発刊順:72 パディントン発4時50分
発刊順:72(1957年) パディントン発4時50分/大門一男訳
ミス・マープルはマクギリカディ夫人が見た列車内での殺人の話を信じ、同じような状況で列車に乗り込み地図を見てあたりをつける。そこは広大な土地を所有するクラッケンソープの屋敷がある場所。警察は上辺だけのことしかせず、マクギリカディ夫人の話はよくある年寄りの幻想とでも思っているようだ。
犯罪は確実に起こっていると信じるマープルは、できるだけのことをしようと決意するが、実際に動き回るのは健康の面から自分ではできない(なんと、マープルはこの時89歳なのだ!)と、ルーシー・アイレスバロウにクラッケンソープの屋敷に潜入して死体を発見するよう依頼する。
ルーシー・アイレスバロウは、32歳で、オックスフォード大学で数学を専攻し首席で卒業した才色兼備の女性。社会情勢を読み、人材不足の職業である「家事労働」の分野で活躍する。こういったシチュエーションはとても面白い。
ミス・マープルが活躍するのは、最初とラストの事件解決の部分というのは定番の展開だ。
ルーシーがマープルの期待どおり列車で殺されたであろう女性の死体を発見し、いよいよ警察が動きクラドック警部が捜査をする。
クリスティーの作品を読むのも72冊目ともなれば、あっと驚く動機を持つ犯人が潜んでいるに違いないという予想がたち、クラドック警部がクラッケンソープの家族一人一人にアリバイを聞くあたりは、退屈に感じてしまう。きっと、この人達ではないだろう・・・と。
マープルものは、マープルの推理を引きたてるためなのか、警察の捜査の部分が単調で人物にも魅力を感じない。
クラドック警部は、
五里霧中の警察に対し、ミス・マープルは犯人をあぶり出すためにあることを実行する。
そして・・・。
あっと驚く動機はあったものの、肝心の「動機の理由」が世間に知られずに済むのだろうか・・・という疑問も残る。
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