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「旅してたら血尿が出た日 in トルコ」

世界一周350日目(6/14)

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「こんなにも宿が居心地のいいもんだなんて
僕かぁ気づかなかったよっ!」

はい。寝坊の言い訳です。

あ~、ヒッチハイクで
次の町なんて行きたくないよぉ~、どうしよっかなぁ?
もう一泊しちゃおうかなぁ?いや、いや、いかん!


起きたのは9時半。

昨日調子乗って夜中の2時前まで起きてたってのもある。
まぁ、グダグダとネットしてただけなんだけど。
それと日記一本書いてね。


散らばった荷物をまとめ1時間かけてパッキンを済ませた。

昨日仕入れた13個の石けんのせいで
バックパックがまた少し大きくなった。

85リットル入る大容量だけど、
また活動限界が短くなったとも言える。

それで町の端っこまで歩かなくちゃいけないなんて。

自分を奮い立たせるためにも
朝からケバブを食べてエネルギーを蓄え、
岩山の上にあるオールド・マルディンの町を下山した。


荷物の増えたバックパックは
ずっしりと暴力的に重かった。

たぶん、今度何か仕入れたら死んじゃうな…。

たかだか1kgとかなのに
なんでこんなに重く感じるんだろう?
いい加減Penny Boardも旅から離脱してもらおうかな?
ほんっとバックパック背負ったまんまじゃ滑れやしねえもん。
でも、せめて、ヨーロッパまではー…

はぁ、はぁ、マジでキツい。

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汗だくになりながらも、
次の町シャンウルファまで続く幹線道路に出る。

最近効力を発揮しだしたのはフル装備、
バックパックを背負った姿のまま、
後ろを振り返らずに親指を立てるその名も

「INTO THE WILD」スタイル。

説明しよう!
「INTO THE WILD」とは2007年に公開されたアメリカ映画である。
ショー・ペン監督の作品でエミール・ハーシュ主演。

高学歴エリート街道まっしぐらだった主人公は
全てを捨て放浪の旅に出るっつーシミのお気に入りの映画だ。

意外と止まってくれるんすよ。「乗ってく?」みたいに。


そんなふうにして歩いていたらすぐに15m先にトラックがテールランプ点滅させて止まった。

僕も最初は自分を乗せるために
停車してくれるまで分からなかったから、
僕を呼んだ時はダッシュでトラックに駆け寄った。

サブバッグとギターを助手席に入れ、
バックパックを背負ったまま助手席へとよじ上る。

そして助手席でクソ思い20kg以上するバックパックを
膝の上に乗せるようにしてずらすのだ。

乗っていたのはメヒートとジャヒートという名前の
お笑いコンビみたいな名前の陽気な人たちだった。

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言葉はもちろん通じない。

僕もトルコ語のこんにちはとありがとうくらいしか知らない。

そでもフレンドリーに「トキョ~!イェ~!」なんて
ご機嫌になれるんだから。やっぱり僕たちは同じ人間なんだろう。

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トラックは途中までしか行かなかった。

降ろされたのは町の端っこ。町の始まり。
ここから次のヒッチハイクポイントまでは町を横断する形になる。

歩き出すとすぐに日差しで喉がカラカラに乾いた。

のどの渇きから逃れるように地価格に会った小さな売店で
350mlの缶ジュースを買い求めた。

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シリアに近い乾燥地帯。
ローカルな売店では缶ジュースの値段は安かった。

甘酸っぱいチェリー味のジュースを僕は店内で一気に飲み干した。
店内にはエアコンがついており、外と比べると天国のように感じた。

「それ、なんだい?」

お店のおっちゃんが僕に尋ねる。

「ん?ギターだよ?」

弾いてみせてくれとお願いされ、僕が一曲唄うと、
近状の子供たちもお店の中に集まってきた。

売店を去ろうとするとおっちゃんは僕に
500mlのペットボトル入の水ををくれた。小さなアガリだ。
ギターを持って旅をしているとこういうことが多い。

おっちゃんありがとう。すげー助かるよ。



マップアプリで自分の現在地は確認できたが、
やはり3km以上離れていると、とても長い距離に感じる。

それに加わって、仕入れによって
さらに重くなったバックパックが僕にのしかかった。

Tシャツは汗で濡れ、バックパックの背中部分は汗の跡が残った。

度々日陰で休憩をはさみなんとか町のはずれまで行く。

なかなかヒッチハイクできるようなポイントは見つからない。
マジでキツイよ…。Penny捨てようかな…?

