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「首都アンカラ in トルコ」

世界一周363日目(6/26)

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目覚めたのはレストランの二階。

テーブルに目隠しされて
いい感じのスペースになっている。

スタッフたちが「そろそろ片付けてね」と言ってきたので、
ささっと寝袋をたたんだ。

ここはトルコにある塩湖、トゥズ・ギョルの脇にある
バスターミナルのレストラン(2F)。

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「マイフレンド!今日はどこに行くんだい?」

昨日僕に寝床を用意してくれた大柄のスタッフが尋ねた。

「ヒッチハイクでアンカラに行くよ」と僕が答えると
「ワンミニット!ちょっと待っててくれ」
そう言って大柄のスタッフは
僕をアンカラまでのバスに乗せてくれた。

いいよ。大丈夫さ。ここまでだって
ヒッチハイクできたんだから。と言っても
「ノープロブレム」と優しく手で制して、
僕にお金を払わせようとしなかった。


一体トルコのみんなの優しは
どこから来るんだろう?

そして僕はその優しさに
どうレスポンスすりゃあいいんだろう?

「ありがとう」と深々と頭を下げて
感謝の気持ちを表すことくらいしかできなかった。

「ほら!バスが来たよ!」と他のスタッフに案内されて
僕はトルコの首都、アンカラ行きのバスに乗り込んだ。




約2時間の軽快なドライブ。
バスは滑るようにハイウェイを走った。

バスの中ではトルコの映画を観ることができた。

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フランス映画の「アメリ」みたいな
レトロな雰囲気が出るようなエフェクトがかかっている。

映像も見ていて面白かった。

字幕もなにもなしだったので
細部の内容は分からなかったが、


・小説家の男が、バーで
自由奔放な若い女と出会い、恋に落ちる。

・幸せな二人の暮らしが続いたが、
あることがきっかけで、
彼女はこつ然と姿を消してしまう。

・男は悲しみに暮れ、
そこからベストセラーを書き上げる。

・そしてある日彼女が病気で入院していることを知る。

・彼女は末期的な病気で弱り切っていた(たぶんエイズ)。

・小説家の男は彼女を失った悲しみに暮れる。

それでおしまい。


トルコにもハッピーエンドじゃない映画が
あるんだなぁと思った。
なんだか村上春樹みたいな主人公だった。

バーでトルコの白いお酒を飲みながら、
黙って音楽に耳を澄ませるみたいな。
パーマのかかったおっちゃん。

反対に彼女の方は明るくさサバサバした感じ。
「ノルウェイの森」の緑を連想させた。




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アンカラのバスターミナルはデカかった。

フリーのWi-Fiがあったので、とりあえず繋ぐ。


さてとー…
どうしたものか。

そもそもアンカラに来るつもりはなかった。

トゥズ・ギョルが思っていたよりも
アンカラに近かったので、
「どれ寄ってみようか」と進路を変更したのだ。
寄り道みたいなものだ。

ウィキトラベルにも
「そんな見所はありませんよ」と書いてあったしね。

それにイスタンブールより規模は小さいと言えども
首都でしょ?
むっふっふっふ…
もしかしたら稼げるんじゃねえ~~~???
という下心がないわけでもない。


メトロの往復切符を買って、街の中心部を目指す。

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首都というだけあってアンカラの街の作りは
しっかりしていた。

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近くのバーガーやで朝食を食べた後、
適当な路地を見つけ静かに唄ってみた。

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0.5リラ以下の小銭が多かったが、
ボチボチとレスポンスが入った。


公園ではバザールがやっていた。

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おっちゃんは実演販売の鏡だと思った。

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公園はワクワクするくらいに人が行き来していた。

ここでギターを構えたが、
暑い日差しのせいもあって、撃沈。

2曲でやめた。

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僕のすっからかんのコインケースを象徴している。
きっとこのオブジェがいけなかったんだろう!

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そう言えばさっき聴いてくれていたお兄さんが、
「ここで唄うといいよ」とでも言うように
地名の書かれた紙をくれたな。

マップアプリで探し出し、そこに向かってみる。

いくら雑貨を日本に送ったと言えども、
長い距離を歩くのはやっぱり疲れる。


辿るついた場所は閑静な住宅街だった。

な、なんだよ…。

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近くのスーパーでジュースを買って水分を摂取する。

街としてはデカい。
かと言って世界遺産みたいな見所みたいなものはないが
ここに住むことで都会の生活を楽しむことができるだろう。

アンカラを楽しむには街を楽しむ心が必要だな。
東京に観光に来る外国人のように。

トボトボ街の中心地へと引き返した。



僕は歩行者で溢れ返る穴場スポットを発見した。

『しゃ~~~!!!やったんよ~!』

と最近作った曲でノると、レスポンスが入る!

