見出し画像

「タイでまさかの野宿をした日」

世界一周102日目(10/8)

タイの移動は列車の方が安上がりだという分かった。大体のところなら線路が通っているし、一日に何本か出ているので、自分の好きな時間帯に出発することができる。

画像1

7:10にコラートのFahsarn hotelをチェックアウトした僕は8:30の列車のチケットを38バーツ(114yen)で購入した。

列車を待つまでの間に熟れていないマンゴーを買ってみることにした。全然甘くないのだが、さっぱりとして歯ごたえがある。一房(20バーツ)買うと黒砂糖のようなものがついてくる。『そうだよな。全然甘くないもんな。これで砂糖まぶしたらけっこう美味しいかもな』と全部ふりかけてみたら塩だったっていう...(めちゃくちゃしょっぱかった...)

もしかしてあれか!?「スイカに塩ふると甘く感じる」っていうあれなのか!全部まぶしたらしょっぱくて甘いどころじゃなかったけどな。

画像3

そんなこんなで次にやってきた街はKhon Kaen(コーンケン)というところ。マップアップリを見るかぎり割と大きな街のようだ。きっと安宿もあるだろう。


駅に到着するとまずは近くのコーヒー屋さんでアイスコーヒーを買った。日の照った12時。木陰で飲むアイスコーヒーが美味しい。僕はゆったりした気持ちでギターを取り出し、うるさくない程度に歌った。コーヒーを買いに来た他のお客さんは僕のことを見て親指を立てて行く。

そろそろ行こうかとギターをケースにしまうとおばちゃんが「おかわりいる?」と訊いてきた。「歌を聴かせてもらったからプレゼントよ♪」ということだそうだ。オイオイ。この街が好きになっちゃいそうだよ。

画像2


しばらく歩くと楽器屋さんを見つけた。

画像11

外から中の様子がうかがえる。その楽器の多さからこのお店がけっこうしっかりしたお店だと言う事が分かった。

僕は中に入って行きいつものように買う気もないのにギターを試奏して冷やかした後、「ハーモニカある?」と訊いてみた。ベトナムのフエで友達のプレゼントしてもらった大事なハーモニカを失くしてしまったので、新しいやつが欲しかった。ギターもいいけど、さっと取り出して吹ける気軽さが好きなんだよね。

「『C』か『G』のハーモニカが欲しいんだけどー」と伝えるのだが、店員さんは英語を全然理解しないどころかガムをくちゃくちゃしながらやる気のなさ全開で接客してくる。

画像5

「これは?安いよ...これは?」
彼女はポイポイハーモニカを出してくる。
「いや!だから何回も言ってるじゃん!『C』か『G』だって!」
単語の羅列、片言に近い英語で喋っているのに伝わらないのだ。
最近良く思う。はタイの女性って人の話聞かないってこと笑。

画像5

お店にはかなりの数のハーモニカがあった。そして、いくらタイだからと言ってもしっかりとした作りのやつは値段が日本のものと変わらない。3ドルくらいのものもあるのだが、失くした「マリーンバンド」というハーモニカに比べたら全然音が違うのだ。下手なくせに今まで良いもの使っちゃったもんだからそのクオリティの差 が妙に気になってしまう僕が買ったのは780バーツの「BIG RIVER HARP」というハーモニカ。コードはGだ。

画像6

ハーモニカを拭く布が入っていなかったので「高い買い物したんだからサービスしてよ?」とおねだり攻撃を試みたが、やる気のない店員さんたちには一ミリも功を制さなかった...。まぁ、いいさ♪ハーモニカを手に入れたんだ。

