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「ホームシックになるのはまだ早い」
世界一周190日目(1/4)
朝5時45分に鳴るアラーム。
テイラー・スイフトが「一日が始まるわよ!」と唄ってくれている。
いつもだったらスヌーズを連発して二度寝するパターン。でもあの朝日を思い出したら自然と上体を起こせていた。
ここはインド最南端の
風が気持ちいい小さな町。カーニャクマリ。
着替えてサブバッグと一眼を持ってサンライズ・ポイントまで歩く。
『ちょっと今日は近道』と路地に入っていたら、昨日とは全然違う場所に出てしまった。
いくつかの漁船と海の上に突き出た岬。
旅漫画の「ディープなアジアの歩き方」にね、主人公をフった女のコで美咲ちゃんってのがいるんだよ(女にフラれて主人公の杉田くんは旅に出るんだけどね)。
他にも「海咲」っていう女のコの名前があるよね。この名前はさ、「海(ミ)に咲く花」「美(ミ)しい花」って意味の他に音声で「岬(ミサキ)」を表しているのかな?だとしたらトリプル・ミーミングじゃね!!?名付けた親御さんセンス良い!
岬に何か思い入れがあったのならなおさらだ。
なんて岬を海に向かって進みながらそんなことを考えた。
岬を進むと朝日に近づいているみたいでワクワクする。海風が強くなる。眠気もどこかへ行ってしまった。
ほどよい場所で腰を下ろしチャイをすすりながらタバコを一本吹かす。海を汚さない様にチャイのカップに灰を落として持って来たビニール袋にごみを入れた。
何度も何度も絶え間なく打ち寄せる力強い波を見ていると海の持つ生命力みたいな物を感じる。生命はここから始まったんだよなぁ…。
今日も一日が始まる。ハローサンシャイン。
そんな清々しい一日も部屋のテレビが置いてあるテーブルとその脇に備え付けられて小さなテーブルを漫画が描ける様にカスタマイズして幕開けです。
自然光が頼りの旅をしながらの漫画製作。
上裸でいるのはすぐに外に逃げ出さないよう。
『あ~…外に気分転換しに行きてえ…。でも服着てねえや…』
最近「やる気」は出すもんじゃなくて、作るもんなんじゃないかと思う今日この頃です。15時まで漫画を描いた。
一旦漫画製作を切り上げて水族館へ向かった。
そうなのだ。この町には水族館があるのだ!
きっと暗い館内に照明が自由に泳ぐ魚たちをライトアップするんだろうな~。英単語の「aquarium(アクアリウム)」になぜかワクワクして水族館へ向かった。
「ん…?ここってー…水族館だよな…」
目の前には水族館というより魚屋さんと言った方がしっくりくるような建物。いっちょまえに「写真撮影禁止」と書かれている。20ルピーの入場料を支払い中へ。
近海で見れる魚たちやアルビノの魚なんかもいたりして、まぁ、ハードルが低かった分、見応えはあったかな?
って言ってもなー…、
お金払ってまでわざわざここに来ているのだけれど、魚たちが不憫だなと思わずにはいられなかった。各々の寿命が尽きるまでこの狭い水槽をぐるぐるぐるぐる泳いでいなくちゃいけないなんて。
魚にはね、5年以上生きる魚もいるんだよ。彼らの脳みそがちっちゃいことがせめてもの救いだよ。
「GANTZ」に人間が宇宙人に捕まって動物園の様なところにぶち込まれるシーンがあったけど、もしも人間が逆の立場だったら、やっぱり広い海で泳ぎたいんじゃねーかなぁ?そこが弱肉強食の宇宙みたいな広大な場所だったとしても。
だから、水槽の隅っこでじっとしている魚を見ると、『まぁそれもしょうがないかな?』と思った。
魚だっていつも元気に泳ぎ回っているわけではないのだ。
海沿いのベンチで昼寝した。
水族館に来る前食べた40ルピー(66yen)のカレーがボディーブローののようにおなかにずっしりと残っている。その前に遅めの昼飯にしようとしたポラッタがまさかの砂糖まみれで(あれもあれで美味しかったんだけど)、その前に5ルピーのバナナも喰ったな。気を抜くとすぐに食べてしまう!いかんぞ!
17時になると展望台に10ルピーを支払って登った。
日が沈むまではまだまだ時間がある。
遠くの方までずっと海は続いている。
このまま南に進んで行ったら南極かなぁ?
『僕は海を渡ってここまで来たんだったな』
鳥取の境港からロシアのウラジオストクまでフェリーで片道2万円ちょっと。
有効期限の切れた国際学生証の学割がなぜか効いたんだった笑。
ルフィだったらこの海を前にしてテンションMAXなんだろうな。きっと。そしてその冒険心を抱いて海に出て行ったんだろう。あの漫画を読んだとき(当時7歳)は衝撃だった。
『なっ、なんだ!!!この漫画は!!!』
毎週、地元の歯医者さんに新刊のジャンプが置いてあるんだけど、それがめっちゃ楽しみだった。
「海の向こう側には何があるんだろう?」
水平線の彼方を見つめながらその先にある世界に思いを馳せる。
まぁまだホームシックになるのには早いさ。
自然光の入らない部屋では漫画製作ができなかった。ライトの光を頼りに一時間描いてみたが線の強弱がイマイチ分からない。
部屋の電気をつけっぱなしにして仮眠から目覚めると時刻は「1:23」を示していた。
寝よ…。
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。