まちがいない!ここはいける!

「は~い。ここでやらないでね~!」

ソッコーで私服警備員登場。

腰につけたシーバーでやり取りしている。

いやぁ~、みなさんいいお仕事されてますよ!
路上で変なことする僕みたいなヤツが
付け入る隙が微塵もねぇええぇぇええ!!!

はいっ!次!


だが、中心地のどこでやっても結果は同じだった。

セキュリティがどこからともなく登場して、
「はいはい。ダメだよ~」とストップをかける。

「あはははぁ。そっすよねぇ♪あはっ…」
とこちらもすぐにギターをしまい、
バックパックを背負い上げる。この間60秒。

ぬぐぅ…。良い場所ってないんすかね?


歩道橋の上にバスカーを見つけた。

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あ~、なんか同業他者を見つけるとどこか安心するよ。

僕も真似て他の歩道橋でチャレンジしてみる。


アンカラはトルコの中では反応が冷たいように感じた。

僕の目の前を多くの人が通り過ぎていったが、
そこまでレスポンスは得られなかった。

まぁ、そんななもんだ。
ストップがかからなかっただけよしとしよう。

路上で唄っていて面白いのは
それなりの出会いを得ることができるということだ。

そりゃお金が入るのは嬉しい。

だけど、それ以上の物に巡り会うことができる。



「あの~、日本人ですよね?」

オドオドした様子で日本語で話しかけてくれたのは
高校生のオグドゥルくん。18歳。

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アンカラにある文化センターで
日本語を学んだことがあったそうだ。

時々日本語がおかしくなって
何を言っているのか分からない時があったが、
英語は僕の数倍上。


「18歳、ってことは来年大学生?」

「もう一年高校、あります」


あとから聞いた話だが、
トルコの高校は4年制になる学校も増えて来たそうだ。
最後の一年は全て英語学習にあてるらしい。

英語教育に力がそそがれてるわけだ。

日本もそうなんないかな~?
だって18歳の男の子が僕より
ペラペラなんだぜ?すげーよ。


「僕がコード教えたら弾けますか?僕が唄いますから」

そう言われ、紙に書き出されたコードを僕が弾く。
僕と一緒にセッションしたいそうだ。

「何の曲?」

「日本のアニメの歌ですね」

声が小さいので歌詞はよく分からなかったが
けっこうなアップテンポだった。

そんな僕たちに1リラコインが一枚入った。
ほのぼのする。

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もちろんこういうほのぼのした出会いだけじゃない。

ポンキッキーズに出て来る「Pちゃん」みたいに
「ププ〜プ〜ププ〜」っと
わけわかんない絡みをしてくる
頭の禿げたおっちゃんがいた。
トルコ語ですらない。

僕がバスキングの時にギターケースに入れている
デッドベアのレックスくんに興味を示し、
危うくレックスくんが誘拐されかけた。

手の中でおっちゃんから撫でられる
レックスくん。

返してよと言っても、僕の手をふいっとよける。

「ポリス呼びますよ?」
とこっちも不審者なのに、
その言葉は一瞬の隙を生んだ。

サっとプ〜ちゃん(おっちゃんのあだ名だ!)から
レックスくんを奪還し、ことなきを得た。

近くの露店でタバコやらティッシュなどの雑貨を売る
おっちゃんが「うちのが迷惑をかけたね〜」と言って
プ〜ちゃんを連れて行った。

なんだったんだ???

その後も、プ〜ちゃんが
トルコでよく見る「TURKCELL」の
角の生えた帽子を僕にかぶせようとする絡みがあった。

「あはは〜…」と苦笑いすることしかできない僕。

もうっ!
なんなんだよ!
ところどころにあざとさが目立つ演技だった。



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日が沈むとアンカラの通りは
カフェ・バーがにぎやかになった。

日本で言う居酒屋みたいなもんなのかな?

そしてアンカラは渋谷や原宿みたいなものなんだろう。
あてはめるならね。


今日の寝床は長距離バスータミナル。

帰りのメトロでストリートチルドレンと一緒になった。

きっと彼らもバスターミナルに帰るのだろう。
バスターミナルを寝床にしている人は僕だけじゃないのだ。


トイレの洗面台で髪を洗うのにも慣れた。

日記も書く気がしなかったので、
22時過ぎには靴を脱いでベンチに横になった。


まわりのベンチにも似た様に横になる人の姿が見れた。

バスターミナルはずっと電気がついている。
長距離バスはひっきりなしにやってくる。
Wi-Fiは繋がらないことが多い。

そんな中で僕は最近全然被らなくなった
ヘンプのニット帽をアイマスク代わりにして目を閉じた。

明日はここを出よう。


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。