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「デンマークでホームステイ」

世界一周436日目(9/7)

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もう次の街に行こう。

そういうスピード感も時には大事だ。

きっと、このまま
クリスチャニアに滞在したら、
なぁなぁな感じで一日が
終わってしまうんじゃないかと思ったのだ。

それには旅の連れも賛成で、
午前中はクリスチャニアで友達への
お土産を買ったり、雑貨を仕入れて、
昼前からヒッチハイクで
次の街を目指すことに決めた。

ここはデンマーク、
コペンハーゲンの川沿いの公園。

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クリスチャニアには
何軒かお土産屋さんもあれば、
露天商みたいな出店もある。

それがオープンするまでの時間、
昨日買った10クローナ(188yen)の
コーヒーをすすり、時間を待った。


ポツポツと雨が降り出した。

やがて、雨具やレインカバーを
バックパックに装着しなくては
いけないほどの小雨になった。

商売あがったりだ。

屋根のあるお店はいいけど、
簡易テントのようなお店で
アクセサリーを売る人たちにとっては
雨はやっかいな存在。
きっと売り上げも普段より落ちてしまうだろう。


僕たちは昨日チェックしておいた
雑貨を探したのだが、
昨日と同じ場所でお店を構えている人もいれば、
そうでない人もいた。

僕たちはクリスチャニアの国旗が描かれた
コインケースを買おうとしていたのだが、
それを見つけることはできなかった。

露天商のおっちゃんの一人に尋ねると、
あっちに行けだとかこっちに行けだとか、
いくつかの場所をたらい回しにされて、

最終的には、おっちゃんの売る
雑貨のストックが入っている段ボールに
あったっていうー、なんだよそれ?


他にもクリスチャニアのポスターを
三枚仕入れておいた。

ツレは友達にへのお土産に
クリスチャニアTシャツと
自分用にキーホルダーを買っていた。

なんてったって、
世界に一カ所しか無い
クリスチャニアですからね!

ここでしか買えないのですよ!
まぁ、高いんだけどね。


Tシャツをツレが買う時に
お店のお兄さんがこう言った。

「これを買ったお金は
クリスチャニアにいくからね」

と。


そうだ。

ここは観光地の顔も持っているが、
独自のルールを持った、自由な村なのだ。

僕たちはここの空気を
壊してしまってはならないと、
着いた初日に思った。

写真撮影が禁止されるのも、
ここの持つ独特の空気感を
損なわせないためだろう。

ネットで調べればそれなりに
何枚かは写真が出て来る。
けどその量は少ない。


やっぱりこの場所は
このままであるのが一番だ。
だからあまり写真が出回らないんだろう。

ちょっともったいない気持ちもするけど、
写真はやめておこう。

バイバイ、クリスチャニア。またね。

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雨はすぐに上がった。

僕たちは歩いてヒッチハイクポイントへと向かった。

物価の高いデンマークだ。
節約できるところはしておきたい。


次の目的地は
アンデルセン童話の作者が生まれたとされる
オーデンセ。

マップアプリを頼りに、街の郊外へ出た。

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ローラーブレードの試合が行われているほど、
デンマークの街は平坦で、

こういうスポーツがちゃんとスポーツとして
受け入れられるのはやっぱり
海外ならではだよなぁとツレが言った。

ちなみにお値段4万円くらい!たっけ!

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郊外へ出ると、
家の入り口にはデンマークの国旗が
掲げられているのを見つけた。

僕たちは落ちている国旗を拾って、
バックパックに括り付ければ、

ほら。
デンマークが大好きな旅人に
見えること間違いなしだ♪

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ヒッチハイクポイントは
駅前のバスターミナル付近だった。

ハイウェイ直前のわずかなスペースで

『ほんとうにこんな場所に
車が泊まってくれるのか??』と疑ってしまうほど、
ヒッチハイク成功の可能性があるんだかないんだか
わからない超絶微妙な場所。

でも、そう「Hitchwiki」には書いてあったのだ。

ヒッチハイクの成功例がある以上、
ここでやるしかない!


