見出し画像

踏まえて乗り越える

高校3年になった時、顧問の先生が変わった。その先生はこれまでの練習メニューを見て言った。

「この練習は意味ないなー。これじゃタイムは伸びないぞ。だから、専門種目ばかりじゃなくて、個人メドレーの練習を中心にベースを作っていく。そこからそれぞれの専門の練習していこう」

この後の部員たちの反応はどうだったと思いますか?
答えはこの記事の最後で!
(正解者には・・・何かあげます)

教室では・・・

例えば、けテぶれを教室に導入したいとする。

「これまでの宿題では、力はつかないよ。だから、けテぶれっていう新しいやり方でやるよ。このやり方は、こんないいところがあるよ。みんなで今日から頑張ろう!」

こんな風に子供達に提案していないだろうか。
けテぶれの良さが際立つように、これまでの宿題を否定したり、比較したりしていないだろうか。

新しい提案の素晴らしさを伝えようと、このように熱を込めて語る気持ちはとてもわかる。
でも僕は、このやり方は間違いだと思っている。

もっと言えば、新たな提案が受け入れられないのは、ここに原因があると考えている。そして、これは教室で新たな取り組みをしようとした時にも、同じことが言えると思う。

踏まえて乗り越える

僕の仕事は小学校の先生だ。子供達にとってより良い未来を実現するために、1年の大半を過ごす教室という場をデザインしていくことが仕事だ。

新たな提案が受け入れられるかどうかというのは、子供達に大きく影響する。
子供達自身が、「やりたい」と思ってやるか、「やらされている」という意識でやるかでは大違いである。

新たな提案を広げていくため、変革を起こすために必要なのは、踏まえて乗り越えることだ。

踏まえて乗り越えるとは、過去へのリスペクトと未来への憧れである。

過去へのリスペクト

これまでにやってきたことが、例え効率が悪かったり、意味がなかったり、間違っていたりしても、「やってきた」という事実には変わりがない。

その「やってきた」という過程に対するリスペクトは忘れてはならないのだ。
どれだけ新しい手法や新しいものが良くても、ここのリスペクトが感じられなければ受け入れられることはない。

自分が一生懸命に頑張ってきたことを否定された上で、今までやったこともない、馴染みのないことに、前向きに取り組もうと思えるだろうか。

自分の提唱する新たな手法が受け入れられないのは、新たな手法に問題があるというよりも、過去に対するリスペクトが足りないことの方が多い。

ちゃんと踏まえていないから、乗り越えられないのだ。

では、踏まえるためには?

その人のやってきたことに共感した上で、良し悪しを客観的に整理することが大切だ。その人自身が、これまでを振り返り、こういう良さがあった。こういう良くないところがあったというのを実感することが、踏まえるということだ。

そのために、問いかけ、共感し、思考する必要がある。

決してこれまでの道のりを否定するのではなく、これまでの道のりを振り返り、成果と課題を明確にする。

つまり、自分の今立っている場所をはっきりさせるということだ。

自分の現在地が自分でわかるからこそ、次に必要なものが自覚できるのである。
自覚しているから、新しいものが良いと思えば受け入れることができる。

ここまで丁寧にプロセスを踏んでいくことが大切なのだ。

未来への憧れ

未来への憧れを喚起するのは簡単だ。いや、簡単だと感じられるくらいでなければ、足りない。それくらい確信のあることを提案するべきだ。

乗り越えるというのは、これまでの自分を乗り越えていくことである。
つまり、提案は、相手が成長(トランスフォーメーション)することでなくてはならない。
乗り越えるためには、その提案が魅力的であり、憧れを抱かせる必要がある。

その人が具体的に未来を描くために必要なのは、やってみたいと思わせることだ。

やってみたいと思うには? 
興味を引くことだ。 

興味を引くには? 
感情を動かすことだ。
客観的な事実を羅列しても、人の心は動かない。人の心は、熱量によって動く。

その熱源は何でも構わない。人が本気で何かを語る時、熱は自然と上がっていく。逆に言えば、ここで熱を込めて語れないのであれば、まだやるべきではない。
自分が熱量を込めて提案できないことをやらせるのはただの横暴である。

相手が新しい提案の良さを理解し、熱量に共感し、同意し、行動に至る。
踏まえて乗り越えるとは、こういうことである。

部員たちの反応は・・・?

さて、答え合わせです。
ここまで読んだならもうわかりますよね。

結果は、大反発。

冒頭に示した、新しい顧問の先生の言った言葉は、これまで一生懸命練習してきた部員にとっては、受け入れ難い言葉だったのです。

その後の僕がどうなったかはこちらを読んでくださいね!
端的にいうと、自分で徹底的に調べ、実行したことで、自己ベストを大きく更新しました。
やりたいと思ってやる練習か、やらされる練習かという違いを実感しました。

変革5M

あなたの半径5メートル以内の現実から変革を。
そのためには、踏まえて乗り越えることが必要不可欠です。
一緒に頑張っていきましょうね!

それでは。
Good Luck!!

この記事が参加している募集

オープン学級通信

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?