「坂道を登るたびにチャイがもらえる in トルコ」
世界一周343日目(6/7)
雨がブルーシート
を打つ音で僕は撤収を余儀無くされた。
トラブゾンの海沿いでキャンプして、
ここが眠ることのできる場所なのだと思えたのが
深夜3時とかそんなの。
そしてあっという間に朝がやって来た。
4時半には水平線が明るくなりはじめ、
朝焼けが水平線を美しく染め上げた。
僕は腕時計を確認して再び眠りについたのだ。
って、雨…。
グルジア、ウシュグリでの
キャンプの悪夢が蘇る。
気色予報士でも無い限り、
空模様で雨が続くのか、
単なる通り雨なのか判断するのは難しい。
前回もそうだったんだ。
『どうせすぐ止むっしょ~♪』
とお気楽に構えてたら
雨に濡れたドブネズミのような
姿になってしまったのだ。
起きてすぐの冴えない頭で寝袋を収納し、
木とバックパックに結びつけたビニールひもをほどいて
コンパクトにまとめた。
最近、ブルーシート大活躍だなと思いながら、
6等分くらいのコンパクトなサイズに折りたたんで
ビニール袋に入れた。
それらをバックパックにぶち込んで、
さて、どうしよう?
キャンプ生活になると、一日中外にいるわけだから、
時間が1.5倍くらいに増えた感覚になる。
寝るのも辺りが静まった遅い時間だし、
人が多くなる時間までには撤収を
終えてしまわなければならない。
patagoniaのアウターを羽織って、
僕は街の中心へと向かった。
どうやらここには朝マックはないらしい。
真向かいにあるキング・バーガーの中に店員の姿が見えた。
自動ドア越しに開店時間を訊くと10時オープンらしい。
てか、トイレ行きたいんだよ…
これも外にいると困ることの一つだ。
海沿いには1リラの有料のトイレがあるんだけど、
ほら?だいたい外のトイレって汚いじゃん?
近くに見つけたのは
色んなテナントが入った建物だった。
そこにあったトイレはまだ集金係が
待機していなかったので、
僕はうんうんをかますどころが、
ばっちし洗面台で洗髪も決めた。
人がいないことの素晴らしさよ!
am10:00から
お店がオープンするのはトルコも同じらしい。
早く起きて活動するのはいいんだけど、
カフェとかに入れないと
マジで手持ち無沙汰になってしまう。
観光みたいなのもしておこうかな?
昨日会ったイスラム・ガールズが
モスクが近くにあると言っていたので
僕はマップアプリを頼りにそこに行ってみることにした。
もちろんフル装備だ。
寺院やら教会やら宗教が絡んだ
建物って坂の上にあることが多い。
そしてバックパックを
背負ったままの移動のなかで
階段と坂道が一番キツい。
はぁはぁ喘ぎながら
僕は一歩づつ坂道を登っていた。
途中の売店でリンゴを買い、
近くの水飲み場でそれを洗ってかじりついていると
向かいのカフェからおじちゃんが
僕に手招きしているのが分かった。
「チャイ!チャイ!」と言っているから、
まぁ、こっちきて一杯飲んできなさんなということだろう。
話には聞いてたけど、
こんな感じで向こうからフレンドリーに
接してきてくれるのはなんだかすげぇ嬉しいもんだ。
「チャイ(CAY)」聞いて
まず思い浮かぶのはインドのチャイだ。
だが、こっちのチャイはストレート。
イランと一緒で角砂糖が一緒になって出てくる。
角砂糖をかじりながら、
どこから来たんだ?(日本です!)とか
トラブゾンはどうだ?(最高です!)とか
のほほんとした会話をおじちゃんとした。
この子はトルコ在住のドイツ人大学生。
10分くらいお喋りして、
さぁ、モスクを見に行こうかと
坂道を登り始めたときだった。
また同じように僕を手招くおじちゃんたち。
本日二杯目のチャイをごちそうになった。
(そしてこの後にもまたお呼ばれがあった。
さすがに3杯目は断った笑)
この坂道は
「チャイ・ロード」
とでも言っていいんじゃないか⁈
そして、外国人にここまで
フレンドリーなのはどーしてなんだろう?
