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[結果]プロダクトマネージャーに必要な素養アンケート

こんにちは、Tablyの小城(@ozyozyo) です。
前回のnoteでは、プロダクトマネージャーの素養調査アンケートにご協力ありがとうございました。アンケート結果をお伝えいたします。

■ ■ ■  結果のサマリ ■ ■ ■
① 36項目の内、優れたプロダクトマネージャーに必ず必要な素養は、
・ 議論を恐れず、自分の意見を伝える
・ 知らないことを学ぶのが好きである

必ずしも必要ではないのは
・ チームメンバーの衝突を避ける
・ 計画通りに進捗させる

② 優れたプロダクトマネージャーは一概には定義できず、様々なタイプがある

アンケート実施概要

実施期間: 2020年7月20日 〜 2020年7月28日
回答総数: 289名(内、プロダクトマネージャー経験者198名)

プロダクトマネージャーに必要な素養について

以下の36項目を3段階で評価する設問を実施しました。「1. 必ずしも必要ではない」が1点、「3. 必ず必要である」が3点です。

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結果からお伝えすると、ほとんどの設問で回答の分散が大きく、「人によって必要だと考える素養は異なる」という結論に至りました。

しかし、「議論を恐れず、自分の意見を伝える」「知らないことを学ぶのが好きである」の2点においては回答者の大多数が「3. 必ず必要である」と回答した素養となりました。

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反対に、「チームメンバーの衝突を避ける」「計画通りに進捗させる」の2点においては「1. 必ずしも必要ではない」の回答者が多数となりました。ときにチームで衝突をしたり、計画を変更したりしてでも良いプロダクトを作る姿勢が見られます。

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こちらで用意した36項目以外に、自由回答に必要だと記載があった素養を要約すると以下の4項目が多く挙げられました。

ビジョナリー・愛・熱い思い・語る
・ プロダクトを誰よりも愛していて、プロダクトを通して世の中を良くしたいという熱い思いがあること
明確なビジョンを持っており、ビジョンから戦略を立て、ストーリーで語り、チームをドライブする
なんとかする力・主体性・ゴール・やり抜く力
・ プロダクトの成功確率を上げるために、持ち合わせたあらゆる手を使って行動に移し、結果を出す
・ あらゆる事象に対して「課題解決屋」として常に動ける機動力ゴール設定
三方良し・バランス感覚
・ ビジネス、UI/UX、顧客、技術、プロダクトなど、すべてがwinの状態を作り上げることができる
ステークホルダー、チーム、ユーザー、マーケットを正しく理解し、1.5歩先の勝てるプロダクトをポジティブに描く
社内での立ち回り・コミュニケーション・情報伝達
・ 自分とチームが何ができるのかを理解し、プロダクトに必要なスキルや人材、リソースを調達し、チームでプロダクトを作り上げること
・達成したいことを分解してストーリーで伝える能力

素養を用いて、PM経験者をクラスタリング

必要な素養の回答には分散が見られたため、「現在もしくは過去にプロダクトマネージャーとして働いていた」を選択したPM経験者をkmeans法にて6つにクラスタリングしてみました。結果の各クラスタをその特徴ごとに、「スーパーマン」、「0→1」、「1→10」、「10→100」、「現実型/課題解決」、「現実型/協調」と名付けました。ここでいう0→1や10→100はプロダクトの成長段階を表しており、0→1は新規立ち上げ、1→10はグロース、10→100はその先の拡大フェーズを示しています。

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まず、この6つのクラスタでは回答の合計点に大きな違いが見られました。この表は各クラスタの重心となる点数の合計値になります。36問の設問に対して、1〜3点の点数をつける形となるため、最低でも36点、最高で108点となります。

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最もスコアが高く、プロダクトマネージャーは多くの素養を持つべきだと考えているクラスタを「スーパーマン」、反対に少ない素養で十分だと考えているクラスタを「現実型」と呼び分け、上図ではスコアの大小を縦軸で表しています。

そして、横軸ではチーム構築の方法として、推進力と協調力を取り上げています。各クラスタでのチーム構築の素養を問う設問の結果が以下のようになりました。表内の数値は各設問の重心となる点数を表します。

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このように、「0→1」や「現実型/課題解決」のクラスタでは「他者を尊重する」や「共感する」といった協調力ではなく、「将来を語ること」に重きをおいて推進力でチームをリードする姿勢が見られます。反対に「10→100」のクラスタは将来を語ることより、メンバーを尊重する協調力を大事にしたリーダーシップを取ります。

続いて、チーム構築以外に回答の分散が大きかった設問を抽出したものが以下になります。

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「0→1」、「1→10」、「10→100」の3クラスタには縦軸の合計スコアに大きな差がないにも関わらず、回答傾向に差があることがわかります。たとえば、「0→1」は前向きにアイディアをだし、揺るがない信念で不確実性の高い作業を好む一方、「10→100」は決まりきった作業を厭わず、既存のものを組み合わせて新しいものを作り上げます

