突如箱根に現れた山賊さん
小田原から箱根に続く道。箱根駅伝、山登り5区のコースとしても有名な道の脇に、こんな看板を見つけたら、あなたは寄らずに素通りできるだろうか?
ゴールデンウィーク真っ最中、ここ『山賊サウナ』へ行ってきた。
サウナあがり、ビールを放り込む様に飲みながら、ホルモンをつまむ。考えただけで最上級の組み合わせだ。
入り口は普通の焼肉屋さん。その佇まいからサウナを連想する人はいないと思う。
2024年に入ってからオープンしたこの施設、中はまだ新しく、ロッカールームも清潔感にあふれる。
まずはシャワーで全身を洗い流す。
サウナ室は三つ。まずは大平台。
大平台は照明もギリギリまで落とされた瞑想サウナ。
室温は80℃を示している。
最初、少し熱さが物足りないと感じたが、薪の炎を見つめているうちに、ゆっくりと体の内から温まり、一気に大量の発汗。
続いて早雲山。屈んで入る小さな入り口。
スチームサウナ。室内はブルーの照明。
大抵のスチームサウナは、熱さが足らず、おまけ的な位置付けになることが多いが、この部屋はかなり熱い。
メインサウナがこの大涌谷。
堂々と鎮座する薪ストーブ。積まれたサウナストーンの高さにあっとうされる。
こちらは85℃を示していたが、体感的に、もっと熱く感じた。湿度が40%を超えているためか。
3段のサウナ室。
窓から見える新緑の青さが、心をフレッシュにさせる。
やはり、薪ストーブのサウナの熱は、鈍角だ。体の表面だけ温める遠赤外線ストーブと異なり、本当に体の内から温まる。血液が温められる、そんな印象を受けた。
揺れる炎が、全てのストレスを溶かす。
さて、このサウナの醍醐味は、何と言っても水風呂。
後方の巨大水風呂は、足をつけるとギリギリ顔が出るほどの深さ。
階段を登ると、壁の向こうの国道が見える。
柔らかい水質。
縁から下を見ると、この高さ。
水温は16℃程度か。ベストな温度。
他では感じたことのない心地よさの正体は、浮力だ。
圧倒的な深さが生む浮遊感は、普段のサウナ体験より、さらに一段天国へ近づける。
母親の体内にいた時の記憶が蘇る。
水風呂に入って「安心」を感じたのは、初だ。
一緒に行ったサウナ仲間の、気持ちよさそうなこの表情。
彼女いわく「水風呂で溺れかけたのは、熊本湯らっくす以来」だそう。
リクライニングチェアに横たわる。見える光景は、まさに大人のための遊園地。
プラス200円でデトックスウォーターが飲み放題。
この日は3種類が用意されていた。
サウナ室の屋上も外気浴スポットになっている。
この季節、外気浴のトップシーズンだ。
わずかな風が、風鈴を鳴らす。
更衣室に貼られたポスター。
「サウナの後は焼肉で、2度ととのう!!」
この誘惑を、無視できる人がいるだろうか。
自然と足が向かう。
こうなって。
こうなる。
そしてボトルが入る。
鮮度抜群のホルモン。
サウナの後の焼肉が、美味くないわけがない。
チャミスルをジャスミン茶で割って飲む。
休日の昼、理想的な幸せ。
まだ知名度が低いこともあるのだろう、ゴールデンウィークにも関わらず、そこまで混雑していなかった。
しかし、ここを訪れたこの日の夜(4月29日)、BS朝日「サウナを愛でたい」で、この店が特集されてしまった。
入場規制がかかってしまう日も、遠くないはずだ。
嬉しい再会もあった。熱波師のタイタイさんだ。山賊サウナで週一でタオルを振っていると言う。
相変わらず、彼の熱波の破壊力に、汗が音を立てて流れ落ちた。
タイタイさんの熱波師デビュー記事はこちら。
箱根に続く国道の向こう側、山の斜面の段々畑が、初夏の到来を予感させる青さだった。
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