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「旅先で世界一周をした大学生に会う」

世界一周63日目(8/30)

「日本人の方ですよね?漫画描いてるから声かけずにはいられませんでしたよ!」

漫画をホステルで描いていると外国人には何度か声をかけられてきたが日本人に声をかけられたのは初めてかもしれない。髭のよく似合う長身のお兄さんが僕に声をかけてきた。その旅慣れた風貌から僕よりきっと年上に違いないと推測した。

一日違いでドミトリーにやって来たお兄さんは余分な荷物は一切なく、メインのバックパックにサブバッグの旅のスタイル。枕の脇には三島由紀夫の「金閣寺」。バックパックには誰もこじ開けられなさそうなゴツい錠がついていた。

昼頃、僕が町歩きから宿に戻ると扇風機だけつけたままにして欧米人たちは常にクーラーをつけている大きい体を窮屈そうに丸めて眠っていた。


「あ、どうもッス」
僕が一通り自己紹介を済ませるとお兄さんはこう言った。
「いやぁ、よく実年齢より上に見られるんですよ。僕、23っす。」

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なんと!

母親似の僕は実年齢より若く見られがちだが、世の中には年齢の先取り的な歳の取り方をするヤツがいる。

「さぶ」ちゃんもそのうちの一人だ。

話していくうちに分かったことは彼は去年大学を休学して世界一周を成し遂げたヤツであり、僕にとって貴重な旅の情報を腐るほど持っているということだった。そして僕と同じ大学だった。地球ってこんなに狭かったっけ?

『ホイアンでの滞在は2日では長かったかもしれないな』そう思っていた。だけど、なんだこの出会いは!

「出会い」に関して言うなら僕はめちゃくちゃ運が良い。今回も自分の未来に影響を与える出会いだった。

二人で話していると同じユースホテルに泊まっている日本人の女子大生、「ヒグチ」ちゃんも加わって、僕たちは一緒に晩ご飯を食べることになった。

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さぶちゃんのリサーチにより僕たちはホイアン名物ラオカイの美味い店に行くことにした。いつもは屋台のフォーばかりだけど、たまにはこういうのもいい。

食事の間はさぶちゃんが旅の話を僕たちに披露してくれた。

自分が今まさにやっている「世界一周」という旅を経験したさぶちゃんの話はどれもこれも面白いものばかりだった。年齢的には下だとしてもさぶちゃんは言ってみれば僕の旅の先輩。本来だったら知らなくちゃいけないことや、旅の小技などを僕たちに教えてくれる。

さぶちゃんの経験した旅の話は不思議とネタバラし的なものには思えなかった。むしろ、授業だった。全然聞こえなかった。お金があったら払ってもいい。でも、ボられて日が浅いから今回は勘弁して欲しい笑。

僕は思った。



「旅人たちはこのように出会い、
そしてお互いの情報を
アップデートしていくんだろう」
と。



1年間の休学期間の中で130万円で世界一周を成し遂げたさぶちゃん。

ネパールからインドへママチャリで旅した話や、アルメニアで美女に囲まれながら3回もビザの延長し1ヶ月も沈没した話。エチオピアから一日遅れで仲間を追いかけて運命的に再開し、彼らとの4ヶ月にも及ぶアフリカ縦断、そしてキリマンジャロ登頂のなど冒険の話の数々…。

さぶちゃん自身の旅の話の他にマラリアの症状の話。(一回「がっ!」と上がって下がったと思ったら再熱するとヤバいらしい)や

保険の申請の話。(保険屋さん=金子さんにお金払ったけど使う際にどうすればいいのか分からなかった...ヤヴァイね)

アフリカ縦断にドルがいること。(ケニアなどドルでおろせるとこでいっきにおろすとか)などなど…。

自分の記憶を辿るように今こうして、さぶちゃんが僕たちに話してくれたことを書き連ねているけど、この他にも旅の話は沢山あった。

さぶちゃんの出会った危険な旅人たちの話や、旅人の持つ映画の話。あと、なんだっけ?アヤワスカ?

もちろん僕たちが話したのは旅のことだけじゃない。こうしてここに書き留めておかないと忘れてしまうことばかりだ。だから僕は今こうして日記に書くことによって自分の記憶を辿れるようにしているのだ。




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ご飯を食べ終わると僕たちはホイアンの夜景を見に行った。

灯籠流しの様に紙の台座にろうそくを取り付けてたものが売られている。

僕たちはお互いの旅が上手く行くように願いを込めて川に流した。

(僕のはソッコー船に引っかかったけど...)



夜が更けると僕たちは部屋に戻った。

昼間、「ドミトリーに大家族が泊まる!」とかいきなり言われて僕たちはダブルルームに移動させられた。ここぞとばかりに僕はさぶちゃんにいろいろ質問をした。

さぶちゃんと出会ったことで僕の一番の収穫は僕の持ってきた荷物を仕分けることでもあった。バックパックからあれこれ引っ張り出してはさぶちゃんに尋ねる。

「さぶちゃん、これいるかなぁ?」
「いや、全然いらないっすよ!てかなんでこんなの持ってるんすか!?」
「これは?」
「いや、僕は使ったことないですね」
「これはいらないよね?」
「いや、持っていられるなら持っていた方がいいっすよ」
「マジ...?」

日本を出る前、30キロ以上あった僕のバックパックはここまでの旅路の中でちょっとずつ減量していき、そしてさぶちゃんとの仕分けにより大分コンパクトになった。

PennyboardやMartin Back Packer原稿用紙200枚はまだ引き続き、僕と一緒に旅をする。だが、高城剛さんの影響で買ってしまったエネループやソーラーパネル、ワイヤレスキーボード、ドライヤー、その他諸々は日本に送り返されることになったのだ。

サンキュー!さぶちゃん!またどこかで!

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。