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2023/10/10雑記「朝バタ」

妻の出勤が早いと聞いていたから、夕べから朝のバタバタに備えていた。
一日を心おだやかに過ごすためには静かな朝が必要だ。
朝がくると夫婦で協力しながら、子どもを起こしそのスローモーションな動きにできるだけ寛容をよそおいながら、優しく学校の準備を促す。

時計を見ない子どもと時計を気にする大人の差だろうか。長女は、六年生になって少し余裕をもって準備ができるようになっていた。次女と三女は、家をでる直前のトラブルが多い。
この日も家をでる直前に、三女が「靴下がない」というから確認すると、靴下はあるのだけれど、足にフィットする靴下がないのだという。大丈夫ほら、ちゃんとフィットしてるよと子どもを洗脳するような言い方でなんとか靴下をはかせる。あらゆる声かけの優しい口調が段々と荒くなる。なぜ学校に行く当人より親が焦らなくてはならないのだと、心かき乱されること自体に少しずつイライラしてしまう。そのあとの次女のある言動で、張り詰めていた短めの糸が切れ、朝から爆発してしまった。
段取りと心の準備を台無しにしてしまった虚無感。しょんぼりと登校する子どもたちを見送りながら自己嫌悪。切り替えが下手くそだから、一日うっすらひきづってしまった。

夜、仕事から帰宅し、お風呂に入っているとガチャっと扉が開き、妻に付き添われながら次女が立っていた。目からポロポロと涙を流しながら「朝はごめんなさい」と。
こちらも余裕のなさとテンパっていたことを謝罪。
笑顔を取り戻し次女はいったん風呂の扉を閉めた。と思ったら、また扉があき、ニヤリと何かを企んだような顔をした次女が立っていた。手にはコップを持っていて中には冷水が入っていた。次女はニヤリとしたかと思うと、すかさずその冷水をこちらにパシャリとやってきて、僕は思わず「ひゃっ!」と叫んだ。
その反応をみて満足したのか、ウルウルの残った瞳はイタズラな笑顔へと戻っていった。次女はそのまま風呂場を去り、裸の僕はまたシャンプーをしながら朝の一連の騒動の振り返っていた。
そういえば、朝のバタバタで必死だった自分がずっとパンツ一丁だったことを思い出し少し笑えた。


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