採択するかどうかを決定します。医学誌によっては、最初は投稿規定に沿っているかどうかを専門の部署がチェックしますが、そうではないところもあります。そうなると最初の査読でそれらの点を指摘しなければいけません。あまりにひどいとeditor kickになります(そりゃそうだ)。

僕が昔に査読した欧米の英文誌ではイントロダクションにTable 1があったり、目的に結果の一部が書かれていたりと、まあいいのかもしれませんが流石に一般的なformatに従うべきでは?とコメント入れました。

和文誌の編集委員を務めた先生によると、和文誌は症例報告がほとんどだそうですが、査読でよくある問題として、
・日本語を正しく使って欲しい(体言止めや、余分な表現、主語・助詞の省略)
・論文なので「思う」などの表現は避けたほうがよい
・症例報告は退院サマリーではないのでメッセージを明確にして欲しい
などの点だそうです。

また、査読はどうしても粗探しがメインになってしまい(反省)、建設的な内容にしないといけないという点を忘れがちです。時には『ひどい』査読者もいるのはいて、それは編集部側も理解していると。

エディターをやっていて良かった点として、人の振り見て我が振り直せとでも言うか、自分の論文も別の目線で観れるという点や人とのつながりが生まれる点を挙げられていました。

ちなみに編集委員だからと言って、自分の論文の採用率が上がるわけではないそうです笑。雑誌によってはCOI的に「採用プロセスには関与していない」と明記されるとか。ついつい邪推してしまいますが、むしろ日本人は身内に厳しい気もします。

僕個人の話になりますが、日本の医学誌から査読が回って来た際には、結構な確率で知ってる先生の論文が回ってきます。

その際、内容的に『ん…なんかこれ…〇〇先生が共著なのに微妙…』的な論文がたまにあったりします。言っては何ですが、IFの高い雑誌から順番に出したであろう雰囲気を感じる事が多く、色々苦労したのだろうなと。だからと言って、手心を加える事はありませんが(というか淡々とやらないと査読はやってられない)。

逆も然りで『知り合いの査読者に当たって欲しくないなー』って思う時もあります。そんな論文を出すなと言われそうですが、指導をしているとある程度の質は担保しつつ、でも良い雑誌を狙うのは難しい論文はやっぱりあるわけで。。

最初からズバッと『そういう研究をしない』、と切れるようにすることを最近は意識していますが、希望の研究をさせてあげたい、実績をある程度つけてあげたい、という天秤における兼ね合いと、そこまでのすり合わせが本当に難しいです。

指導者側のテーマを手伝ってもらう中で自分の研究を進めてもらうのが筋なのかもしれませんが、大学院の外部指導等だとモチベーションにも直結するので、いつも悩みます。僕私はこうしている、というのがある方にはそのコツを教えて欲しいです。


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