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【 読書レビュー 】今夜、喫茶マチカネで

今夜、喫茶マチカネで 増山実著/集英社


誰の半生にも忘れられない出来事が起きている。閉店の決まった喫茶店が主催する“待兼山奇談倶楽部”。そこで語られた、せつなく、美しく、不思議な物語。人生を彩るちいさな奇蹟の7つの連作短編集。

本書帯より

やっぱりいいなぁ、増山実さんの文章は。
今作も出だしの雰囲気から、優しさがにじみ出る増山ワールドにたっぷり浸れる1冊です。

増山さんの本は「ジュリーの世界」を初めて読んで、じわ~っとくる感動が忘れられず、「波の上のキネマ」「甘夏とオリオン」と続けて読み、今作は2024年7月に出たばかりの最新作です。

増山さんは実在した話を元にお話しを書かれるので、今作でもまるで架空の話かと思われる「マチカネワニ」は本当に実在していて、大阪大学の豊中キャンパスで日本で初めてのワニの化石が発見されたという事実がある。
その、知らなかった「事実」と奇談となるファンタジックな物語がほどよく調和して、どの短編も最後にはほろりと泣かされる😢

7つの短編の後には、更にもっと『奇談』というよりは、宇宙的な世界へと話は発展する。


私は、「パラレルワールドはある」と思っているので、この小説のように語られてもキテレツな話だとは思わない。

『赤い橋の石橋駅』と『青い橋の待兼山駅』のようなパラレルワールドは微かなズレなのかひずみで入れ替わるのか、それとも何かの意志によるものか…😊
ラストは表の意識では忘れているような世界に触れられる、不思議さが増した本です。

クセになる作家さんの一人です。推し!!



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