【今日の船内】良いな、と思ったコミュニケーション#1
#1 とつけたものの、これから続くかはわからず。
けれど、コミュニケーションについてよく考えている気がしたので自分がいいな、と思ったコミュニケーションを記録していく。
それをこれからも続けていきたいなあと思ったのでとりあえず1つめです。
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船内で電波を取ることのできる場所は限られている。
外に出ようと思えば出られたけれど、短い休憩時間でそうすることも面倒に感じて、乗組員がwi-fiが拾える唯一の場所へ向かう。
珍しく先客は、一緒に働く(けれど名前も部署も分からない)フィリピン人だけだった。
私服姿の彼は買い物帰りなのだろう、「艦これ」のフィギュア(しかもかなり大きめ)を目の前に置いて、ポテチをつまみながらリラックスした様子でテレビ電話をしていた。
意外なフィギュアのチョイスとその存在感。
思わずチラチラ目線をやっていると、今まで一度も喋ったことがない彼はこちらに微笑んで手招きをし、テレビ電話に向かって話し始めた。
近くに寄ると、おもむろに画面をこちらに向けて
「My mother, say Hi」と。
突然の事に驚いたけれど、
ほぼ反射的に同じ場所で働いていることしか知らない彼の、画面越しの母親に「Hello,」と手を振った。
目の前のフィギュアには500円の表示。
そういえば今日の港の近くには中古販売店があったっけ。
すると今度は、これはなんのフィギュア?と思わぬ質問が飛んでくる。
ジャパニーズポピュラーゲーム、と簡潔に答えてから、ちゃんと意図はあってたかな、と目を見るとサンキューと返ってきて安心した。
少し離れたところに腰掛けた。
仲の良い友人ならまだしも、
何ひとつ情報がない彼の母親に挨拶することはやっぱりとても違和感があって、すごく不思議だったけれど、なんとなく心が温かい。
それは多分彼の笑顔になんの邪気もなかったからだろう。去り際にも彼はまたハニかむ笑顔を浮かべて、満足そうにそのフィギュアを抱えてその場をあとにしたのだった。
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