僕はトルコの旅から移動のほとんどを
ヒッチハイクしてきた。

ヨーロッパでは行き先を書いたボードが
大事になってくることも学んだ。

笑顔でボードを掲げて、
ドライバーにサムズアップした手を振る。

僕の後ろで、ツレは半笑で
やる気無さげに親指を立てていた。

これが彼の人生初の
ヒッチハイクだからだ。

まぁー、どうしたらいいのか
分からないのだろう。


そんな二人の日本人ヒッチハイカーに
ドライバーさんたちにレスポンスは
それなりにあった。

運転席からニコニコしながら、
頑張れよーと親指を立て返してくれる人もいた。

これならいけるな。


そしてヒッチハイク開始から15分で
一台の車が止まってくれた。

黒いアウディの車。
中からちょっとガラの悪そうな
お兄さんが出てきて
「オデンセだろ?乗りな」と言った。

中には高校生くらいの男の子と、
常に眉間にしわを寄せている
怖そうなスキンヘッドのドライバーさんがいた。

話によるとドライバーさんを除いた二人は
生まれも育ちもデンマークだが、
自分たちのルーツはイラクの
バグダッドにあると言っていた。

なんかー、偏見だけどー、ちょっと怖い。


だが、車に乗ってみて
彼らと話をしてみると
そんなことは全くの杞憂だった。

助手席に乗ったお兄さんは、
冗談を飛ばして僕たちに絡んで来てくれた。


「なぁ、教えてくれ。
あんたら日本人が
犬を食べるってほんとか?」

「ははは。それは違うって!
中国にはそういう文化があるみたいだけどね」

「なんだぁ~。
おれはてっきり、
ゴキブリも食べてるのかと思ったよ」

「はっはっはっは!」


口調から、僕たちを
バカにしてるんじゃなくって
冗談だということが分かる。

いい車に乗せてもらえてさ♪

って思っている横で



デンマークは三つの島から成り立っている国だ。

オーデンセがある町はフィン島という名前だ。

橋というよりかは、
そのまま道路が海の上を続いている感じ。

島と島を橋で繋いでしまうなんてすごいよなぁ。
工事に一体どれだけの年月がかかったのだろう?

コペンハーゲンからオーデンセまでの移動時間は
2時間もかからなかった。

ハイウェイに乗ってしまえば、
移動はあっという間だ♪




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僕たちはオーデンセの町の中心地まで
3kmのところで降ろしてもらった。

オーデンセはデンマークで三番目に大きな町らしい。

だけど、
首都のコペンハーゲンと比べると、
大分落ち着いた印象を受けた。

周りに芝生が広がる公園や家が並び、
色の変わった落ち葉を見ると、
秋を感じることができた。

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今日は日曜日だったので、
町は人が全然歩いていなかった。

今日は「カーラン」っていう、
インドのホーリーみたいに色をぶっかけあって走る
イベントがあったみたい。

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町のショッピング通りらしい場所を通って、
僕はバスキングをやってみることにした。

今日のメシ代を稼がなくては!

なぜかこの時の僕は
わざわざ日本から僕に会いに来てくれる
友達に対して「3万円くらいあれば二週間は余裕だよ」
と言ってしまっていたのだ。

野宿やヒッチハイクがこのたびのメインである。
貧乏旅を楽しんでもらう代わりに、
僕もできる限りのことはしなければならない。

そして食費負担サービスが
僕の中ではある(笑)

ツレは日本円にして3万円は持ってきて、
デンマーク・クローナとユーロに両替済みだけど、
まぁ、交通費とかは僕が出そうと思っている。

なんせ日本から往復11万かかってるからね。
こういうところは僕が出さないと。

といっても、
そこまで何かに負われている感じはない。

純粋にバスキングを楽しもうという感じ。

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人通りはまばらだったが、
71クローナ(1,207yen)分のコインが入った。

