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「アジアサイドからヨーロッパサイドへ in トルコ」

世界一周373日目(7/6)

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みんなで朝食をとったあと、
僕とサジュークはお父さんの車で
近くのバスターミナルまで送り届けてもらい、
そこからバスに乗った。

行き先はイスタンブールの中心地。

国内外から観光客が集まる
トルコで一番大きな都市だ。

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サジュークは人がどんどん増えるに従って顔をしかめた。

もともと彼はイスタンブールに住んでいたのだ。
都会の生活に嫌気が差してイズミルに引っ越した。
イズミル自体もまぁ、十分大きな街だと思うけど。

「ここでバスに乗っている人たちは羊さ。
みんな自分がどこへ行くかなんて分かっていないのさ」
と、ちょっと比喩めいた言葉をサジュークは口にした。

もちろん僕たちと
一緒のバスに乗っている人たちには
それぞれ自分たちの目的地がある。

彼が言っているのは「都会で生きる」
ということなのだろう。

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クルド人にゆかりのある自分の故郷へ戻り
自然に寄り添った村の生活を送りたいというサジューク。

毎日毎日単調な生活サイクルの中で生きる。
ここに住む彼らに明確な生きる目的はあるのか?
たぶんそういうことだと思う。




「さぁ、ボスポラス海峡を渡れば
アジア・サイドからヨーロッパ・サイドだ」

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トルコはアジアとヨーロッパの中間地点。

ボスポラス海峡を挟んでそのような
区分分けみたいなのがされているらしい。

僕たちはバスを降り、連絡船へと乗り込んだ。

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船に乗るとワクワクする。

そんなに乗る機会がないからだろう。

カモメが気持ちよさそうに空を飛んでいる。

空は快晴。遊覧船が見えた。

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連絡船のデッキの上でアコーディオン弾きのおっちゃんが
ふいっとやって来て、お金が稼げないと分かると
またすぐに別の場所に移動していった。

連絡船を降りてすぐ左にガラタ橋が見えた。

あぁ、あれが有名な…

とガラタ橋を横目にそのままトラムに乗って
カラキョイからベヨギュル駅まで向かう。

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ここにサジュークの元カノが
僕たちのことを待っていてくれているというのだ。

元カノ…。

えっ…??
ちょっと気まずくないかい?

だって「元」ってことは、
今は付き合ってないってことなんでしょ?

しかも元カノさんとは初対面。
お、おれどんな顔して会えばいいんだ???



元カノの姿を発見して
サジュークは軽く手を振った。

「美人だろ?」

「…(やるじゃねえか)」

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彼女も音楽をやっているらしく、
サックスを吹くらしい。

軽く自己紹介して思ったのは、
彼らが恋人たちのようにフレンドリーだということだ。

トルコで親しい友達と挨拶をする際に
交互にお互いのこめかみ同士をくっつけて
キス(のように唇を鳴らす)するのが普通だ。

サジュークは友達と会う度に
そんな風にして挨拶を交わし合った。

初対面の人でもそんな風にして挨拶する場合がある。

トルコに住む人たちがいかに
フレンドリーなのかは分かるが、

サジュークと彼女を見ていると
久しぶりの再会を味わう
カップルのような印象を受けたのだ。

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元カノの名前はペリンと言った。

ペリンの知り合いのカフェに
荷物を置かせてもらいに行く。


ここは「イスティカル通り」
という名前の通りらしい。

スターバックスやトルコのチェーン店などの
飲食店や高そうなアパレル店が列をなし、
その間をトラムが走る。

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そしてバスカーの姿を目にすることができた。

サックスとギターのセッションが唐突に始まる。

バスカーをしている人間を見ると
コミュニケーションをとるサジューク。
こういうフレンドリーさで
友達がどんどん増えていくんだろうな。



ペリンの知り合いのカフェは
イスティカル通りの路地裏にあった。

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ブックカフェとでも言うのだろうか?

本棚の前にあるソファでペリンの友達たちがくつろいでいる。

カフェのスタッフは素敵なトルコ髭を
たくわえたおっちゃん。

ひとこと言うたびに僕にウィンクしてくる。

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や、僕はそういう趣味はないんだからな!

