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【 読書レビュー 】魔女の原罪

魔女の原罪/五十嵐律人著 文藝春秋

五十嵐律人さんの本は、今のところ全部読んでいる。
弁護士が書く「法廷ミステリー」であり、登場人物達があまり感情的にならず展開していくのが好みです。

僕らの住む街は何かがおかしい。
法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。
一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。

帯より

高校2年生の宏哉は、慢性腎不全を患い、自分の親のクリニックで透析をしている。同級生の杏梨とはクラス、部活そして透析も一緒なのだ。
その杏梨は、オカルト系の本が好きらしく、隣のベッドで透析中の雑談で、オカルティックな知識を好んで話す。

魔法使いと魔女の違いを知ってる?
魔法使いは、どのように魔力を行使したかによって善か悪かが決する。しかし魔女は、悪魔と結託して神を裏切った時点で、悪であることが確定するの。

と、杏梨は言う。
魔法使いは行いによって善にも悪にもなれるが、「魔女」という存在は、悪魔と結託することでなり、その存在そのものが悪なのだ。

中世の魔女狩りは、白魔女・黒魔女の区別なく、「異端者」であることで罪をなすりつけられて狩られていく。

コロナ禍で、医療従事者達がまるで迫害されたような話を聞くと、「中世の魔女狩り」は、現代にも形を変えて存在していると思わされる。直接的に手を下さずとも、傍観者達が居場所を排除していく。街のルールを守るために。

ページが進むにつれ、「違和感」と不穏な空気が街に広がっていく。誰を信じていいのかわからない状況になっていき、主人公の宏哉は自分の力で「背負わされたもの」を明らかにしていく。

感情に流されず真実を追う宏哉と、弁護士の立場と元担任の立場で見守る佐瀬が良かった。後半、二転三転と新事実が明らかになっていき、一気読みしました。


週末だったので時間もあり、昨日から読み始めた「魔女の原罪」、続きが気になってあっという間に読み終えました。
昨夜寝る前に読んだところは、眠気でウトウトしながらだったので、もう一度読む。
寝る前の読書の時間、好きです😊
1ページでも2ページでも、本を読んでから寝たいです。

さて、次はクリスティーの再読の続きを読みます📖


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