旅のスタイルは僕の貧乏旅に
合わせてもらうことになっている。

昨日も野宿だったし、
今日もどこかの公園でテントを張ろうと思う。

それに一日中外にいるわけだから、
iPhoneのバッテリーが切らさないように、
どこか充電できる場所を探さなければならなかった。

僕一人ならポータブルバッテリーで
十分間に合うんだけど、
二人となるとすぐになくなってしまうだろう。

ツレはiPhone5二台持っているので
消費電力も多い。



バスキングを終えて、
Wi-Fiと充電ができて、まったりできる
カフェかなんかを探すことにした。

ショッピング通りを歩いてると、
まおが誰かに声をかけた。

歳上っぽいお兄さんが
僕たちの元へと近寄って来る。


「ハーイ」

「ハーイ。どっから来たの?」

「コペンハーゲンさ。
ヒッチハイクでね」

みたいな会話から、
世話好きの兄さんは僕たちを
Wi-Fiが入るカフェへと連れて行って
くれることになった。

まぁ、マクドナルドなんですけど笑。


声をかけてきた青年はジェイクといった。

彼は以前の仕事を辞めて、
今は新しいビジネスを立ち上げる
プロデューサーみたいいなことをやる傍ら、
作家としても活動をしているらしい。

デンマークの大手出版社(らしい)の電子書籍には
彼の書いた短編集が販売されていた。

マクドナルドのコンセントが確保できる席で、
ポテトに「うめぇ~~!」といいながら
コーヒーをすすり、僕とジェイクは
ちょっとしたビジネスみたいな話をした。

まだまだ電子書籍がアツくなるのはこれからだ。

ジェイクはもっと若い読者を巻き込みたいらしい。


僕の描いた漫画を、僕が英訳して、
それをジェイクに投げ、
ジェイクがデンマーク語に翻訳して
販売するというアイディアだ。

僕としてもなにもロスはない。

まぁ、デンマークの人に知ってもらえれば
ラッキー程度のこと。

「僕は旅をしているから、
そんなに頻繁には漫画が描けないよ?」と言うと、

ジェイクは
「シミが旅人だという背景が面白いんだ!」
と熱を込めて言った。

なんだか面白そうだ。
時間があったらやってみよう。



「それで、今晩はどこに泊まるだい?」

「キャンプさ!」

「よかったら、
僕の兄さんの家が空いているから、
そこに止まらせてあげるよ?」


一応ジェイクはお兄さんに確認して、
僕たちはその空き家に
泊まらせてもらうことになった。

ジェイクの家とお兄さんの家は
近くにあるらしい。
そこまで歩いていくことに。

オーデンセの町の中心地から、夜の町を歩いた。

彼の(お兄さんの家)まではなかなか遠く、
ずいぶん離れたように感じた。

明日オーデンセの町を
観光するのにこの道を戻るのかぁ~…。

電灯はほとんどない。

歩けば歩くほど暗くなっていく。



そして案内されたのがー…

暗闇に浮かぶこじんまりとしたシルエット。

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家よりも大きな庭には様々な植物や植えられ、
家の入り口近くにはリンゴの木が立っていた。
それを月が照らし出した。

家と家がプライバシーを
損なわない緊密さで立ち並んでいる。

舗装されたコンクリートの道というのはなく、
家と家の間は芝生の道が続いていた。

うっすらと近隣の家からは
灯りが漏れているのが分かった。

暗闇の中で

「すげー!すげーよ!」

僕の隣りでツレが興奮していた。

こういう誰かの家に泊まらせてもらう展開は、
以前にもあったが、僕も表面には出さず、
心の中で驚いていた。

ジェイクのお兄さんはアジアが好きなのか、
ジェンベや禅の本が置いてあった。

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「ちょっと散らかっているけどね。
今、兄さんたちはノルウェーに
旅行に行っているんだ。
だから好きに使ってくれて構わないよ。
冷蔵庫にはー、うえっ…、
ちょっとこれは使わないほうがいいな笑」

「それじゃあ明日!」と
ジェイクは爽やかに去っていった。

って何これ?
さっき町でたまたま会ったアジア人に
自分のお兄さんの家を貸してあげたりするか???

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住んでいる場所は「ガーデンハウス」という
庭付きの家だった。

テレビもなければWi-Fiもない。

トイレは水洗じゃないし、
シャワーは途中からお湯から水になった。

だけど、どこか豊かだなと思った。

シンプルライフがここにはあった。

庭になっているリンゴはもちろんオーガニック。

ジェイクが取ってもいいと言った近隣のリンゴは、
皮の赤みが内部まで染み込んでいて、
シャキシャキとした歯ごたえと
十分な甘みを持っていた。

テーブルの上においてあった
スピーカーで音楽をかけると、
今まで聴き馴染んでいた曲が別の曲に聞こえた。

ツレは今日買った食糧で
トマトスープを作ってくれた。

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やっぱり、食事はさ、
「誰とどこで食べるか」
で全然味が変わってくるよな。

気持ちよく酔っぱらうと、
僕たちはロフトとベッドへと引き上げた。

いい一日だ。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。