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調弦の話 (後編)

さて3回の連載企画となりました調弦の話も今日で最後です。
弦楽器の調弦は基準となるA=442Hzをまず合わせます。
ヴィオラ、チェロの場合はA線と隣のD線を同時に弾いて
ハモるポイントでD線を合わせます。
次にD線と隣のG線を同時に弾いてハモるポイントでG線を合わせます。
最後にG線と隣のC線を同時に弾いてハモるポイントでC線を合わせます。
これで4本の調弦完了です。
ヴァイオリンの場合は最後のC線がE線に変わります。
A線の隣のE線を同時に弾いてハモるポイントでE線を合わせます。

でも実はこの調弦方法だとピアノとは合わないんですよ。
チューナーでD線、G線、C線、E線と合わせ直すとわかると思いますが
A線からの音程差が少しずつ広がっているんです。
D線の音はチューナーのDより少し低くなります。
G線の音はチューナーのGより更に低くなります。
C線の音はチューナーのCより結構低くなっていきます。
E線の音はチューナーのEより少し高くなります。
弦楽器の調弦はピアノ等の十二平均律の楽器とは違って
ピタゴラス音律なのです。音律の話は以前書いたので詳細はコチラを。

ココでは細かい話はしませんので弦楽器の調弦には
独特の作法が有るとだけ理解しておいていただければ結構です。
で、この調弦の作法って何気にとても有意義な練習の一部なのです。
まず基準音のA=442Hzに合わせる時、弓先から弓元まで安定した音量で
ガサガサかすれず音程感のはっきりした音量でないと
チューナーも反応してくれません。
弓圧も均一でないとチューナーのインジケーターはブレまくります。
A線以外はチューナーは使わずA線から順にハモりで合わせるので
均一な音量、弓圧で2本の弦を同時に
ロングトーンで弾かなくてはなりません。コレって重音の練習になります。
弦に対する弓の角度感覚も研ぎ澄まされますから
重音だけでなく単音弾きで隣の弦を引っ掛けてしまう症状も改善されます。
ハモりポイントを見つける為に音感も研ぎ澄まされます。

実際に調弦の所作を見ていれば「コイツ・・・デキる!」ってのは
ひと目でわかりますしね。

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