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日本最高峰の博物館「歴博」はすごいぞ!

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千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館を訪れた際の感動を書き留めた紀行文 私自身の民俗学に対する考察、とりとめもない考えを書き留める場所でもあります。ときおり、ブラッシュアップのた…
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【紀行文】日本最高峰の博物館に沼る! 歴博再訪~縄文人の祈りを考える

縄文の人々は何を祈ったのか  祈りには、自らのために祈るものと、他者のために祈るものと、そしてさらに大きな存在に対して祈るものとあると思う。  最近、心理学の勉強を始めたのだが、その中でエリクソンの発達段階(8段階)について知った。年齢を重ね成長していくにあたり、そのステージに見合った感覚を獲得していくのであるが、その際に重要な関係も異なるという。乳幼児や幼児期は、母性や家族であるが、徐々に仲間や集団、そして人類へと重要な関係が広がっていく。  これを踏まえ、関係=祈りの対

【紀行文】日本最高峰の博物館に沼る! 再び国立歴史民俗博物館へ

 千葉県佐倉市の歴史民俗博物館は、二つの川の合流地点に築城された要害である佐倉城址の中にある日本最高峰の博物館である。都心から電車で約一時間の距離にあるここは、あまり交通の便が良いとは言えないが、それを押して訪れる価値のある素晴らしい博物館だ。  二年ほど前に訪れ、その内容のすばらしさに感動し、このnoteにもその思いを綴った。この感動をぜひ家族にも味わってもらいたく、先日共に再訪した。改めてこの「歴博」のすばらしさを語りたい。 第一展示室 先史・古代  まずは、前回も、

国立歴史民俗博物館はすごい!

千葉の佐倉市に、国立歴史民俗博物館はある。 歴史と民俗に特化し、コンセプト的には本物よりもレプリカを使って臨場感や感動を伝えるところにあるようだ。 本物が放つ光やオーラみたいなものは、東博に行くとひしひしと感じるのだが、私はいつも半分くらいで結構疲れてしまう。 芸術作品と対峙する精神的な戦いみたいなものがあって、これは美術館とかに行っても感じるものなのだ。  ところが今回の国立歴史民俗博物館は、そういった「堅苦しさ」がない。レプリカによるものだったり、また本物であって

国立歴史民俗博物館はすごい2

これは、各展示室の紹介パンフレットと博物館を紹介した小冊子である。 一つの展示室が、地方の博物館以上の展示物を扱っており、そのボリューム×6部屋+αである。この物量だけでも圧倒されるといえよう。 第一展示室は、「先史・古代」がテーマだ。 歴博がもっとも力を入れているんじゃないかと思われる、迫力あるレプリカや再現模型が迎えてくれる。 下の写真の一枚目は、エントランス部分だが、先史・古代へのタイムスリップを演出してくれる粋な計らいがある。 出土した人骨を丁寧に解析して、最先端

国立歴史民俗博物館はすごい3

第2展示室は中世、第3展示室は近世である。 第1展示室に思わぬほどの時間を要したので、構えて第2展示室に入った。 自分の正直なところで、中世や近世については、関心が相対的に薄いのだろう。そして、中世と近世は資料も豊富だ。 なので、展示も再現スケールが大きくなっていた。 かなり大きなスケールで再現した京の都、王朝文化における寝所の再現、十二単を着た人形など、ほかでも見たことのあるもの。 もちろん、その再現スケールや精密さは群を抜いているのだが、第一展示室でお腹いっぱいになって

国立歴史民俗博物館はすごい4

第三展示室の近世について書こうと思った。 しかし、かの博物館に行ってから、かれこれ2週間ほど経とうとしている。歴博の感動は忘れまいと、自分の一番好きな民俗のコーナーについては後回しにする予定だったのだが、なかなか時間が取れず記憶ばかりが消えていくので、やはりここを先に書いておくとしたい。 民俗のある第四展示室に入ると、まずはおせち料理が迎えてくれる。 「お節」節目を祝う日本の文化の現れとして三越デパートのお節の変遷が並んでいた。目を疑うような金額のお節料理・・・でも売れたん

国立歴史民俗博物館はすごい5

狂騒曲がふさわしい近代 第5展示室は「近代」、第6展示室は「現代」というテーマである。 近代は、平たく言うと明治から大正期となるのだろうか。 明治政府が進めた西洋化について、その功罪が光と闇が展示されている。 そのまなざしはどことなく冷たく感じた。 鎖国下の日本が意外と西洋文化も取り入れながら、独自の日本的なモノを醸成していった過程は、第3展示室の「近世」でよくわかる。 平和な時代に職人さんが、ものすごく精巧な細工品を作り、それが現在の日本の産業に続いているなんて話は、

国立歴史民俗博物館はすごい6

タイトル画像のゴジラを持ってくるあたり、歴博の恐るべきセンスを感じるのだが、現代の展示室の入り口にあるこの看板の内容に感銘を受ける。 泣きそうになるくらい悲愴な使命感を感じる。 現代の展示室を設ける歴博の心意気 現在は、というよりも現在も歴史の一地点でしかないが、それを視野としてみることは難しい。 現代の何をもって、歴史に残すべき展示物とするのか、それを見極める作業はとても大変だと思う。 現代の前半は、戦争を取り扱っている。歴史の教科書などで何度もその悲惨さは学習してきた

国立歴史民俗博物館はすごかった!

特集展示室 来訪神、姿とかたち 国立歴史民俗博物館では、こうした特集展示もあった。このサブタイトルは~福の神も疫神も異界から~とある。 沖縄の伝承にある「ニライカナイ」がもっとも有名な「異界」であろうか。 ニライカナイについては、根の国と同一視する考えもあるようだが、重要なのは、共同体の外からやってくるということだろう。 賽の神や村の境界にあった縄などが、外からくる何かを防ぐための役割を担っていたと思う。 疫病(神)は村落共同体の外からやってくるものとしてとらえられてい