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香港と英国の食習慣(お粥とオートミール)



香港は英国の植民地だったので、香港の習慣が英国に伝わったり、英国の習慣が香港に残っていたりします。


英国食習慣の筆頭が、アフタヌーンティー。午後に紅茶とともに、サンドイッチやスコーンなどの軽食や、ケーキやクッキーなどのお菓子類をいただくこと。単に食浴のためだけではなく、その時間と場所では社交の場として、食器や家具、礼儀作法、お話の内容にまでこだわり尽くす。英国発祥の上流階級文化の精髄の一つとして知られています。

そのアフタヌーンティーの原型は、実は、香港の飲茶習慣から来ているのです。

昔から香港では、点心をつまみながら、お茶を飲む。新聞を読みながらの人もいるのですが、話に大きくて賑やかな花をみんなで咲かせるのが目的。それが平日の朝なら太極拳などで体を動かした後、仲間とわいわい。それが休日のお昼なら家族が集まりわいわい。お茶を淹れたり、注いでもらったりするときの小さなマナーはあるけど、基本は自由にやりたいように楽しく。

同じお茶を飲んで食べるという行為なのに、全然違うから面白いですよね。


そして次が、朝ごはん。香港人には朝ごはん抜きはありえません。

香港人の朝ごはんと聞くと、日本人である私たちは、「お粥」を思い浮かべます。食在香港で、健康長寿な香港人は朝から体をしっかり温めて元気の源にするために、熱々で消化の良いお粥を食べています。街のあちこちにお粥屋さんがあり、朝は特に賑わっている。これも本当。でも、朝ごはんに外食をする香港人のための食堂は、お粥屋さんだけではありません。香港には、洋式朝ごはんを出す食堂も存在します。そこでは朝から、出前一丁と卵やハムにパンと飲み物のセットとか、マカロニスープと卵やハムにパンと飲み物のセットとか、オートミールとサンドイッチと飲み物のセットなどを提供しています。洋式朝ごはんも体を温めるものが基本であるのが香港らしい。それをナイフとフォークで食べるから、洋式なんやと思います。

でもね、香港人みんながみんな、朝ごはんに外食するわけではありません。家で食べる人もたくさんいます。何を食べるのかというと、オートミール。
オートミールとは、燕麦を脱穀したものを水や豆乳や牛乳でお粥状にしたもの。
ちなみに、香港でいちばんポピュラーなオートミールの代表ブランドは、英国の“Quaker”

香港在住最長の日本人女性である80代のマダム・マーに、朝食には何を食べるのかを尋ねてみたら、「オートミールよ。コレステロール値が高くなったときに、息子から薦められて食べだしたら、本当にコレステロール値が下がったの。食物繊維も豊富だからお通じも万全だし。もう朝食は、ずーっと、これよ。」とおっしゃっていました。

ちなみに私の夫も、小さいころはギリギリまで寝ることにして、さっと作れる洋式お粥のオートミールをさっと食べて学校に行くのが習慣だったそうです。
(2022/12/14楊さちこ)

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