このように、回答者を6つにクラスタリングをしたときに、プロダクトマネージャーに必要だと考える素養の総量の違いと、チーム構築力の違いが大きく表れました。そして、クラスタの中で、プロダクトライフサイクルごとに必要となるプロダクトマネージャーの働きの違いに親しい差があることもわかりました。

チームメンバーがPMに期待する協調性

ここまでの結果はPM経験者、すなわち「現在もしくは過去にプロダクトマネージャーとして働いていた」にチェックをいれた回答者について述べました。ここでは、「プロダクトマネージャーではないが、プロダクトマネージャーと共にプロダクトを作っている」にチェックをいれた回答者71名(以後、チームメンバーと呼びます)の傾向を記載します。

まず、チームメンバーがプロダクトマネージャーに必要だと考えている素養の平均点は72.0点であり、現実型に近いスコアになります。そのためチームメンバーは、「スーパーマン」を始めとした多くのプロダクトマネージャーが考えるほど多くの素養を求めていないことがわかります。

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そして、チーム構築力を問う設問の結果は、ほぼPM経験者の平均と同じ傾向を示しました。

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しかしながら、これは上の表に示すとおり、チームメンバーからの平均的な期待に応えられる協調力の認識を持っているのは「スーパーマン」と「1→10」のみであるという読み取りも可能な結果です。

必要な志向性について

素養のあとに、プロダクトマネージャーに必要な志向性についても回答いただきました。設問は以下の10項目です。

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PM経験者の全体平均としては、1. ビジネスへの強い興味、2. 勉強熱心、3. カスタマードリブンが必要だと考えられる志向性TOP3でした。そして、各クラスタごとに、その志向性が必要であるとチェックをいれた割合を以下の表に示します。

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志向性については設問の作りが丁寧ではなかったために、選択が難しい設問であったかとも考えておりますが、概ね素養でのクラスタリングのラベル付けに対して違和感の無い回答傾向になっています。

結果のまとめ

・優れたプロダクトマネージャーに必ず必要であるのは、36項目の内、
「議論を恐れず、自分の意見を伝える」
「知らないことを学ぶのが好きである」

・優れたプロダクトマネージャーに必ずしも必要ではないのは、36項目の内、
「チームメンバーの衝突を避ける」
「計画通りに進捗させる」

・「優れたプロダクトマネージャー」は一概には定義できず、「優れたプロダクトマネージャー像」には様々なタイプがある

・しかし、チームメンバーからはチーム構築力・協調力を求められているため、「優れたプロダクトマネージャー」の期待値のすり合わせが必要かもしれない

・その他、設問では取り上げなかったキーワードとして、「ビジョナリー・愛」、「なんとかする力、やり抜く力」、「三方良し、バランス感覚」、「社内での立ち回り、情報伝達」なども求められている

以上となります。

みなさんはどのクラスタのPMでしたか?私は時と場合によって演じ分けていることに気が付きました。
自分が普段気にしていない素養を意識してみたり、反対に特定の素養に集中してみたりすることで、新たな発見があるかもしれません。

今回のアンケートには予想を遥かに上回る数の回答を頂き、大変感謝しております。
次回、このアンケート結果に対するTablyの見解についてのnoteも書きますので、またお読み頂けますと幸いです。
アンケートへのご意見、ご感想はコメントやTwitter @TablyRocks までお寄せ下さい。



(おまけ)自由記述への回答🍉

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申し訳ないです。
誰もが大事だと思うであろう素養などは外して設問を設計したのですが、それでもやっぱり多かったですよね。
最後まで回答してくださった皆様と、途中で疲れて離脱してしまった皆様に改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。

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289人も教えてくれました〜〜〜🙆 🎉
次回、Tablyの見解noteも更新するのでそちらもぜひ!

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アンケート結果として、全員が考える「プロダクトマネージャーに必要な素養」に唯一の解はないという結論になりましたので、お二人の仮説に近いですね!
今回のアンケートでは、必要な素養を分けるのは「業種ごと」なのか、どんな「時と場合で変化する」のかについては調査しきれていないので、引き続きの課題とさせて下さい。非常に良いご意見をありがとうございます。

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誤解をさせてしまっていれば申し訳ないのですが、アンケートにあった項目がすべて「一般的に考えられているプロダクトマネージャー像」というわけではなく、敢えて幅広く設問を用意してありました。
そしてアンケートの結果からも、人によってプロダクトマネージャー像が異なることが見えてきています。

しかしながら、御社がそうであるかどうかはわかりませんが、例えば「名前だけのプロダクトマネージャー」になってしまっている企業があるのも事実です。
そういった事象に対して記事を書かせていただいたこともありますので、もしよろしければこちらも合わせてお読み下さい。

PMに任命された人が陥りがちなワナとは? プロダクトマネージャーの本当の役割を知ろう
https://codezine.jp/article/detail/12227

プロダクトを成功させるチーム構築のためにPMがすべきこととは?
https://codezine.jp/article/detail/12578

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今回のアンケートには、ありがたいことに多くの応援コメントを頂きました。
業種柄、みなさんからフィードバックを貰える機会が少ないのでとても嬉しく感じております。
みなさんからのお声を励みにこれからもTably一同精進して参りますので、どうぞ引き続きよろしくお願い致します🙏