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かっこ悪かった頃の話をしようか。

初めて学年主任をしたのは5年目の時。
初任校から異動して2年目のことだった。
当時28才。4クラス規模。初の6年生担任。
3年目の若手、歳の近い若手、自分、50代のベテランという構成。
50代のベテラン以外、6年生を担任するのは初めて。

あなただったら、どう学年を運営していきますか?

あの頃僕は・・・

初めての学年主任ということもあって、この1年は本当に苦しかった。
業務量がとてつもなく多かったこともある。
クラスの子に向き合う時間が足りなかったこともある。
3学期には、朝ごはんが喉を通らなくなった。
でも何よりも大きな苦しさの原因は、自分が自分でいられないような感覚だった。

学年主任らしくなければならない。
でも、まだまだ経験も浅ければ、年も若い。
周りの視線があんなに気になったのは、後にも先にもあの一年くらいだ。

毎週の学年での打ち合わせが、プレッシャーだった。
これまでの主任の先生のやり方を真似て、なんとなく予定を確認し、子供の話をし、来週どう乗り切るか、というところにしか目が向いていなかった。
自分のやりたいことなんて考える時間はなかった。
若手の成長とか、ベテランの思いとか、そんなところに目を向ける余裕はなかった。

カッコ悪いやつ

若手の失敗には、上から指導をしたし、ベテランに対しては下手に出ていた。
絵に描いたような、カッコ悪いやつになっていたと思う。

ベテランだからといって下手に出るのは悪手。
下手に出るということは、相手に自分がコントロールされることになる。
相手の顔色を伺うことになる。

自分を押し殺すのは、チームとして望ましい姿ではない。

若手だからといって、上からものを言うのは悪手。
相手にその気がないのに教えようとするのは、支配と同じ。
相手にとって居心地の悪い場になる。

自分を押し付けるのは、チームとして望ましい姿ではない。

じゃあどうすればいいんだ!
ってきっと思うであろう、かつての僕に、今から言いたいことを言おうと思う。

マインド編

リーダーとは発信者である

自分の意思ややりたいことを示し、理解と共感を得ることがリーダーの仕事だ。
リーダーとは感化する人。
自分を押し殺しても、押し付けても、感化することはできない。
相手に伝わる言葉でわかりやすく説明することはもちろん、自分の思いをどれだけそこに乗せて伝えることができるかが重要なのだ。
発信することこそが、リーダーとして1番大切にするべき仕事なのである。

熱は伝わる。
熱がなければ、伝わらない。

あの頃の僕は、自分の思いを殺し、みんなの思う正解を探して提案していた。
そこに熱がなかったのだ。
それでは伝わろうはずがない。
自分の思いなくして、リーダーシップを発揮することはできないのである。

ベテランに対してどう関わるか

相手の大切にしているものを知ること。
相手のこれまでやってきた実践から、良さを見出し、質問し、関心を寄せる。
自分の思いを伝えるとともに、相手の思いを知ろうとする。

感情を共にするから共感が生まれる。
お互いに思いを伝えあい、思い描くゴールをすり合わせていくことが、何よりも大切だ。
下手に出るのではなく、自分を押し殺すのではなく、あくまで対等に関わること。

若手に対してどう関わるか

相手の思いを知ろうとすること。
相手がこれからどうなっていきたいのか、そのビジョンを共に描くこと。
過去の話よりも、次どうするか、という未来の話をたくさんすること。
失敗した時よりも、うまくいったときに一緒に振り返りをすること。

そうやって、安心して話せる関係性を築くことが重要だと考えている。
助言するのではなく、同じ目線で一緒に考える意識が必要だと思う。

同じものを見ようとすること

共通しているのは、先輩であろうと後輩であろうと、人と人としての関係を結ぶことだ。
立っている場所は違っても、同じものを見ようとする。
自分の見ているものを伝え、相手の見ているものを見ようとする。
そういう毎日の積み重ねが、学年としての力を高めていくのだと思う。

先生として関わることはもちろん大切だ。
仕事での関わりなのだから、感情を表に出しすぎるのは良くないんじゃないか。
確かにその通りだと思う。
でも、感情の通わないやり取りを何度繰り返しても共感は生まれない。
実践の土台にある思いを共有して初めて、共感が生まれるからだ。
やり方に賛成してもらう必要はない。
理解と共感を得られればそれでいいと思う。

立場の違いはあっても、同じところを目指している。
その実感が、学年としての一体感を産むのだと思う。
一見バラバラでも、最終的なゴールは同じ。これが学年団として1番強い。
やり方を縛って、揃えて、一つになっているように見えるのとは、強度が違う。

メソッド編

では、具体的にどんなことをしているか。
土台になるのはコミュニケーションの量だ。
勤務時間の中でどれだけコミュニケーションの機会を増やせるかが勝負だと思う。

①雑談

どうでもいい、オチがないような話をたくさんする。特に、好きなものや嫌いなものについて話をすると、感情が表に出やすい。
あなたのことを知りたい。あなたと共感したい。そのための方法が、雑談だ。
雑談が楽しいのは、頭からっぽでリラックスできるからだ。リラックスしている時間があるから、大切な話をするときに緊張感が出るのである。

緊張と緩和。
学年主任が積極的に自己開示していきたい。

②伝達5M

他のクラスの良かったところや子供のいい姿をたくさん伝える。定時前の5分間、そのための時間を確保する。
いいところは、見ようとしなければ見えにくい。そこに目を向けるためにも、毎日、または毎週時間を確保することで、みんなでいいところに目を向けようというメッセージになる。
子供の姿をたくさん共有することで、教科の話や授業の話をするときに、子供の実態を前提として話ができる。

③頼る

簡単なことでも、頼ること。
他のメンバーに頼り、感謝を伝える。
これを子供の前でもする。

感謝は究極のポジティブシンキングだ。
「ありがとう」と言いながらマイナス思考はできない。
頼ることは、自分の弱さを見せることでもある。
弱さを見せられるということは、安心感がなければできることではない。
他のメンバーが弱さを見せられるようにするためにも、率先して自分が弱さをみせ、頼り、感謝する。

終わりに

かつての自分よ、わかったか。

強くあろうとするのは、弱さだ。
弱さを見せられることが強さだ。
自分だけでやろうとすることは、周りを信頼していないというメッセージになってしまう。
違う場所から、同じものを目指して、それぞれがリーダーシップを発揮できるのが、本当に一つになった、強い学年団なのだ。

一人一人が強みを発揮し支え合うチーム。

これは大人だけの話ではない。
僕の仕事は小学校の先生だ。
子供達がそれぞれに自分の強みを発揮し支え合う。そのために必要な力を伸ばすのが仕事だ。

ここまでに述べたマインドも、メソッドも、どちらも子供達との関わりにおいて重要だと考えている。

子供相手に大切なことは大人相手でも同じように大切だ。
逆もまた然り。
大人相手に大切なことは子供相手でも同じように大切なのだ。
人間と人間との関わりであることに変わりはない。

自分を知り、相手を知ろうとする。自分を知らせる。
そうやって学年を作り、一緒に、幸せに働いていきたいと思う。

それでは。
Good Luck!!

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