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今回のヒッチハイクは運転手側からの申し出だった。

僕は親指を上げていない。

乗せてくれたのはウメッドさんという
クルド人のおっちゃんだった。

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軽トラックの荷台には大きな機械が乗っていた。
これを修理しにシャンウルファの町まで持って行くらしい。

ウメッドさんは僕にとてもよくしてくれた。

途中のトイレ休憩を終えて車に戻ると、
僕にジュースと水とクッキーをくれた。
お金を払おうとすると優しく
「大丈夫。いらないよ」と手で制した。

ヒッチハイクは人の優しさによるところが多い。
僕が旅人だから彼らは優しくしてくれるのかもしれない。
「おお、よく来たね」とでも言うように。

ウメッドさんはトルコ以外に
別の国に行ったことがあるのだろうか...?


考える。

もし彼らが日本に来た時に、
僕は同じような行動をとることができるだろうかと。

日本人はどこか英語に対して
コンプレックスがあるのかもしれない。
自ら進んで外国人に喋りかけはしない。

ヒッチハイクの優しさが沁みた。


いつもは寝ないように心がけてたけど、
今回も助手席でウトウトして、
何回か意識がぶっ飛んでしまったことがあった。

自分が寝ていたことに気づくと
「あっ!すいません!寝てました!」と照れ隠しするように、
ウメッドさんに何か話題を振ったが、
それも長くは続かなかった。

だけど、決して居心地は悪くはなかった。
いいヒッチハイクだった。



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15時過ぎにシャンウルファの街に到着した。

僕はマップアプリを頼りに街を歩いた。

ゲストハウスのマークが出ていたので尋ねてみると
一晩160リラ(7602yen)。
どうやらここでも野宿になりそうだ。

この街にも城壁が見えた。これがこの街の見所なのかな?

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フル装備のまま僕は街を探索する。

下心むき出しで大きなショッピングの入り口でギターを構えた。
すぐにやってくるセキュリティ。そんなうまくはいかないか。

ショッピングモールは新しくできたばかりのようで、
マップアプリには表示されなかった。

入り口では荷物検査をする場所があり、フリーのWi-Fiも飛んでいる。

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ふむふむ。なるほど。

ここには予言者アブラハムにまつわる
ウルファ城ってのがあって、
そこの池「バルックル・ギョル」ってのが見所みたいだ。

ショッピングモールからたかだか500メートル距離が
バックパックを背負うととても長く感じられた。

すぐには入らず、近くのフードコートで一休み。
椅子に座ったまま少し寝た。

それに宿が高し!
160リラとか僕にはとてもじゃないけど払えない。
やっぱり僕はキャンプだね。

こんな感じでね笑。

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しばらく休んで聖なる池と呼ばれるバルックル・ギョルへ。
今日が土曜日ということもあり、多くの人でにぎわっている。

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やー、やるっきゃないでしょ!と再びギターを構えたが、
ここでも20分もしないで、セキュリティに止められてしまった。

あ~、オン・ステージ、掴みもばっちし、
僕の独壇場だったのになぁ…。

近くのバザールを見物し、
ローカルなおっちゃんたちに囲まれてギターを弾いたり、
僕は楽しいひと時を過ごした。
まぁ寝床も見つかるだろう。

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あ〜、今日も色々あったなぁ。

歯を磨き、トイレで用を足した時に、
違和感があった。

『あれ?おしっこが
コーラ色だ…』

う~んと今日めちゃくちゃジュース飲んだよね~。

うん。きっとおしっこが着色されてしまったんだよ…

「って…、これ」

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ヘモグロビンですやん!

KE TSU NYO U !!!

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体から力が抜けて行くのが分かる。

え?おれ?何かの病気なの?

原因はたぶん、重たい荷物を背負って歩きまくったからだろう。
ベルト部分に圧迫されたとかそんなんだ。

実を言うと僕は高校生の時にも血尿を出した時がある。
ハードだったハンドボール時代にふと、おしっこが褐色色になった。

あのときはITスキャンまでして検査したけど、
次の日には治っていた。たぶんあの時と同じだ。


体が発する「今日はヘトヘト」サイン。

バックパックを背負って動き回るきにはなれなかった。

飲み過ぎたのでまたおしっこに行きたくなる。
今度のはさっきよりも色の濃いヤツだった。
やべ~~~…

周りから見えない死角のポイントがある
石の階段を今日の寝る場所にした。
力なく寝袋の中に入る。

だ、大丈夫だ。原因はわかってるし、
なにもこれで死ぬわけじゃない。

3日くらい様子みて、ヤバかったら、病院に行こう。
そのために保険に入ってるわけだし。

だけど、不安は消えなかった。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。