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#読書記録

『金閣寺』三島由紀夫

『金閣寺』三島由紀夫

1950年、金閣寺が燃えた。見習いの僧侶が放火したために全焼したらしい。その事件を題材にして書かれたのがこの『金閣寺』で、人間のコンプレックスと社会の歪みが生み出した一つの事象として見事に描出されている。本人すら分かっていなかったかもしれないその本質を徹底的に分析し、投げられた匙を磨き上げてしまう天才。

中でも、鹿苑寺を飛び出してから由良に着き、そして金閣を焼かねばならぬとの暗示を受けて帰路の列

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『潮騒』三島由紀夫

『潮騒』三島由紀夫

なんですかこの透明感!!?

眩しい
とにかく眩しい

10代後半のふたりの眩しさが、歌島の情景と重なってさらに眩しいのです。

今まで読んだどの小説よりも飛び抜けて清らかな、清純の権化のような作品でした。「ひまわりみたいな物語だ」と批評には書いてあったけれど、ひまわりのようなずっしりとした明るい花ではなくて、今にも風に吹かれて飛んでいってしまいそうなほど軽く透明感のある花が似合います。なんだろう

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