「得点王=最も優れているFW」は本当か?Case:ブンデスリーガ [ストライカーをデータで比較]
今回は、試合の分析ではなく、データ分析です。タイトルの通り、データ分析の題材は、「ストライカー」です。得点王が、チームの勝ち点に、勝利にとって一番貢献しているストライカーなのかを2つのデータから解き明かしていきます。
今回は、ドイツ1部、ブンデスリーガです。(この記事に書かれている試合数、得点数などは、2019年3月のインターナショナルマッチウィークによる中断前、26節時点のものになります)
まず、皆様、「サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか」という本はご存知ですか。この本の中で、ストライカー個人ではなく、個人のゴール数ではなく、チームという視点で見た時、チームが勝利、勝ち点を得るにあたって、一番重要なゴールは、2点目である、という研究結果が書かれています。(その次が1点目、3点目、4点目、5点目と順に続く)ということは、3点目や4点目ばかり取っている20ゴールのストライカーより、1点目、2点目を多くとっている15ゴールのストライカーの方が、チームの勝利、勝ち点にとっては(ブランド価値などは置いておいて)価値が高い選手だということです。
そこで僕は、このデータを今シーズン(18-19シーズン)の欧州4大リーグに当てはめ、さらにどれだけコンスタントにゴールを取っているか、というデータも加え、得点ランキング上位者から、チームの勝利、勝ち点にとって最も優れたストライカーを選出しよう、と考えました。その結果が、下記にあります。
ぜひこの本に興味がある方は、読んでみて下さい。自分のサッカー観を変える、さらに深い物にするデータがたくさん詰まっています。
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得点ランキング上位6人の概要
まずこれからデータ分析をするブンデスリーガ得点ランキング上位6人の概要から。
得点ランキング1位 レバンドフスキ 25試合18得点(2PK)
バイエルン・ミュンヘン 30歳 プレー時間:2326分
得点ランキング2位タイ ロイス 22試合15得点
ドルトムント 29歳 プレー時間:2007分
得点ランキング2位タイ ヨビッチ 24試合15得点
フランクフルト 21歳 プレー時間:1667分
得点ランキング4位タイ パコ・アルカセル 20試合14得点
ドルトムント 25歳 プレー時間:939分
得点ランキング4位タイ アレ 26試合14得点
フランクフルト 24歳 プレー時間:2144分
得点ランキング6位 クラマリッチ 22試合13得点(1PK)
ホッフェンハイム 27歳 プレー時間:1782分
これらの6選手でデータ分析を行っていきます。
最も多く価値の高いゴールを挙げている選手は?
最初は、紹介した「サッカーデータ革命」に書かれているデータである、「2点目が一番重要なゴール」という結果をもとに、ブンデスリーガ得点ランキング上位6人を、ランク付けしていきます。では、それぞれのゴールのポイント換算基準はこちら。
この画像のようにポイント換算を行い、6人をランク付けしました。結果の前に、6人の得点内訳をご覧ください。
グラフを見ると、1点目はクラマリッチ(得点ランキング6位)が一番多く、2点目はレバンドフスキ(同1位)とロイス(同2位)が最多のゴール数を記録しています。ではこの内訳をポイント換算したものがこちらです。
このように、得点ランキングでは4位タイのアレが、勝ち点換算ランキングでは46ポイントで1位、得点ランキング1位のレバンドフスキは2位です。しかし、1位のアレと2位のレバンドフスキのポイント差は、わずか「0.25」。
なので、この結果からは、「得点王=最も価値の高いゴールを多く挙げるFW」ではなく、得点王は必ずしも重要なゴールを多く挙げていない、と言うことは難しいでしょう。
そして、下の表は、他5人とのポイント差を「計」で表しています。このデータ分析では、その他5人とのポイント差で、最終的なランク付けを行います。(得点差は、正の数が他5人よりも上回っていることを示しています)
得点の勝ち点換算ランキング 結果
フランクフルトに所属するアレが、ブンデスリーガで最も多く価値の高いゴールを多く挙げているストライカー。そして、2位の得点ランキング1位、レバンドフスキとのポイント差は「0.25」なので、「得点王=最も価値の高いゴールを多く挙げるFW」が覆された、とは言えない。
最も一番コンスタントにゴールを取っている選手は?
では2つ目のデータです。2つ目は、ゴールを取っている頻度、「コンスタント度」が高いのはどのストライカーか、というものです。このデータは、その選手の総プレー時間/ゴール数で、1ゴール当たりにかかった時間を算出しました。では、結果をご覧ください。
表の通り、今シーズンジョーカーとしても大活躍しているパコ・アルカセルが圧倒的に「コンスタント度」が高いことが分かります。そして、得点ランキング2位タイのロイスは4位となっており、先に紹介した勝ち点換算ランキングでは1位だったアレが、最下位。価値の高いゴールは多いですが、得点ランキング上位6人の中で、最もコンスタントではない、ストライカーとなっています。
このデータでは、得点ランキング4位のパコ・アルカセルが1位で、得点ランキング1位のレバンドフスキが3位で、得点ランキング2位のロイスも4位なので、「得点王=最もコンスタントなFW」ではないことが分かります。
得点のコンスタント度ランキング 結果
得点ランキングでは4位タイのパコ・アルカセルが1位で、得点ランキング1位のレバンドフスキ、2位のロイスは順に3、4位。「得点王=最もコンスタントなFW」ではないことが分かる。
2つのデータを合算 ~「得点王=最も優れたFW」は本当か?~
ではここまで紹介した2つのデータの結果を合算し、重要なゴールの多さと、コンスタント度の合計の数値を出すことで、「得点王=最も優れたFW」は本当なのかを検証しましょう。その答えが、下の画像にあります。
このように、他5人より350.88ポイント優れているパコ・アルカセルが、この二つのデータの視点から見た時、ブンデスリーガで最も優れたストライカーという結果になりました。2位はヨビッチです。パコ・アルカセルに関しては、1点/67分という驚異的なコンスタント度ですので、それによって1位となった感じです。ですが、これだけコンスタントにゴールを取っているということは、ストライカーとしてはとても素晴らしいことです。
結果・総括
ここまで見てもらったように、「価値の高いゴールの多さ」「ゴールのコンスタント度」という視点のデータから見た時、最も優れたストライカーは、ドルトムントのパコ・アルカセルです。そして、そのパコ・アルカセルの得点ランキングは4位。そして、得点ランキング2位タイのヨビッチは、得点ランキング1位のレバンドフスキより50.03ポイント上回った28.65ポイントでの2位ですので、ブンデスリーガの場合、「得点王=最も優れたFW」は、本当ではない、ということが分かりました。
個人賞
得点の勝ち点換算ランキング1位:セバスティアン・アレ 2位:ロベルト・レバンドフスキ 3位:マルコ・ロイス
特典のコンスタント度ランキング1位:パコ・アルカセル 2位:ルカ・ヨビッチ 3位:ロベルト・レバンドフスキ
1ゴール目数1位:アンドレイ・クラマリッチ
2ゴール目数1位:ロベルト・レバンドフスキ&マルコ・ロイス
最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!
他の3本もどうぞ↓
case:セリエA
case:プレミアリーグ
case:ラ・リーガ
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