くっそ!トルコに来てからこればっかだよ!
最近髭剃ってないんだけどなぁ…。

まぁ、そういう被害妄想は置いておいて、
僕は一旦サジュークと別れた。

最近Wi-Fiにありつけていない。
僕のブログなんざぁどうでもいいのだが、
今回は「ある人」と会う約束をしているのだ。

サジュークもバイクの免許取得のために
テストを受けにいった。



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話は遡ること、2013年の11月3日。
タイのパーイでアホみたいに唄っていた時の話だ。

そこでたまたまお会いした
ワールドカップに向けて世界一周中のコモン夫妻。

Facebook上で僕がイスタンブールに行くと話したら、
「その人」を紹介してくれたのだ。

イスタンブールにお住まいで、
かなり面白い素敵な人だから
是非会ってみてはどうだろうか?と


最初はどうしようか迷った。

だって僕の旅はとてもマイペースだし、
夜型マイペースのサジュークと一緒に行動してると
会うのはちょっとめんどくさい。

が、これは何かの
チャンスなのでは
ないだろうか?


僕はすぐにFacebookのメッセージを送った。

イズミルで会っていただく約束は取り付けたが、
連絡ができていない。
イスタンブールに来たことを伝えて
日程調整をしなくちゃ!

「それでは明日」ってな具合で
そんなすぐには会えないだろう。


Wi-Fiが使える知り合いのカフェで
僕はiPhoneでその人にメッセージを送った。

出て来た大きなコーヒーに感動した。
そして、わざわざペリンが
僕につき合ってくれたのはありがたかった。

しかもお代も持ってもらうって、うう…。
あざっす!!!

長い時間僕につき合わせるのも悪いと思ったので、
さささーっと連絡を取ったり、
調べものしてカフェをあとにした。





ペリンに連れられて向かったのは
屋上にあるバーだった。


屋上からはイスタンブールの街並が断片的に見えた。

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時々カモメが上空を飛んでいるのが見えた。

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日の当たる席で深くソファに沈み込む。

バーのすぐ隣りはダンスフロアーになっており、
ジャズっぽい音楽に会わせて
数人がレッスンをしている。

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カウンターのお姉さんが女優のような美しさだった。

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果たして僕が一人でここに来たとしたら、
この場所に来ることができただろうか?

そう考える。

一瞬一瞬の出会いに感謝したい。

そしてその出会いが
僕をここに運んで来てくれたことにも。

「ティシュケレデレム」と言うと、
ペリンはニッコリ笑った。

日の沈むまでそのカフェで時間を過した。

ギターを持って来ていたので、
すぐに周りの人たちとコミュニケーションが
取れるのもありがたい♪

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「さぁ行きましょ」

とペリンと再び最初に行ったブックカフェへと戻る。

さっきのはなんだったんだ?

一日で3つもカフェを梯子するなんて。
僕としては嬉しいけどね。

相変わらずにウィンクをかましてくる
カフェのおっちゃんに笑いながらサジュークを待った。

ニコニコして戻って来たサジューク。

どうやらテストに受かったようだ。


僕たち三人は街をぶらついた。

街には沢山の彼の知り合いがいた。

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昨日会ったサジュークのいとこたち。
そして沢山のバスカー仲間たち。
路上にでればあちこちにサジュークの友達がいた。

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夜の街をのんびり歩く。

いつまでもにぎやかなイスティカル通りだ♪

あてもなくぶらぶら通りを歩き回ると
さきほどの屋上にあるバーで時間をつぶした。

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時刻は24時。
相変わらずサジュークとペリンはいちゃいちゃしている。

Wi-Fiのパスコードが分からなかったので、
僕はただただまったりしていた。

ソファに寝っころがって夜空を見上げる。

オープンテラスのバーの屋根の向こうに小さな星が見えた。



今日の寝床はバーのマスター、ビギンの家。

サジュークとは出身地が一緒らしい。

二人を見ていると、彼らが
初対面のようには見えなかった。

それくらいフレンドリーなんだ。

僕たちをアパートの時分音部屋に案内したあと、
ビギンのおっちゃんはまた仕事へと戻っていった。

ペリンも今日はここに泊まるらしい。
ソファの上で楽しそうにお喋りする二人。

深夜2時をまわり、僕は空気を読んで
二人におやすみを言ってベッドに横になった。

今日もいろいろあったな。
やっとイスタンブールに来たんだ。

ヨーロッパはもう目前だ。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。