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国立歴史民俗博物館はすごかった!

特集展示室 来訪神、姿とかたち

国立歴史民俗博物館では、こうした特集展示もあった。このサブタイトルは~福の神も疫神も異界から~とある。

沖縄の伝承にある「ニライカナイ」がもっとも有名な「異界」であろうか。
ニライカナイについては、根の国と同一視する考えもあるようだが、重要なのは、共同体の外からやってくるということだろう。

賽の神や村の境界にあった縄などが、外からくる何かを防ぐための役割を担っていたと思う。
疫病(神)は村落共同体の外からやってくるものとしてとらえられていた。
そして、同時に村に繁栄をもたらす福の神も外からやってくるものと思われていた。

私は常々思うのだが、日本人にとって神=自然は、畏れ多い巨大なものであり、その善悪を超えた絶対値を崇めていたのではないか。
晴れの日もあれば雨の日もある。
晴れが良い時もあれば、日照りに苦しむことがある。
恵みの雨があれば、水害に苦しむことがある。
常に、自然現象は表裏一体なのだ。だから、神様に良い、悪いはない。
その大きさこそが信仰の対象なのだと思う。

その異界から訪れる神を「見えるようにした」「演劇化」したのがこの仮面の神々。そうあってほしい状況を再現することで、その状況が訪れることを祈る、そういった装置としての側面もありつつ、純粋に人々の楽しみでもあったのだろう。
この部屋に飾られていたお面の数々は、道教の影響を受けたと思われる鮮やかな色彩が施されている。道教はどちらかといえば来世救済を求めるものではなく、現世の利益・救済を求めるものであると聞く。
にぎやかな祭列で、彷徨い浮遊する神々の気を引きたかったのだろうか。

ミロクはなまってミルクというところもあるらしい
弥勒行列図 ミロクが子供を大勢引き連れて歩く

特集展示室では、多くの仮面が飾られていた。
仮面は日本に限らず、さまざまな地域で作られている。
なぜ、仮面を作るのか。
素直に考えれば仮面は変化である。
仮面の意味がその観客に共通してあれば、その仮面が現れたとき、そこに意味が象徴する何かが存在することになる。

個々の仮面の意味を探ることも面白い。その仮面の由来、つながり、それらを中国大陸にまで広げてみてみればいくらでも研究の領域は広がるだろう。

トン族に伝わる仮面

たが、その前に考えるべきことは、なぜ仮面をつけ祭礼が行われたかである。さらにそれが守るべきしきたりとして、今に伝わるかである。
そのなぜが継承されないまま、いつしか消えゆく伝統の中に、本当は忘れてはならない、引き継がなければならない「知恵」が込められているのではないか。
民俗学を今学ぶ意味は、そこにあると思う。

その他資料の考察

タイトル画像は、お盆に帰ってくる先祖ーーアマンガーー

牛玉宝印 厄除けとして有名で様々な意匠がある
厄除けだが、元は牛黄(ゴオウ)からきているらしい。解熱鎮痛作用の即効性で知られる漢方である。
解説を見てもよくわからないが、どうみても生首だ。その生首を担いで正月に練り歩く・・・

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