チャイ一杯で距離がぐっと縮まるのを感じる。
トルコ語の「ありがとう」は
「トゥシュクアデレム」って随分言いにくいんだけど、
こらから沢山使う気がするよ。
肝心のモスクは入れなかった。
後で聞いたらそんなことはないよと
言っていたけど、僕としてはチャイ・ロードで
おじちゃんたちと楽しく紅茶を飲めただけで満足だ。
坂の上から見下ろすトラブゾンの街が綺麗だ。
トルコ。旅に出る前から来たかった国。
坂の上で風に吹かれるとひんやり涼しかった。
あぁ、僕は日本を離れてこんな遠くまで来たんだなと
街を見下ろしながらそう思った。
海沿いの街ってなんか好きだ♪
そしてカフェに
行ってしまうのが
悲しきブロガーの性というものだろうか?
下書きした日記をアップしたり、また新しい日記を書いたり。
「そんな毎日書かなくてもいいんじゃないか?」と思う。
でも、書かないとその一日が
自分の記憶の隅っこに行ってしまう気もしなくもない。
僕は毎日旅をしている。
日本で温め続けた夢を叶えている最中。
とても贅沢な時間を過ごしていると思っている。
作業場に選んだのはオシャレなカフェだった。
Wi-Fiもばっちり飛んでいるし、
コンセントにありつくこともできた。
お店のオーナーはイギリスに住んでいたそうで、
内装はどこかパブのようだった。
もちろんコーヒーもそれなりの値段がしたけど、
この居心地の良さを考えたら納得の値段だ。
長居していたのにもかかわらず
(それでいて支払いの時に1リラ以下の
小銭で支払ったのにもかかわらず)、
お店のスタッフはとてもフレンドリーだった。
明日も来よう!
そして後半戦が始まった。
トラブゾンでのバスキングだ。
警察もそこまで厳しくないことが分かった。
昨日会ったトルっ子(トルコの若い子たち)曰く、
時々路上演奏してるヤツもいるとのことだった。
今日は土曜日!どんだけいけるんだ⁈
4回ほど場所を代えてトラブゾンの中心地で歌いまくる。
やっぱりトルコのみんなは
すげぇレスポンスをくれる。
中には悪ノリするヤツがいて
演奏どころじゃなくなる場合もあるんだけど、
まぁ、それで周りの人たちが
笑ってくれるんだったら僕はピエロでいいさ。
楽しいのが一番さね!
不安要因の警察はというと、
人垣が出来すぎてストップをかけられるとか
その程度のものだった。
今まで物価の低い高い関係なしに
訪れた国の全ての路上で歌ってきた。
11ヶ月あちこちで歌ってきてパフォーマンスもようやくサマになってきたのかもしれない。
22:00に切り上げて、
今日はキングバーガーに行くことにした。
お疲れの意味も込めて
8.5リラのセットメニューを注文する。
三階に上がって人目につかない隅っこにの席に着く。
スプライトが疲れた喉に染み渡った。
バーガーとポテトを食べ終わると、
僕は稼いだコインを積み上げていった。
叩き出した数字は見たこともない数字だった。
この旅始まって以来の数字。
自分でも現実味が湧かないくらい。
それをコインの種類ごとにケースに分けると、
僕はWi-Fiのないキングバーガーで
パソコンのキーボードを叩いた。
人がいないこの時間はたいへんありがたかった。
『もし、清掃のスタッフが入ってきたら
めちゃくちゃ気まずいな…』
と思いながら大急ぎで髪の毛を洗った。
さて、今日も海沿いで寝るとしよう。
今日の設営場所は昨日の場所からもう少し離れた茂み。
いい具合に目隠しができている。
ただ、茂みの向こうに路上駐車した車があり、
そこで男たちの声が聞こえてきた。
明日は日曜だし、飲んでるんだろう?
茂みち立ちションしに来たらどう切り出そうか?
こっちに気づかなければいいけど…
すぐには眠りにつかずに、じっと様子を伺う。
お互いの様子は見えない。
深夜一時を過ぎた頃には、
男たちは車に乗って去って行った。
月明かりは自然のライト。
僕は何にも怯えることなく眠りについた。
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。