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瞑想を学ぶ(後編)

前編はこちら

心ここにあらず

瞑想では
「今ココ」という言葉をよく使います。

瞑想とは
今ココの行動や体験に対して
フルに近い状態で
注意を向けている意識状態のことを指します。

一方、その逆は
心ここにあらず状態です。

この
心ここにあらずの状態は
様々なタイプに分かれますが
今回は
「認知的フュージョン」について
取り上げて考えてみましょう。


認知的フュージョン

認知とは思考のこと。
フュージョンとは混同のことです。
何を混同しているのかと言うと
「思考」と「現実」と「自分」の3つです。

例えば
私はみんなに嫌われているという「思考」があって
友達に話しかけたけれども
友達は振り向きもしなかったという
「現実」があったとします。

思考と現実が混同しているので
「私は嫌われているから無視された」
と認識してしまいます。
それを第三者的に観れば
「たまたま聞こえなかったんじゃない?」とか
「声が小さかったんじゃない?」といった認識も出来るのですが
思考と現実に「自分」も混同してしまっているため
起きている出来事をニュートラルな目線で観れないでいるのです。

この3つを混同するから苦悩が生まれ
この3つを識別出来たら苦悩はなくなります。

ちなみに
ヨガの世界では
「ヴィヴェーカ・キャーティー(識別知)」という言葉が使われます。
識別をする知恵という意味です。
何を識別するのかというと
今話してきた3つ(思考・現実・自分)のことですね。



思いこみ

こういった認知的フュージョンを作り出す理由の一つは
概念化された自己
つまり「自分に対する思い込み」です。

僕たちは
常に自己イメージ・自己概念を持っています。
「自分はこういう人間だ」
「これが得意でこれが苦手だ」
「これは出来ない」
「この人は苦手だ」
といったような自己イメージは
自分がただ思っているだけなのです。

つまりそれは
ただの思い込みです。

思いこみは
自己を縛るものなので
考えも狭くなるし
行動する世界も狭くなってしまいます。

また
この自己への縛りがキツくなっていくと
自分のことしか見えなくなっていくので
心配事や嫌なことなんかを
全て自分で抱えてしまうようになります。
まあなんとかなるっしょ!といった
自分以外に委ねることが出来なくなるのです。

ウチ(イナムラキャビンヨガスクール)の講座でもよくあります。
デモレッスンをして
生徒役の方から
フィードバックをもらうという
カリキュラムがありますが
生徒役は先生役に対して
「すっごく良かった!インストラクションもわかりやすいし、丁寧だし、また受けたい!」
と言っているのに
デモレッスンをした先生役の方は
「全然ダメだった。緊張してうまく出来なかった。」
と言うのです。

これは
上手く出来ても褒められても
自分のことばかり考えているので
生徒役の意見を聞いているようで
聞いていないのです。

これが自己への縛りであり
認知的フュージョンを作る理由です。



瞑想のテクニック

瞑想(マインドフルネス)では
思考と現実を区別するために
ちょっと高いところから自分を眺めるようにして
「観察者としての自己」を自覚する練習をします。

例えば
イライラする出来事があったら
「あ、今イライラしている私がいる」
と認識するように
観ている自分と観られている自分を
別ける訓練をしていけば
落ち込んだり不安になったりしても
その思考や感情に飲み込まれないで済むようになります。

このとき大事なテクニックとしては
心の反応を
意識的にコントロールしないということです

思考や感情を観る訓練ですから
心の中で起こる出来事に
受け身的に気づくことがポイントです。

悩んじゃいけない
落ち込んじゃいけない
という考え方は
また自己を縛りつける「思いこみ」になってしまいますから
全ての心の動きを優しく眺めて
飲み込まれないようにしていきたいですね。

おわり

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