幸せのカタチで選ぶ仕事
先日、元実習生のユキちゃんがインターンに来てくれました。ユキちゃんもこの4月から6年生、就職活動のことで少し悩んでいるようでした。
少し前に病院に行くか薬局に行くかを悩んでいたユキちゃんですが、薬局に行くことに決めたそうです。
就職活動において、企業の説明会やプレエントリーが解禁となるのは3月。
実際のところ、この時期でもまだどんな進路につきたいのかわからないという学生さんも多いのではないでしょうか。
各社、自己分析ツールなどを展開していますが、この業種が向いてるよ!と言われてもピンとこないこともあります。
自分と仕事とのマッチングは様々な要素が絡むのでしっくりこないことがあるのは当然。
そこでまずは一つの側面を考えてみるといいと思います。
今回は「幸せのカタチで選ぶ」ことを考えてみます。
幸せのカタチの話
自分の話になりますが、私は学生の頃、結婚式場でアルバイトをしていたんです。
結婚式って人生において最も大きなイベントなんですよね。そんな幸せの瞬間に立ち会い、幸せを作り上げることができる、素敵な仕事でした。
しかし、人生はいいことばかりではありません。失敗したり悩んだりすることもあります。まして、自分の力の及ばない不運も沢山あります。
病気になる、けがをする、というのもそんな不運の一つです。
私は今、薬局で薬剤師をしていますが、医師や看護師といった医療従事者や、介護従事者、製薬・医療機器メーカーに至るまで、医療業界にもたくさんの種類のお仕事があります。
これらの仕事はみんな、患者、つまり困っている人を助ける仕事です。
みんな健康なら一番いいんだけど、気を付けていても病気になったりケガをしたりすることはあります。
そのように困っている人に、何か力になりたいというのが医療に関わる人々の願いであり、仕事におけるミッションです。
幸せのカタチで見る、仕事の型
ペイン型とゲイン型
結婚式と医療という、私が関わってきた二つの業界についてお話をしましたが、これらのお仕事は「幸せのカタチ」の面で対極的なお仕事です。
北野唯我氏の著作「分断を生むエジソン」では、ペイン型/ゲイン型と呼称されています。
イメージは、通常の生活をゼロとした時、一時的にプラスを生み出すのがゲイン型、マイナスになった時にゼロに戻すのがペイン型。
結婚式のように、通常の生活にはない幸せを生み出す仕事がゲイン型です。
旅行や高級レストランなどもこれらの仕事です。
逆に医療はペイン型。困った人を助けるという命題を請け負っている仕事です。
他にも、弁護士などに代表される士業は大体これに該当すると考えています。
同業界内でのペイン型とゲイン型
業界によって大きくペイン型とゲイン型の二つに分けられる、という話もあるのですが、個人的には、同じ業界の中にもこれらの型分けは存在するように思います。
例えば飲食業界。高級レストランをゲイン型の例として先述しました。しかし、記念日のフレンチレストランばかりが飲食店ではありません。
例えば、低価格で迅速に食事を用意するファストフード店は、(同じ外食をするのであれば)お金や時間を制限しながら、食欲を満たしてくれます。
言い方を変えると、「おなかが減った」という困りごとを解決してくれるペイン型のビジネスになるわけですね。
それぞれの価値観としてのペイン型とゲイン型
また、関わる人それぞれの考え方でもこの型は変わります。
同じく飲食で考えると、どんなサービスを提供したいかがスタッフによって違うかもしれません。
例えば同じカフェでも、可能な限り早く商品を提供してあげたいというスタッフもいれば、上質な空間を提供するために会話を大事に、と考えるスタッフもいるかもしれません。
そしてそれは、顧客側が何を求めているかによっても変わるところでしょう。
仕事選びと幸せのカタチ
仕事の種類が、幸せのカタチによって2種類に分けられる、という話をしてきたのですが、この記事の主旨は仕事選びです。
仕事を選ぶ時に、職種のイメージを最初に考えるのが一般的です。
例えば薬剤師になりたい!といった具合に。
しかし、入ってみてから思ってたのと違う、と感じることも多いのが事実。
勿論これは、ただ人間関係や職場が合わないだけのパターンもあります。
しかし、自分の気持ちや能力と、職種の目指す「幸せのカタチ」が異なることもミスマッチを生む原因の一つだな、と感じるところです。
そもそも仕事とは、何らかのモノ(プロダクトまたはサービス)によって、他人を喜ばせること、そしてその代わりにお金を頂くことです。
今回お話しした「幸せのカタチ」の違いは、この他人を喜ばせる方法の違いです。それは、会社の理念にも直結するものだと思います。
だからこそ、自分がどちらの方向性で関わっていきたいのか、を考えてマッチする会社を選ぶのが良いのではないかと思います。
そしてその上で、自分が得意な関わり方で職種を選ぶとより良い選択ができるのではないでしょうか。
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