いい気分になって僕は安宿を探し始めた。


画像13

コンケンの街は広く、道路も格子状に整備されケンタッキーなどのチェーン店も見ることができる。マップアプリで宿情報を確認する限り、ゲストハウスが6個くらいあった。

アプリはあくまでも目安だ。全てを網羅しているわけではない。その街の主要な宿を教えてくれるくらいに思っている。検索結果に加え、ひとつかふたつ安宿がある感じだ。

とりあえず、マップに出て来ているゲストハウスを探し出し、値段を訊いてみると300バーツ。900円だった。バンコクやその他の街で200バーツ以下の宿に泊まってきた僕にとっては払う気になれない値段だ。ベッドとトイレと欲を言えばWi-Fiが飛んでれば宿はどんなとこだっていいのだ。わざわざ高いお金を出してたかだか1〜2日に高いお金を払いたくはない。

画像12

僕は安宿を探して重たいバックパックを背負ったままコンケンの街を歩きだした。だが、どこの宿も値段が高い。あっても200バーツ。

『今日は一日宿探しで終わっちゃうな...』と僕は思った。
そんな日があってもいいか。宿を見つけてゆっくりしよう。

画像8


線路を挟んで分けられたコンケンの街の半分は調べ終えた。

僕は線路脇にあるセブンイレブンでカップヌードルとクッキーを食べて英気を養ったあと、再びバックパックを背負って最後の可能性に望みをかけた。アプリによると4つほどゲストハウスがあるらしい。駅から離れていることだし、きっと安いだろう。西日がジリジリと照らす中僕はiPhoneを片手に徐々に目的地への距離を詰めて行った。

ようやく辿り着いた宿はゲストハウスとは名ばかりの高い料金設定だった。中にはプールつきのものや快適なマンションのような一室を用意したものもあり、大体が400バーツ。一泊1200円。高すぎる…。

いや、そりゃ日本とかに比べたら十分安いと思いますよ!だけど、タイ全体で見たら絶対高いし値段も2倍近い金額だ。中国やベトナムですらここまで高くはなかった。

僕にひとつの考えが浮かんだ。



「野宿...、野宿しかねえ!」



ここへ来る途中に大学や小学校を見た。

キャンパスの芝生の上にブルーシート(ホームレスがよく使ってるヤツ)を敷いて寝袋にくるまれば快適なんじゃないか!?こんな時のために日本で作っておいた国際学生証(期限切れ)。それさえあればきっと野宿くらいならー…!

ひとまず僕は許可を取ろうと小学校にあたってみることにした。敷地内に人影をみたので事務室を尋ねてみたが、そこにはが人いなかった。僕は校内のトイレで歯磨きをし、誰かが帰って来るのを待った。

設備のいい学校なのかパスワードのかかっていないWi-Fiが飛んでいる。僕は校庭の遊具スペースにあるバンガローのような場所に荷物を置いてパソコンを開きキーボードを叩いてしばらく日記を書いていた。

7時を過ぎても事務室には人の戻る気配がなかった。バイクが何台か敷地内を走って行く。仏壇に誰かがお線香をあげに行く。国旗を降ろす人がいる。

誰にも僕を気にかけていない。まるで透明人間にでもなってしまった気分だ。
ど、どういうことだ!?ついに僕も「絶」(『HUNTER×HUNTER』いいよね!)が使えるようになったのか!?話かけやすいようにサーフミュージックを流し、怒られてしまったら素直に退こうとまで考えていたのに...。

気にしていてもしかたがない。門番がいるくらいだ。襲われることはないだろう。

画像9



すぐに眠りにつくことはできなかった。ハンパなく蚊がいるのだ。

「ふえぇえぇぇええ〜〜〜ん...」
「かっ!カッ!蚊!蚊ぁああっ!!!」てめぇ!コラ!このくそったらぁ!かゆくて眠れないんじゃぁああ!!!

たまりかねた僕はパタゴニアのアウターをフードまでをかぶりヘアバンドを口元にかけ、蚊からの攻撃を防ごうとしたが、KEENのサンダルの隙間から絶妙に刺すヤツや、鼻の頭をさして来るヤツ、メガネ越しに目の前を3匹くらいふよふよ飛んでいるヤツ。誰か僕に虫除けスプレーを売ってくれ!

世界一周初めての野宿は蚊との戦いだった。

画像10



現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。