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ドヴォルザーク交響曲第9番新世界より #この曲弾けてよかったシリーズ

さてこのシリーズも第4弾まで来ました。王道中の王道ですね。
ドヴォルザーク交響曲第9番新世界より
誰でも第4楽章の冒頭は聴いたことが有ると思います。大変有名な曲です。
私は1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラの
3パートで弾いた事が有る程、演奏機会の多い曲です。
しかし何度演っても凄い!と唸らされる名曲中の名曲です。
ドヴォルザークの特徴は国民楽派という欧州各地の特色を活かした
チェコ民謡の旋律を使っている事で独特な郷愁を醸し出している事です。
私は国民楽派の音楽が妙に琴線に触れるので大好きなのです。
ドヴォルザークがチェコからアメリカに渡って書かれたので
新世界よりというタイトルが付いています。

第1楽章は暗く重々しい序奏で始まり
勇ましく疾走感溢れる主題へと繋がります。
この主題のメロディーは第2~4楽章を通して見え隠れするのが
非常に心憎いです。
鉄道オタクだった事で有名なドヴォルザークなので
蒸気機関車の疾走感を感じさせるのかな?と思います。

第2楽章は日本では大変人気の有る楽章で学校などで
17時を告げるメロディや「家路」「遠き山に日は落ちて」等の唱歌として
親しまれてきた歴史が有るため
日本人には夕日を連想させるみたいです。
コールアングレの独奏が非常に印象的です。

第3楽章は発車ベルを思わせるけたたましい
トライアングルの音色で始まる速い3拍子のスケルツォです。
最も民族音楽を感じる楽章と思います。
個人的にこの曲の中で一番好きな楽章で
チェロとヴィオラで車窓を流れる風景のように第1楽章の主題が
少しだけ流される所に鳥肌が立ちます。
ラストはヴィオラ泣かせなのですが
6連符>5連符>4連符>3連符と
Ritではなく刻みの回数を減らす事で曲の速度を落とす部分を
機関車をホーム定位置でキッチリ停止させる機関士の様に制御します。

第4楽章は言うまでもなく超有名でスケールの大きい序奏で始まります。
所々に各楽章のモチーフが出てくるのですが実に小粋なんですよね。
集大成感がハンパないです。
この曲ではたった一発だけシンバルが鳴らされる事でも有名ですが
この1発が非常に弱い音でかすかにパシャンと鳴るだけなのです。
しかしオーケストラ奏者は全員この一発が気になって仕方ないので
耳が後ろ向きになるんじゃないかと思う程ここに集中してしまいます。
このシンバルの直後から1stヴァイオリンは大変美味しいメロディーを
弾く事になるのですが私はココを弾く時に一番気合が入ります。
後半からアメリカ大陸を疾走する機関車のように
ヴィオラがレールを蹴り出すアクセルになります。
車窓を流れる景色のように第3楽章の主題をヴァイオリンがリレーします。
最後は序奏の主題でクライマックスへ向かいます。

しかしこの曲ってシンバルやトライアングルも含めて全てのパートに
ココ!っていう聴かせドコロが見事に仕込んであるんですよ。
ドヴォルザーク先生って奏者に対する思いやりや愛情が
とても深い人だと思うんですよね。

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