春はあけぼの、すり身はグリル

旅行に行くと積極的に求めるものの一つが、かまぼこだ。
正確に言うと練り物、だろうか。魚肉を潰して練って蒸すなり焼くなり揚げるなりしてできる食べ物。
さつま揚げちくわ天ぷらなどなど千の仮面を持つすり身。

元々好きな部類ではあったが、30代も後半になる頃からか、ことさら好きになってきた。

さて、かまぼこといえばどこを思い浮かべるだろうかと考えると、自分の場合は箱根小田原、山口県萩、であった。
小さい頃食べたとか、広告で見たとかそんな理由だとは思うが、練り物の目が開いてみると各地にあることがわかる。
まあ海に囲まれている魚介豊富な島国だし、当然と言えば当然である。

駅に売られていることもあれば、スーパーで地元の企業が作っているものもある。
あくまで自分調べではあるが、地域によっては鮮魚コーナーにすりつぶした生の状態で売られている場合もあり、ややレアな存在だ。富山や高知で見たように思う。

そんな練り物だが、最近ハマっている食べ方は、”魚焼きグリルで焼く”ことである。
生でも、電子レンジでも、茹でても美味しいのだが、グリルで焼くとその全ての調理法の長所が顕現する気がする。

表面は蒸し、焼きのタイプであれば歯応えしっかり、揚げのタイプはサクサクジュワリ。そして中のすり身部分はふわっふわに仕上がる。
その状態が焼きたてで、さらに冷える過程で徐々に密度が増して行き、旨みが濃いしっかりとした食べ応えとなっていくグラデーションが楽しめるのだ。

春はあけぼの、練り物はグリルなのである。

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